スーツ・ジャケットの手入れ

クリーニング時にチェックする5つのポイント

投稿日:平成26年(2014) 10月12日  更新日:平成30年(2018) 12月18日 

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皆さんは衣替え、終わりましたか?
10月に入り、いよいよ夏物衣料が秋冬物に入れ替わるころと思います。

そこで今回は、衣替え時に活躍するクリーニングについて、
出すときにチェックすべきポイントを考えます。

出す前に少し確認するだけで、
クリーニングを気持ちよく利用し、高いパフォーマンスを発揮する事が出来るので、
ぜひ試してみて下さい。

 

 

 

 

確認1:品質表示タグはついているか

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スーツやジャケットの場合、殆どがウールだと思われがちですが、
たとえばストライプの発色を良くするために数%のポリエステルが入っていたり、
夏物だとモヘアや麻が、冬物だとカシミアが混紡されている場合があります。

このタグがついていないとどうなるかというと、
染み抜きが徹底して出来ない(手加減されてしまう)、
デリケートな素材も他と一緒くたにされてしまうなどのおそれがあります。

また、本来はこのタグがついていないと受け入れない、というクリーニング屋もあるとか。
どんな素材で出来ているか分からないのに、
化学溶剤で洗濯をするのは、確かに自殺行為ですよね……。

 

タグはどこにある?

  • ジャケットやオーバーコート:右胸の内ポケットの中
  • トラウザーズ(ズボン):お尻のポケットの中(多くは左側)
  • ウェストコート(ベスト):腰ポケットの中
  • タイ(ネクタイ):小剣の裏側

等々、基本的にはポケットの内側に縫い込まれている場合が殆どです。

タグが無い場合は?

吊し(既製品)の場合や、また誂えでもイージーオーダーの場合には、
工場でタグがちゃんとつけられているのですが、
テーラーなど個人店ではタグがない、またはタグがあっても記入がない場合があります。

そんなときは購入/誂えた店に確認し、
表地と裏地の素材を確認しておきましょう。
そして、クリーニングに出す際に、メモにそのことを書いて出せばOKです。

 

 

確認2:ポケットの物は全て出したか

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「型が崩れるからポケットに何も入れない」主義の人でも”あるある”なのが、
ポケットチーフの入れ忘れ。
特に、出先で胸ポケットから内ポケットにしまい直したパターンが多いですよね。

ほかにもメモ、レシート、お金、ペンポケットの中に落ちてしまったペン、
ハンカチ(特にズボンの後ポケット)、カード類、などなど……。
出す前に確認すると結構色々なものが出てきます。

かなり初歩的な確認ポイントですが、
保管クリーニングなどは戻ってくるのが半年後ですから、
きっちり確認した方がよいです。

 

 

確認3:シミや汚れはないか、シミの種類は何か

クリーニングは衣服全体についた汚れ(汗や皮脂、排ガスなど)を落とすことに加え、
シミ抜きも大事な目的の一つです。

ですから、クリーニングに出す前に、その衣服にシミがついてないかを確認します。
もちろん、クリーニング屋もシミがないか確認してくれますが、
事前にシミがあることを伝えた方が、きちんと処理してくれることが多いです。

シミの種類は何か

もうひとつ大事なのが、
醤油なのか肉の脂なのか、泥はねなのか自転車の機械油なのか、
そのシミは何のシミなのかをクリーニング屋に伝えることです。

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△ 画像は、クリーニング業者が発行するクリーニングの伝票。
この様に業者側もシミの有無を確認するが、シミの存在とその原因を利用者側からも伝えることが大切。

シミ抜きはその汚れによって対処方法が全く異なります。
汚れの正体が分からない場合、可能性別に何度もシミ抜きの工程を繰り返すため、
生地にかなりの負担を強いてしまいます。

したがって、思い当たる節があるばあい、
なるべくシミの原因をクリーニング屋に伝えます。

 

 

確認4:ほつれたり、ボタンが取れかかっていないか

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1シーズン着ると、どうしても縫い合わせてある部分が解れたり、
またはボタンが取れかかってしまうことがあります。
そんなとき、自分でなおすのも良いですが、クリーニング屋に任せるというのも手です。

ただし、クリーニング屋によって腕の善し悪しがありますから、
一度、一カ所だけ任せ様子を見ます。
問題なかったら「解れがあった場合は、直しをお願いします」と次回以降委任します。

