靴の履きこなし

革靴の「靴擦れ」対策を考える

投稿日:平成24年(2012) 5月4日  (更新:平成30年8月16日)

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Original Update by rockinfree

革靴好きな私ですが、実は小学生位の時まで大嫌いでした。それは「靴擦れ」が痛かったからです。

今回は、革靴――いや靴そのもの大きな悩み、靴擦れについて考えたいと思います。

靴擦れ。ようは、足が靴の中で靴とぶつかったり擦れたりして、傷が出来ることです。新品の靴では往々にして発生し、時には歩けないほどの痛みを伴ったりします。なかでも、スニーカーより革靴の方が多く発生すると思います。

靴擦れはどの様に出来、どんな対策が有るのか、見ていきましょう。

 

まずは、靴擦れの原因を考えてみましょう。どの様なとき、どの様な状況で靴擦れが発生しているのか。

私は、3つのポイントがあると考えています。

  1. 何度も、靴の同じ所に足が当たる
  2. 新品の靴では発生する確率が高い
  3. 靴が足に合わない場合は、履き慣れても靴擦れし続ける

それぞれを確認してみましょう。

 



靴擦れの起こる原因

1.何度も靴の同じ所に足が当たる

履き始めは痛くなかったのに……

万歩計を考えるとわかりやすいです。一日数千歩~数万歩が普通ですよね。

全く同じ場所に数千回~数万回、強い圧迫や擦れがあった場合に、人間の肌はどうなるでしょうか。皮膚が傷み、場合によっては裂けてしまいます。

もちろん、履き始めからキツかったり痛かったりするのは論外ですが、これが「履き始めは全く痛くなかったのに、半日くらい履いていると激烈な痛みが襲ってくる」原因です。

靴屋で試し履きをしただけでは、靴擦れを完全に防ぐことは難しいのです。

2.新品の靴では発生する確率が高い

新品の革は固く、人間の皮は柔らかい

当たり前ですが、靴の革、特に新品の靴の革は固いのです。いくら、高級で柔らかい革を使っていたとしても、所詮は牛革(内側は豚革が多い)。人間の皮膚は、簡単に負けてしまいます。

靴は作るときに、木型に革を強く張って作ります。形が崩れないようにするためです。

新品はその張力がまだ強く、その力によって簡単に皮膚が痛めつけられます。また、屈曲する部分(つま先の付け根など)は皮の固さそのものによって、顕著な影響を受けます。

3.靴が足に合わない場合は、履き慣れても靴擦れし続ける

サイズ、幅、木型

いまさらですが、革靴を選ぶ上でサイズは非常に大事です。小さすぎても、大きすぎても靴擦れは酷く出ます。(骨や筋にダメージを与えることもあるので、歩行困難を起こすこともあります)

さらに、足の幅や太さは人それぞれですから、長さだけでは無く幅も重要です。(日本表記だとEとかEEE、海外だとE、F、Gなどで表記されます。)

幅が合わない靴は、靴の中で足が遊んでしまったり、逆に甲の部分が圧迫されたりして靴擦れが起きます。

最後に見逃されがちなのが木型です。先述の通り、靴は木型に革を張り付けるようにして作られます。この木型と、自分の足が極端に違うと、靴擦れが起きてしまいます。

 

靴擦れの主な対策

靴擦れには色々な対策が有りますが、私が主に知っている、あるいは実施している対策をご紹介します。靴擦れの対策はおおまかに、

  1. 靴に対する対策
  2. 自分への対策
  3. 靴を選ぶ時の対策

上記、3つに分かれます。それぞれ、ご紹介しましょう。

A. 靴に対する対策

靴クリームを使う

簡単にできる物からご紹介すると、「靴クリームでの拡張」があります。

これは、革が水分を取り込むことによって、柔らかく(伸びやすく)なることを利用します。 方法は簡単で、靴磨きの時、当たって痛い場所に多めに靴クリームを塗り、手入れ後すぐに数時間履きます。

1回ではなおりませんが、数回繰り返すとだいぶ楽になってくるはずです。

一方で、靴クリームの過剰な塗布が、表革に悪影響を及ぼすことが心配な方は、皮革用の無色クリーム(下の写真を参照)を使ってみて下さい。

また、新品の靴を下ろす前に、靴クリームを用いて手入れをすることも非常に有効です。

新品の靴は、靴屋の棚で固く乾燥した状態になってしまうことが多々有り、そのまま履くと靴擦れの原因は勿論、ひび割れを起こすことがあるからです。

 

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写真はサフィール(仏)のユニバーサルクリーム(レザーローション)です。他にも、モゥブレイ(日)のデリケートクリームなどでも良いと思います。
(前者が保革成分が多め、後者は水分が多めで、色々な革の手入れに使いたいのなら前者、靴擦れ対策のみなら後者がお薦め)

 

専用ムースを使う

実は、靴擦れ対策と銘打った、専用の商品が存在します。
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写真はコロニル(独)のストレッチムースです。

こちらは靴クリームではなく、ムースタイプの薬剤です。蓋を開けると、下の写真のようにスプレーキャップがついています。

 

