先々週の記事「夏の暑い時期、腕時計の汗対策を考える」で、耐水/耐汗の革製ベルトが思ったより良好だったので後日記事にすると書きました。
コーディネートをクラシカル寄りに倒したい場合、またビジネスライクな腕時計を休日用として使いたい場合も、腕時計のベルトは革製にしたいところですが、やはりこの暑い時期は汗ですぐ傷んでしまうというデメリットが……。
ということで本日は、汗に強い腕時計の革ベルトについて、購入の経緯から製品選択の過程、そして実際の使い心地についてお伝えします。
また、片開きと両開きのDバックルの違いについても、考えてみました。
1.やっぱり革ベルトの腕時計がしたい!
夏場の腕時計と言えば、つけ外しが容易で、汗で傷みにくく、手入れがし易い金属バンドが(特にスーツ/ジャケパンにおいては)定番ですよね。
しかし、どうしても革ベルトの腕時計かしたくなるときがあります。
革ベルトの方が良いときとは?
クラシカルに倒したい……
例えば装いをクラシカルに倒したいとき、金属バンドは少々派手というか、主張が強いパーツに見え、そぐわないことがあります。
茶靴とコーディネートしたい……
ほかにも、週末に茶靴を履いたとき、ズボンと時計のベルトを靴に合わせるなど、装いに統一感を出したい、というときもあります。
ビジネスライクな時計を休日に使いたい……
愛用するサラリーマンが多いためか、金属バンドの(とりわけ3針の)時計はどうしてもビジネス用途として見られやすいと感じます。
実は、今回耐水の革ベルト購入を思い立った理由の一つが、ビジネス用途として使っていた時計を、週末にも使いたいという思いからでした。
いかにもな「サラリーマン時計」を休日仕様にしたい
そして、今回対象としたのがこちら。
質実剛健を地で行くセイコー(GS)の、しかも3針デイト無し、手巻きの薄型、5連ブレスというザ・サラリーマン時計。
これを休日にもカジュアル(ジャケパン×茶靴)に使いたい、というのが出発点です。
まぁ、すこし堅めの服装にすれば、このままでも休日用として問題無いと思います。しかし暑い夏、少しラフな格好にしたとき、かつカッチリとしたビジネス感を減らしたい時に、このままだと少々ちぐはぐです。
2.裏面防水ベルト
そこでまず、汗に強い革ベルトにはどの様な物があるか確認してみました。
基本的に防水ベルトは、その全部か一部(裏面)に、耐水性の素材を使った物が多いようです。
そして、全部が耐水性素材(シリコン、ゴム、ナイロンなど)のものではスポーティ過ぎてしまい、今回想定するジャケパン×茶靴に合いません。(もちろんそういった用途向けで合成皮革もありますが、見た目が天然皮革にやはり劣ります。)
と言う事で、今回は表面が天然皮革、裏面が防水仕様のものから選ぶことにしました。
天然ゴムかポリウレタンか
裏面防水ベルトで使われる代表的な素材が、天然ゴムとポリウレタンの2つ。
私自身はラテックスアレルギーを(いまのことろ)持っていないのと、ポリウレタンは加水分解(履いていなくてもスニーカーの靴底がボロボロになるアレです)するため寿命が短いことが想定されました。
ということで、裏面が天然ゴム、表面が牛革製の防水ベルトから、選ぶことにしました。
3.実際に購入してみる
届いたのがこちら。タグがなぜ2つあるかというと、Dバックルも一緒に購入したからです。
今回はニッチ製品ということもあり、品揃え多いmano a manoから購入しました。(Dバックルを同時に購入すると、予め取り付けた状態で届けてくれます。)
こちらが、カシスの裏面防水の素材「カウチック」です。
原材料が天然ゴムと聞いていたので、肌や体毛に引っかかるのでは? と不安があったのですが、かなりサラサラしていて杞憂でした。
なお、付け根部分にワンタッチで取り付けられるバネ棒(mano a manoではクリッカーと呼称)がついていますが、いつの間にか無償でつけてくれるようになっていたのでお願いしてみました。(かつては500円くらい取られていたような気がしたのですが……。)
既存のベルトにワンタッチバネ棒を取り付ける方法については、過去に記事にしていますので、興味がありましたらご覧下さい。
先述したとおり、カシスのDバックル(片開きプッシュボタン式の「PD-BUCKLE」)が装着済です。(青いビニールは保護材です。)
こんな感じに開きます。
先々週の記事に記載したとおり、Dバックルは革ベルトの寿命を格段に延ばすのでオススメです。特に、夏場のような時計のつけ外しが多い季節は、つけ外しの際に時計を落下させる恐れがあるので、これを防ぐDバックルは重要です。
装着してみる
早速腕時計に装着してみましょう。まずは、時計の金属ブレスを外します。使うのはベルジョンのバネ棒外し。
時計のケースを傷つけないためにも、使いやすいバネ棒外しは重要です。
時計ケース裏のバネ棒を取り外すと簡単にブレスがとれます。(キズが心配な方は、セロハンテープをラグの回りに貼ってから外すと良いです。)
金属ブレスは購入するとなると地味に高いです。(グランドセイコーでも5万円以上します。舶来時計だとさらにかかります。)
従って、取り外した部品は大切に保存しておきます。写真では、パーツ同士が当たって傷つかないように、それぞれ小さなビニールパウチに入れています。
ワンタッチバネ棒仕様にしているので、取り付けは簡単です(1~2秒)。
反対側も取り付けます。
固定具を開いて、ベルト穴に取り付けます。
サイズを調整(取り付ける穴の移動)をしたら完成です。
4.Dバックルは片開き? 両開き?
