スリーピース

スリーピーススーツのよくあるNGとその対処

投稿日:平成28年(2016) 12月18日  (更新:平成31年1月27日)

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量販店のディスプレイでもよく見られるようになったスリーピーススーツ(三つ揃い)。街中でも2~30代の若年層を中心に、着ている方を多く見かけるようになりました。

と同時に、それは少し違うのでは……とか、もう少しこうすれば格好良くなるのに……といった姿が多くなったのも事実です。

今回は、三つ揃いを着る上でよく見るNGポイントと、その改善方法を考えてみたいと思います。



NGその1:ズボンとベストの間から、シャツが見えたり溢れたり

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本来、シャツは見えてはいけない

ベスト(ウェストコート、ジレ)とズボン(トラウザーズ)の間からシャツが見えていませんか?

シャツ(ドレスシャツ、いわゆるワイシャツ)は、原則としてエリと袖以外、露出しません。出自が下着のシャツは、スーツスタイルにおいては露出しないように設計されているのです。

しかし、いくつかの理由で、お腹や背中の部分からシャツが見えたり、溢れたりします。そうすると、とてもだらしなく見えます……。

チェックポイント1:ベストの丈と、ズボンの股上・胴回りを確認

シャツの溢れる理由がスーツにある場合、次の3点が原因である事が多いです。

  1. ベストの着丈が短い
  2. ズボンの股上が浅い
  3. ズボンの胴回りが大きい

1点目は、ベスト……つまり上半身側から、2点目と3点目はズボン……つまり下半身側からの長さが足りないパターンです。

特に、3点目は「ズボンがずり落ちる」→「シャツと一緒にたくし上げる」→「ズボンにシャツが余る」という悪循環を生むので、注意します。

主な対策としては、試着時(オーダーの場合は仮縫時)に、それぞれのサイズが合っているかを確認します。特に、試着しながら立つ・座るの動作をすることで、シャツやトラウザーズがどの様な動きをするかを見定めると良いと思います。

なお、3点目についてはブレイシーズ(サスペンダー、ズボン吊り)を使う事でも解消することが出来ます。詳細は過去のエントリー以下の記事を参照して下さい。

そして、この3つ以外にもシャツを原因とする場合もあります。

チェックポイント2:シャツのサイズも確認

  1. シャツ胴回りが余っている
  2. シャツの着丈が短い

1点目は想像がつくと思います。シャツの胴回りに余裕がありすぎて、溢れてしまうというパターンです。

一方で見落としがちなのが2点目。シャツの着丈は、ズボンに裾が隠れる位でOKなのでは? と思われがちですが、実はNG。それだけでは裾がきちんと固定されずにシャツが移動してしまうのです。

シャツの着丈は、お尻が隠れる位まで十分あると安定します。シャツを試着したりオーダーするときはこの辺りにも気をつけて下さい。

裾を出して着るタイプのカジュアルシャツは、この様な理由からタックインには適していません。従って、タックイン・アウト両用というのは、まさに二兎を追う者は一兎をも得ずなシャツになります。(そもそも、裾の形からして異なります。。。)

H31.1.27追記:後に本項目に焦点を当てた記事を書きましたので、詳しく対策法を知りたい方はご覧下さい。

 



NGその2:パツパツあるいはブカブカ

まるで「ボンレスハム」や「プールポアン」

ベストの胴回りは、思った以上にサイズがシビア。そして、ジャケットよりも「サイズが合っていない」感が分かりやすいのです。

そのため、サイズが小さいとパッツンパッツンの「ボンレスハム」状態に。または大きすぎのとルネサンス期の「プールポアン」(下の写真)みたいな状態に。両方とも結構見かけます。

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▲ プールポアン。ダブレットともいう。ウェストコートの原型。出典:丹野 郁(2003)『西洋服飾史 図説編』東京堂出版

チェックポイント:座った状態で、少し張るくらいが丁度良い

初めてベストを着ると、少し窮屈に感じるかも知れません。しかし、それが「寸足らずで窮屈」なのか、「初めての衣服ゆえの違和感」なのかを見極める必要があります。

本来は店員のアドバイスが重要なのですが、念のため自分でも確認出来るようにします。ポイントは、座ったときの見た目です。

ベストを試着したときは、椅子に座るようにして下さい。このとき「少しキツく感じるが、ボタン回りにシワが出ない程度」が丁度良いサイズです。

逆に、立った状態でピッタリだと座ったときにキツすぎ、座ったときにゆとりがありすぎると立ったときに不格好になります。

(参考)尾錠による調節は限界がある

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ベストの背中には、サイズを調節するベルトがあり、「尾錠」と呼ばれています。

知人がスーツ量販店で大きめのベストを試着した際、販売員に「尾錠で調節がきくから大丈夫ですよ」と説明されたそうです。果たして本当でしょうか。

「大きめ」の程度にもよりますが、尾錠による調節について過度な期待は禁物です。理由は以下の通りです。

  1. 調整の範囲が限定的である
  2. 動くとアジャスターが元に戻ってしまう事がある
  3. 副作用がある

1点目は調整範囲が限定的であること。尾錠は、ベルトを使って背中の左右2点を引っ張る仕組みです。これにより、胴回りのだぶつきが解消出来ます。しかし、たった2点を寄せただけでジャストフィットになる状況は限られています。

