雑誌などの靴磨きハウツーなどで必ずと言って良いほど紹介される、
「ステインリムーバー」。
皆さんは使っていますか?
大抵は、ブラッシング→ステインリムーバー→乳化性クリーム……
と、紹介されていますよね。
私は、よほど忙しいときや他社製の同等製品を使うとき以外は、ほぼ毎回使っています。
さて先日、新しいステインリムーバーを購入したところ、いままでと形が変わっていました。
そこで、今回はそのレビューはもちろん、
この機会に改めて、ステインリムーバーの意義についても考えてみたいと思います。
長いので目次です。
- ステインリムーバーって何?
- 汚れていないのにステインリムーバーを使う理由
- ステインリムーバーを使わない派の意見
- デザインが変わったステインリムーバーレビュー
1.ステインリムーバーってなに?
汚くて申し訳ないのですが、これがステインリムーバー(補充して使って6年物?)です。
名前の通り、ステイン(=汚れ)をリムーブする(=取る)ための液体で、
布などにとったうえで、靴の表面をぬぐうようにして使います。
モゥブレイブランドで、R&D社から発売されている商品名で、
一般的には「靴クリーナー」などとも言われています。
基本的には、靴の汚れ落としなのですが、
靴の状態をより良く保つために、
靴磨きの際、事前の準備工程として、よく使われています。
2.汚れていないのにステインリムーバーを使う理由
なぜ靴磨きでよく使われているか、を理解するためには、
靴磨きでなぜ靴が光るのか、また靴磨き直前の靴、
つまり、前回の靴磨きが残った革がどうなっているのかを考える必要があります。
靴磨きでなぜ靴が光る?
これは、全く靴磨きをされていない革の断面(概念)図です。
銀面が凸凹しているため、光りが乱反射してしまい、
靴の表面がマットな感じに見えている状態です。
こちらが靴を磨いた後の図。
銀面の凸凹の上に、靴墨のロウ分が層を作るため、
靴の表面に艶が出ている状態です。
靴磨きをする直前の状態も、
前回の靴磨きで乗せたロウ分が存在しているため、
これと同じ状況になっています。
靴磨き後の革はメンテしづらい
しかし、この状態のまま靴クリームを塗ろうとすると、
保革成分である水分と油分がロウ層に阻まれてしまい、
上手く浸透することが出来ません。
そこで、ステインリムーバーを使い、
いったん表面のロウ層を取り除きます。
こうすることによって、水分と油分がスムーズに革へ浸透。
十分な保革ができるというわけです。
また、ロウ層の厚塗りを防ぐことが出来、
表面がバキバキに割れたり、粉を吹いたりすることを防ぎます。
3.ステインリムーバーを使わない派の意見
一方でステインリムーバー反対派が居るのも事実です。
主な主張は以下の通りです。
主張1:靴クリームだけで十分前回のロウ分を取れる
靴クリームを塗るときに、
前回のロウ分を落としながら塗ることが出来るため、
わざわざステインリムーバーを使う必要が無いという意見。
これは、以下の条件が当てはまる場合に正しいと思います。
- 靴クリームの溶剤成分が多い場合
- 靴クリームを布で塗る(塗布用ブラシを使わない)場合
- ロウ層が厚くない場合
この様な条件と一致しない場合、
やはりステインリムーバーの使用には、メリットがあると思います。
主張2:ステインリムーバーは革に有害
ステインリムーバーが革の銀面(表面)を傷め、
劣化を進行させやすくすると言う意見。
有機溶剤のクリーナーをつかうならまだしも、
これは水性で、主成分は弱い界面活性剤であることから、
そこまで恐れることは無いと思います。
むしろ、リムーバーを使わずにロウ層を蓄積させ、
革への水分/油分が浸透できなくなったり、
蓄積したロウ層もろともひび割れたりするよりは良いのではないでしょうか。
(ある意味、トレードオフとも言えますね)
ただ、力を入れてごしごし擦ったり、
必要以上に繰り返し使用したりすることは、
当然革を傷めるので止めた方が良いでしょう。
主張3:○○(別のクリーナー)の方が良い
勿論、クリーナーはステインリムーバーだけでは無いので、
好みや対象となる革の状態で使い分けると良いと思います。
写真の左は、サフィールのユニバーサルローション。
マイルドなクリーナー効果と、強力な保革効果が有るため、
靴を手早くみがきたいとき、レザージャケットなど大きな範囲を手入れするときに便利です。
写真の右は、コロニルのユニクリーム。
若干有機溶剤が入っているため、強力なクリーナー効果があります。
頑固な汚れなどは、こちらを使うことが多いです。
4.デザインが変わったステインリムーバーレビュー
届いたのがこちら。
何度も補充して使っていたので、
今まで使っていたものは、胴体部分から液漏れしてしまいました。
キャップを取ったところ。
雨で濡れた後に靴の表面上に出来る白いポツポツも、対象の汚れとして明記されました。
(ステインリムーバーで落とせるという話はネットで散見されたものの、
前のパッケージには記載されて居ませんでした)
新旧のキャップ部分比較。
左が古いデザインで、右が新しいデザイン。
正直、古いデザインの物が使いやすい気がしますが、液漏れの事故は無くなりそう。
同じく、左が旧、右が新。
大きさや、パッケージの表革デザインはほぼ変わらず。
詰め替え用(500ml)と新デザイン(60ml)。
靴磨きを沢山する人は、詰め替え用を買った方がお得です。
内容成分については以前の物と変わっていないようですので、
特段レビューはしません。
ただ、この製品はよく振って使わないといけないのに、
キャップを片手で閉じられなくなったのはじぶんとしてはマイナスです。
靴磨き中に不便を感じたので、何か別の容器を探そうと思います……。
(また、液を補充しづらくなったこともマイナスポイントです)