これまで、ビジネス用途としてDバックルを使う場合は、薄さを追求して片開きのものを利用していました。厚いと、カジュアルに見えてしまうからです。
今回もそのノリで購入してしまったのですが、今回はカジュアル用途だったので両開きでも良かったのでは……と思い、比較してみることにしました。
使い心地は両開きに軍配
これは、取り付ける革ベルトにもよるのですが、今回の場合は両開きにした方が、装着感が向上しました。
両開きの方が使いやすい理由は、主に以下の2点なのですが、
- 両開きの方がアームが長いため、開いたときに手を通しやすい
- Dバックルの手首に当たる位置が中央になり、手(腕)触りが良くなる
今回は2番目の理由が一番大きいように感じました。
Dバックルが来る位置に注目
若干角度の違う画像同士の比較で恐縮ですが、違いがわかりますでしょうか……。
上の片開きは、6時側にバックルの位置が寄っているのが分かります。一方、下の両開きは、ケースの反対側で、丁度真ん中くらいに位置しています。
人間の手首は楕円形なので、バックルの位置がケースの反対側からずれると、手首におさまりにくくなってしまうのです。
ただ、手首の大きさや、尾錠側のベルトの長さ次第では、片開きの方が納まりがよかったりすることもあるので、簡単に両開きが良いと言い切れないので注意が必要です。
5.使ってみた感想
裏面防水の革ベルトを1ヶ月程度着用し、使い心地を試してみました。
蒸れない
一番心配したのが、天然ゴムによるムレやカブレです。
しかし、酷暑の中着用することもありましたが、殆ど蒸れることはなく、カブレもしませんでした。
また、つけ心地もサラサラしており、皮膚に突っ張ることもありませんでした。
手入れをしやすい
そして、やはり嬉しいのが手入れをし易いこと。
通常の革製ベルトは、革が直接腕に接するため、汗を吸ったり、雑菌が増殖して臭うなどの課題がありました。
そのため、汗をかいた後の乾燥や手入れが大変だったのですが、裏面全体が水を吸収しない素材になっているため、セーム革でサッと拭くだけで済みます。
雰囲気はガラッと変わる
そして、当然これを意図したところなのですが、雰囲気が大分変わり、休日のジャケパン×茶靴のスタイルにとても良く合いました。
夏の革ベルト、結構良いですね。
当初は休日だけと考えていたのですが、クールビス期間のビジネスカジュアルにとても合うため、会社にも着けていくようになりました。
6.おわりに
腕時計のベルトを交換することで、より意図するコーディネートに近づけるというテクニックは、活用している方も多いことと思います。
一方で、革ベルトは夏場に着用しづらいという課題がありましたが、裏面防水タイプのものは十分実用に耐え、課題を解決できることが分かりました。
また、その際はDバックルを用いることで、金属ブレスと遜色ない、安全かつ実用的な運用ができると思います。
リンク
今回の記事で購入/使用した製品のリンクです。
- 裏面防水革ベルト・カシス「ミュールズ」 → mano a mano、Amazon.co.jp
- Dバックル(片開き)・カシス「PD-BUCKLE」 → mano a mano、Amazon.co.jp
- Dバックル(両開き)・カシス「PD-BUCKLE」 → mano a mano、Amazon.co.jp
- ベルジョン「バネ棒外し」 → Amazon.co.jp
購入時の注意点とポイント
ベルト
事前に、時計のラグ幅(ケースのベルト取り付け部分の幅)を確認し、そのサイズに合ったベルトを選ぶことが重要です。
Dバックル
上記で選択したベルトの仕様を確認し、その尾錠幅に合ったサイズのDバックルを選ぶことが重要です。
購入先
ベルトとバックルをセットで購入するなら、事前に取り付けて発送してくれるmano a manoがオススメです。特に同店の場合、ワンタッチバネ棒も無償(記事執筆時点)で取り付けてくれるので、こちらも必要に応じて選択すると良いと思います。