クリーニング屋によっては副業(または本業)で洋服の直しをやっている所もあります。
そういうところに当たると、ジャケットのプレスなども上手かったりします。
よく観察して見つけてみて下さい。

※直しはシミ抜きと違い、別料金になることが多いです。

 

 

確認5:本当にクリーニングが必要か

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本サイトでは何度も話題にしてきましたが、
クリーニングは生地の質を低下させるため、クリーニングの回数は出来るだけ減らします。
(優しく洗っても、生地に含まれる油脂分が汚れと一緒に取れ、艶が失われてしまうため)

クリーニングは、衣服の見た目を損なう「汚れやシミそのもの」
「やがてシミの原因になる汗や皮脂」を落とすことが目的ですが、
クリーニング自体も、衣服の見た目を損なうというジレンマがあります。

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上の図をご覧ください。
縦軸が洋服の美しさ(上に行くほど美しい)、横軸が時間です。
紫色の線が汚れやシミを表し、急激に美しさを低下させます。

そこで、若干美しさを損なうものの、
汚れやシミなどの致命的なダメージから救うために、クリーニングする(オレンジ色の線)、
というわけです。

クリーニングが必要な衣服とは

上記の図から、
基本的にはシミや汚れがなければ、クリーニングは必要ないことが分かります。
一方で、やっかいなのは「やがてシミの原因になる見えない汚れ」です。

これは、汗や皮脂が酸化することで発生する黄ばみで、
スーツだと襟元、ボタン廻り、袖廻りなど、直接肌が触れやすい部分に頻出します。

こういった汚れは出てしまうとクリーニングでも落ちづらいので、
汗をかきやすい時期に着た衣服については、
1シーズンに1回、汚れていなくてもクリーニングに出す
ことをお薦めします。

それでも慎重にすべき衣服も

  • 生地自体に艶/光沢が多い素材
    例:カシミヤなどの高級獣毛、細番手のウール素材など
  • 色落ちしやすい素材
    例:色つきの麻素材など
  • クリーニングによって壊れやすい衣服
    例:縫製が甘い服、装飾が多い服、生地や縫製が古い服など

上記に該当する場合は、なるべく汚さないようにして、
クリーニングの回数を減らします。
そしてもしクリーニングする場合には、業者とよく相談してから行います。

 

◇◇◇

サラリーマンは通勤で、会社で、飲み会で、接待で、服を汚す機会は沢山あります。
従って、「ブラッシングだけでクリーニングはしない」という訳にもいかず、
クリーニングはスーツスタイルとは切っても切り離せません。

クリーニングと上手くつきあい、
お気に入りの服を永く綺麗に着ていきたいですね。


 

おまけ:保管クリーニング

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スーツやジャケットの数が増えてくると重宝するのが保管クリーニングです。
このサイトでも何度か採り上げていますが、
夏物の衣服を冬に、冬の衣服を夏の期間、クリーニングしつつ預かってくれるサービスです。

私はここ数年、
静岡にあるつかさクリーニング(http://www.tukasacl.com)を使っているのですが、
今回、保管クリーニングならではの問題が起きたので、おまけ代わりにご報告します。

 

1.輸送中の破損、シワ、クレーム

佐川急便にはネット通販はじめ、様々お世話になっている身ではありますが、
今回は保管していた冬物の配達中に、
箱が中破するというトラブルに巻き込まれてしまいました。

上の写真をみても、中央が若干へこんでいるのが分かるかと思いますが――

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角の部分。

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そして側面。
上に物を載せるなと注意書きがあるのにもかかわらず、
箱の上に重い物を載せたのだと思われます。

また、輸送中の扱いが雑だったのか、
いくつかの衣服について、シワがついている状態でした。

本件をつかさクリーニング側に伝えたところ、
すぐに箱の強化、業者へのクレームを約束してくれました。
こういう対応が早いところを、結構気に入っています。

保管クリーニングを使う以上は、いずれも避けて取れないデメリットだと思います。
そのため、こういった問題が起きたとき、
すぐ対応してくれる業者かどうかを、私たちは見極める必要があると思います。

 

2.そして送り返す

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届いた冬物。
この価格帯で、不織布を使った業者は珍しいです。
湿気がこもらないため、カビや虫を防ぎます。

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夏物を入れて送り返しました。
また来年の春まで、さようなら。

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