5月もあと僅かとなり、梅雨の季節が徐々に近づいています。
梅雨と言えばジメジメの湿気ですが、皆さんはクローゼットの除湿をどの様にしていますか?
本サイトではタンス用の調湿炭を紹介したことがありますが、根本的な湿度対策については未整理のままでした。
そこで、今回はクローゼットに焦点を絞り、梅雨場の湿度対策を考えてみたいと思います。
除湿機、調湿炭、換気、除湿剤など、様々な対策が有りますが、それぞれどの様なメリットとデメリットがあり、組み合わせや用途として、何が最適なのかを皆さんと一緒に考えたいと思います。
1.そもそも除湿しないとどうなる?
一般的に、ウール生地の保存は湿度50~55%程度が良いと言われていて、これより高いとカビなどの微生物が繁殖しやすくなります。
また、バクテリアの繁殖による、不快な臭いの原因にもなります。
雨が降り続く日本の梅雨は、家の中の湿度が急激に上がる季節でもあり、さらに、服が雨に濡れるなどし、クローゼットの湿度が70%を越えることザラになるわけです。
そのため何らかの対策をしないとカビやバクテリアの繁殖を招くことになります。
特にカビは虫喰い、黄ばみと並んで、クローゼット収納中の衣服が台無しになる三大事故の一つです。
防虫剤と違って、有効な衣服用防カビ剤は無いため、湿度を下げるという根本対策しかありません。
2.除湿の方法を分類する
続いて、除湿の方法を分類して、それぞれの特徴を書き出してみます。
I. “積極的” 除湿
A. 機械による除湿
これは、エアコンや除湿機などを使って、機械的に除湿する方法です。
意外と見落とされがちですが除湿剤より効果が高く、またランニングコストも安い方法です。特にウォークインクローゼットなどで電源が取れる場合は、こちらの方法がお薦めです。
ただし、実際にはコンセントの問題、排水の問題などがあり、一般的なクローゼットの中に設置することが難しく、あくまでこの方法で部屋を除湿しつつ、他の方法と併用する必要があります。
なお、除湿機にはコンプレッサー方式とデシカント方式の2種類があり、梅雨時の長時間除湿にはコンプレッサー式がおすすめです。
後者は小型/静音ですが、消費電力と発熱が大きく、低温時の除湿向けです。
※ 我が家ではコンプレッサー式をホース排水(連続排水)にして使っています
B. 除湿剤による除湿
主に、シリカゲルによる方法と、塩化カルシウムによる方法があります。
シリカゲルはお菓子の乾燥剤に使われているアレ(「食べないで下さい」)で、扱いが簡単で、場合によっては再利用(電子レンジで加熱する)できます。
一方で吸湿量や有効期間が少なく、小さな密閉環境向けの除湿剤と言えます(防湿庫向け)。
塩化カルシウムは、「水とりぞうさん」や「ドライペット」などでおなじみのアレで、長期間の大量吸湿に向いています。
一方で、再利用できない、かさばる、溜まった水が革に有害であるなどのデメリットがあります。
II. “消極的” 除湿
C. 炭/紙などによる「調湿」
A(機械)とB(除湿剤)が空気中の水分を強制的に奪うのに対し、湿度の「低いとき」と「高いとき」の差を利用するのがこのタイプです。
周囲の湿度が低いときに自身の水分を吐き出し、高いときに吸収するわけです。
したがって、定常的に湿度が高い状況や、自身の水分を放出できない密閉された環境などには不向きです。
また、次項「D」の空気の入れ換えと併用すると、効果が上がります。
素材としては調湿用木炭や、簡単な例では新聞紙などが用いられ、ランニングコストに優れます。
タンスの素材として木材が重用されるのも、これと同じ理由です。
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D. 空気の入れ換え
締め切って湿った状態を放置すると、湿度が高い状態が続き、カビが生えやすくなります。
この状態であれば空気を移動させる――入れ替えるだけで、湿度を下げることが出来ます。