2つめは「アジャスターがしっかり止まらない問題」。尾錠の多くは固定機能が無く、さらにベルトの素材に滑りやすい生地が用いられているめ、せっかく調整しても体を動かすとベルトが緩んでしまう事があるのです。

そして最後は、副作用が生じること。しめる量が多いと背中に醜いシワができたり、他の部分(胸部分など)に悪影響影響が出てしまうことです。

従って、基本的には尾錠に頼らず、サイズがあったウェストコートを選ぶ、または作る必要があると考えます。

 

NGその3:見落としがちな「袖ぐり」のだぶつき

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見落としがちなアームホール

胴回りはベストのサイズ合わせにおける基本ですから、きちんと試着をすれば間違いはありません。

しかし、ベストのサイズ合わせで見落としがちなのが「袖ぐり」(アームホール)です。

サイズ感は合っているように見えるけど、どうもしっくりこない……というとき、袖ぐりのだぶつきというパターンがあります。

チェックポイント:「ワキ」と「肩」を見る

1つ目の確認ポイントは脇(ワキ)です。

ここのだぶつきは、胸回りや腹回りの調節では取れにくく、意識して脇下の余りを確認する必要があります。

 

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2つめは肩です。

上の写真は(撮影者の意図的な演出もあって)極端な例ですが、なで肩の人に多いだぶつきです。

試着を繰り返し、これらの問題が出にくいデザインのスーツを見つけることが出来るかも知れません。しかし、体型によってはオーダーや直しが必要になることもあるでしょう。

イージーオーダーの場合は袖ぐりや襟回りの補正で、吊しの場合は購入後の直しで対応します。ただ、補正や直しによって、別の部分に出る副作用まで見越した指示や調整が出来る、知識や経験に優れた店や店員を見つける必要があります。

私の経験としては他の部分を詰めた時(確か襟か脇下だった気がします)に、副作用として肩部分のせり上がりが出てしまったことがあります。別の店では、テーラーが副作用(しかも複数の)まで先読みして補正指示を出していたこともあり、知識と経験が大事な部分なのだなと感じました。

 



NGその4:えっ! わたしの背中……派手すぎ?

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上の写真は無難なシルバーですが、派手な色やブランドロゴの入った悪目立ちする物も良く見かけます。

オーダースーツに多いミス

これまでのNGポイントは、多くがサイズに起因する問題でした。したがって、きちんとした採寸と補正が行われたオーダースーツには起こりづらいものでした。

しかし、この項目は逆にオーダースーツだからこそ起こりやすいNGです。

チェックポイント:オーダー時「ベストの背中」を想像する

オーダースーツになれてくると、個性を求めてジャケットの裏地に派手な生地を指定したくなりますよね。

裏地だけなら「チラリズム」などと称して自己満足の世界に浸る事が出来ます。しかし、問題はジャケットの裏地と、ベストの背中は原則的に同じ生地を使うと言う点です。

ジャケットに派手な裏地を使ったばかりに、ベストの背中も派手に……そして社内で着られなくなった。なんて話を、知人やテーラーからも良く聞きます(そして、恥ずかしながら私の自身の記憶のなかにも……^^;)。

(参考)ベストの背中、実は別布を指定できることも

「どうしてもジャケットの裏地を派手にしたい」というあなたに朗報。実は多くのテーラーで、ジャケットの裏地とウェストコートの背生地は別地を指定できます(ただし、追加料金を取られることもあります)。

ジャケットに派手な生地を使う場合、そのままウェストコートの背に使っても大丈夫か、はたまた別の生地を使うべきか、今一度確かめてみましょう。

背中は思ったより広く、会社でフロアの遠くからでもかなり目立ちます。

 

NGその5:マウンティングするシャツ襟

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最後に、シャツに起因するNGを。上の写真は、ベストの上にシャツの襟が出てしまった状態です。明確な間違いというわけではありませんが、見た目に美しくありません。

シャツの衿型が合わなかったのも原因の一つですが、一番大きいのはシャツの襟がきちんと胸の上に載っていないからだと思います。

チェックポイント:衿型と襟の密着度合いを確認する

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こちらの写真は、襟型を「ワイドカラー」にしたパターンです。襟が綺麗におさまっています。

 

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めくってみると、襟羽根がベストの裏側で固定されている事が分かります。

また、そもそもシャツの襟がしっかり密着する仕立てになっています。これなら飛び出ることもありません。

スリーピーススーツ(三つ揃い)を着るときには、シャツの襟がベストに適しているかを確認すると良いでしょう。

以前、記事へのコメントで、三つ揃いにナロー幅のロングポイントカラーをあわせいるという方がいらっしゃいました。逆転の発想ですね。長身の方でクラシカルな襟が好みであれば、ワイドカラーよりも似合うと思います。

 



おわりに

さんざんNGポイントを書いてきましたが、実はその多くが(程度の差こそあれ)私も犯してしまったポイントでもあります。そのため、他人を見ているときに気になってしまうのかもしれません。

しかし、ベストの「なんとなくしっくりこない/似合わない」は、些細なNGポイントの積み重ねが原因であることが多い様に思います。

これからも、私自身試行錯誤を繰り返しながら、改善を続けていきたいと思います。

 

 

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