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そして、

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プシュー

 

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もわもわ……

といった具合に、ムース状になったこいつを、靴擦れで当たる部分に塗りつけます。表と裏、両方に塗布します。

あとは若干湿ったのを確認し、皮が伸びるまで履きます。これなら、家だけで無く、外出先でも使えるので便利です。

靴を改造する

まずは一般的な、「インソールを使う」が挙げられます。

インソール――中敷は、靴の中に敷くタイプのサイズ調節材で、主に靴のサイズが大きいときに利用します。足が靴の中で遊び過ぎることによって発生する靴擦れを防止できます。

さらに、本当に改造する手段もあります。靴の拡張です。

「靴の拡張器」なるものが発売されているほか、靴屋にも設置されています。これを使うことで、特定の部位を拡張することが出来ます。

クリームやムースは、革を柔らかくした上で、足そのものを使って拡張していましたが、こちらは機械を使って拡張させる方式です。

機械自体は市販されていますが、プロユースの器具を使って、靴屋でやって貰うことをお薦めします。

あとは、ヒールのライナー(靴の内側)を剥がして、クッション付きのものに張り替えて貰う、などもあります。

これは、ヒールカップ(踵を覆う固い部分)が、自分の踵と合わない時に行いますが、ここまでくると、購入するときにしっかりフィッティングをしていれば防げたはずの改造です。

B. 自分への対策

起こってしまった靴擦れをどうするか。結局、一番効果的なのは絆創膏であると思います。

靴擦れが起きてしまったところに、絆創膏を貼るのです。適切なサイズの靴、小さいサイズの靴を履いた事による靴擦れには、厚手の靴下では対抗出来ず、かえって酷くなるので注意して下さい。

クリームとムースによる対策は、履きながら革を伸ばしていくものでした。

何もしないよりはずいぶん早く革が伸びてくれますが、それでも靴擦れを起こしながら伸ばす、といった感じです。従って、王道としては、

靴擦れが起こる → 靴擦れ部分に絆創膏を貼る → クリームかムースで柔らかくする → 革が負けるのを待つ

という手順でしょうか。

絆創膏で防禦を固め、クリームやムースで相手の防禦力を下げ、履き込みながら攻め落とす、感じです。新しい靴を下ろしたときは、鞄に絆創膏を入れておくと良いお守りになります。

オススメはバンドエイドのキズパワーパッド。突然の怪我にも靴擦れにも対応できるため、鞄とデスクにそれぞれ1つ常備常しておくと安心です。

H30.8.16追記:キズパワーパッドや、その他の靴擦れ用絆創膏については、以下の記事でレビューしていますので、参考にして下さい。

革靴の「靴擦れ」に効く、絆創膏を考える

C. 靴を選ぶ時の対策

靴選びに慣れるまでは、シューフィッターが居る店を選んだ方が賢明です。

シューフィッターとは多く靴屋の店員で、最適な靴を選ぶ事が出来る人(主に社内資格保有者)を指します。彼らに自分の足を計測して貰い、一緒にどの様なタイプの靴が合うのかを探してみましょう。

私が訊ねた靴屋の中でお薦めなのは、スコッチグレインの銀座店でした。専用の椅子、計測器具、経験豊富なシューフィッターで対応してくれました。直営店の場合は定価購入になってしまいますが、それだけの価値があります。

また、靴を買いに行くときに重要なのが、革靴を履くときと同一のコンディションにすることです。たとえば、革靴用の靴下を着用していくことです。

他にも夕方の足がむくむ時間帯が良い、などともいわれています。(私はそこまで時間帯選択の必要性を感じていませんが)

 



まとめ

靴擦れの原因と対策は以下の通り。

 1.何度も、靴の同じ所に足が当たる
→ 絆創膏で防禦しながら、クリームや専用ムースで柔らかくし、履きながら革を慣らす
→ 靴屋で拡張器を使って伸ばして貰う
→ 強く当たるような靴を選ばない

 2.新品の靴では発生する確率が高い
→ 下ろす前に手入れをし、柔らかくしてから履く

 3.靴が足に合わない場合は、履き慣れても靴擦れし続ける
→ サイズ、幅、木型が自分に合った靴を探す
→ 慣れないうちは、シューフィッターが居る店を探す

きちんと手入れしていれば、靴の革は柔らかくなるのみです。しかし、人間の皮膚は、靴擦れを起こせば新陳代謝で厚くなり、傷は修復されます。

つまり長期戦に持ち込めば、いずれは靴の革が人間の側に従うことになります。

※注意
まぁ基本はその通りなのですが、サイズが合わない靴はいつまで経ってもダメなので、ある程度履いてもだめな場合は、靴屋に相談すると良いと思います。
ハンマートゥなど、病気になってからでは遅いので。

 


靴擦れは発生箇所によってその原因は異なります。

ただ、多くの場合が今回紹介したようなパターンですので、今回は割愛しました。

機会があったら、靴擦れ箇所別の対策をご紹介したいと思います。 それでは。

 

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