たとえば扇風機やサーキュレータなどをクローゼットにあてて、内部の空気を入れ換えるだけで湿度が下がり、結果として除湿になります。
※ 我が家では高コスパで換気量/静音性に優れるZEPEAL(下の写真)を3台稼働しています
III. 湿度上昇の抑止
E. スーツの湿気を取ってから収納する
A~Dが湿度を下げることを目的にしているのに対し、本項は湿度を上げないようにするのが目的です。
一日中着用したスーツには大量の汗がしみこんでいるため、そのままクローゼットにしまうと急激にクローゼットの湿度が上昇します。
したがって、半日~1日程度風通しの良いところで陰干しした上で、収納します。
雨に濡れた後は、もちろんタオルで水分を取った上で、1日以上陰干しをする必要があります。このとき、扇風機などで弱く風を当てておくと効果的です。
F. クローゼットの設置場所を見直す
クローゼットの設置場所が家の中で比較的湿度の高い場所であったり、壁とクローゼットの背面に隙間がなかったり、クローゼットの底面が床へ直に密着していたりする場合は、設置場所を見直します。
3. 効果的な除湿方法を組み合わせる
上でご紹介した除湿方法を参考に、皆さんのご都合にあう方法を組み合わせれば良いと思うのですが、ここではよくあるだろう2つのシーンから、例を作ってみました。
例1:普段よく使うクローゼット
- 想定:
当季のもの、よく使うスーツなどが収納されており、毎日数回、または2日に1回以上開閉するクローゼット - 組み合わせのパターン:C+D+E
(C)普段から開閉する場合は、空気の流れが比較的多いため、木炭などによる調湿が効果を発揮します。
(D)また、晴れた週末などにはサーキュレータを用いて空気の入れ換えを行い、調湿を最適な状態にします。
(E)当然、スーツは湿気を取ってから収納します。 - コメント:
空気が常に入れ替わる場所の場合、除湿剤による除湿はあまり効果が有りません。その代わり、積極的に換気し、スポット的に空気中の水分が溜まった場合に備え、木炭を配置しています。
例2:保管用のクローゼット
- 想定:
季節外れの物、普段使わない礼服などが収納されており、週1回、またはそれ以下しか開閉しないクローゼット - 組み合わせパターン:B+E+F
(B)比較的密閉環境にあるため、除湿剤が効果を発揮します。
(E)長期間仕舞うため、収納時にはよく乾燥させてから衣服を収納するようにします。
(F)長期保管中は少し高めの湿度でもカビが繁殖しやすいため、出来るだけ湿度の低い場所を選びクローゼットを設置します。 - コメント:
このパターンの場合、毎日の空気入れ替えは必要ありませんが、毎週末、または2週間に1回程度、Dの空気の入れ換えを行うことも検討して下さい。
これは、クローゼットの一部に湿気が偏るのを防ぐためです。また、虫干しにもなります。
さらに効果的に除湿する
本文では書ききれませんでしたが、例1、2で紹介した方法をさらに効果的にするためのTipsをご紹介します。
- かならず防虫剤と併用する(防虫剤はクローゼットの上面に配置する)
- 衣服の詰め込みすぎは各種除湿方法の効果を下げるので注意する
- 近くに排水口や、または壁に屋外へホースを通せる換気口がある場合、「連続排水」機能がある除湿機を活用すると、タンクの水を捨てる手間を省くことが出来る
- 食べこぼしや泥はねはカビの養分になるので、湿度管理に加え、付着していないか注意する
これからジメジメした梅雨(「黴雨」とも書きます)の季節が到来します。
特に保管用のクローゼットに収納した礼服など、カビが生えやすいので、お互い注意しましょう……。
これらの対策が面倒だと考える場合、温度湿度管理の行き届いたレンタルクローゼットや、保管クリーニングを使うというのも手です。
今日ご紹介した方法が全てではありません。皆さんはどの様に湿気対策を行っていますか?
もし良い方法があったら、コメント欄で共有頂くと嬉しいです。