着こなし

スーツスタイルの防寒とお洒落を考える(後編)

投稿日:平成28年(2016) 11月20日 

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皆さんは、冬のコーディネートをどの様に楽しんでいますか?

前編では、マフラー、手袋、靴下、コート、三つ揃い、ニットベストなどを取り上げました。

この後編では、前編で紹介しきれなかった「生地」の観点や、番外編としてカイロについてもとりあげつつ、冬のコーディネートを考えてみようと思います。

 

~ 冬に相応しい生地を使う ~

スーツスタイルに使用される生地には、その多くに季節性があります。スーツ、シャツ、タイ、靴下、果ては下着に至るまで、様々です。

今回はその中から、スーツ(ジャケット)、タイ、下着について考えてみます。

 

① 冬らしい生地のスーツ/ジャケット

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1つ目のキーワードは「ウエイト」

スーツやジャケットは、冬用の生地を使うことで、温かくなり、また外観も温かそうに見えます。

冬用の生地には、厚めの、ウエイトの重い生地が使われます。数値にすると、一般的に260グラム以上といわれていますが、中には400グラムを超えるものも有ります。

重い生地は空気をため込みやすいため温かく、また厚みがあるので見た目にも暖かさを表現できます。

もちろん、ビンテージの中には夏用の4ply生地で300グラム近い物もありますから、重ければ全て冬用というワケではありませんが、一つの目安にはなります。

2つめのキーワードは「起毛」

もうひとつのキーワードとして、「起毛」があります。フランネル、ツイード、サキソニー等に代表される起毛素材は、冬の中にあって暖かさを感じさせる代表的な生地です。夏用の生地はザラザラ/サラサラなのと対照的ですね。

ただ、起毛の度合いによってはカジュアル(正確にはカントリー)風に見える事があります。硬い業種業界では、出来上がりを良く検討する必要があるでしょう。

なお、カシミア混の生地を使うという選択肢もありますが、(殆ど保温効果に差がないほどの)少量の混紡でも値段が高かったり、混紡率が高くなると耐久性に問題が出たりと、個人的にはあまり好きではありません……。

実は裏地にも冬用が……

スーツの裏地にも、メーカーによっては夏用と冬用を出しています。表地と同じく、冬用は厚手でコシがあります(コート用と称するメーカー/テーラーもあります)。

裏地は普段、柄や色に注目しがちです。しかし、少々寒くてもコート無しで外出できるようジャケットの裏地に厚手の物を使ったり、逆にスプリングコートへ薄手の裏地を使って暑すぎないようにしたり、という芸当も出来ます。

厚手の裏地は暖かいほか、耐久性も高いので、3シーズン用などでなければオススメです。

時には、汎用性に目をつむることも大事?

一方で、このような厚く起毛した生地は、やり過ぎると真冬専用となって汎用性を犠牲にします。

しかし、汎用性の高いスーツ/ジャケットの着数がある程度揃ってきたら、季節限定の生地を使ったスーツ/ジャケットもあって良いのではと考えます。真夏の麻ジャケットにも言えますが、季節に特化した服をジャストのタイミングで着ると、とてもお洒落に見えるからです。

 

② 冬らしいタイ

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ウール/ウール混のタイ

体感での暖かさはあまり期待できませんが、見た目には冬らしい暖かさを演出できるのがタイです。

一般的に、スーツスタイルのタイはシルクを用いますが、冬用にはウールやウール混のタイもオススメです。

なお、ウールタイは、シーズン終わりに投げ売りされている事が多いです。次年度以降も使える普遍性の高いデザインであれば、そういった機会に買っておくと良いでしょう。

活用する上での注意点

ただし、活用する上で2つ気をつけたい点があります。

1つめは、スーツの生地と同じように、起毛しすぎていたり厚すぎたりすると、カントリー調になってしまうこと。格式のある席にはあまり向きません。

2つめは、スーツやシャツの質感をタイとあわせないと、ちぐはぐになること。タイが起毛素材で、スーツがつるっとした素材だと、タイが浮いてしまいます。(逆のパターンでも同じです。)

シルク100%でも織り、色、厚みを冬らしく

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こちらのタイはシルク100%ですが、マットな茶色のヘリンボーン(杉綾織)、さらに厚手の芯地で、としも暖かみがあります。

ウールタイはカジュアルすぎて……という方には、織りや色、芯地の厚みなどで、探せば冬らしいタイは見つかります。

 

③ 機能性下着を活用する

かつての機能性下着は「温かいが蒸れる」「静電気でバチバチする」といった物が多かったように思います。

しかし、最近は着心地も良く、肌色やカットオフなどシャツが透けないように工夫されていたりと、かなり進化しています。(この点は夏の機能性下着と同じですね……。)

文字数の関係で詳述は控えますが、個人的に使ってみてオススメだったのは、ご存知ユニクロのヒートテックと、グンゼYGのカットオフ9分袖ですね。特に後者は肌触りが良くとても温かいです。

冬用の機能性下着については、機会を見つけて別途記事にしたいと思います。

 

~ 温かい物を携える ~

最後は着る物ではなく、アクセサリーを。

以前、バスを通勤に利用していたときがありました。屋外で長時間バスを待つのは本当に寒かったのを覚えています。

最初は使い捨てカイロを使っていたのですが、早く暖まらなかったりランニングコストがかかったりと、代替手段を探していた際に見つけたのが以下の2つです。

 

① オイル式カイロ

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ハクキンカイロをご存知でしょうか。プラチナ(白金;ハクキン)を触媒に、ベンジンやライターオイルを化学反応(燃焼ではない)させて発熱させる方式のカイロです。

購入した当初はレトロな感じたな……と思ったのですが、使ってみてビックリ。すぐ発熱し、とても温かい上に、長時間(最大24時間)もったからです。

また、ベンジンは安価なためランニングコストが非常に安く、コンビニで売っているZIPPOオイルでも使えるため、調達に困りません。

 

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写真はZIPPOとコラボしたハクキンカイロ。ZIPPOオイルとセットで3千円程度で購入出来ます

もし通勤などで、屋外で立っている時間があるなら、かなりオススメです。

使い方

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右側の本体に、少量のベンジンかライターオイルを入れます。

 

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キャップ(プラチナの触媒)を取り付け、これをライターで加熱するだけ。

火を付けているのではありません。ライターで加熱するのも触媒を暖めて化学反応を促しているだけなので、カイロそのものはとても安全です。

 

② モバイルバッテリー式カイロ

エネループカイロを長い間使っていたのですが、SANYOの買収と共に製造中止へ……。

しかし、モバイルバッテリーの普及と共に、スマートホンへの充電機能とカイロ機能で2WAYになっている物が出てきているようです。

最近では6000mAhと大容量のものもあるようですが、それでも使用時間は3~4時間くらいが限界だそうで。長時間使いたい人は、やはりオイル式か、使い捨てを選んだ方が良いでしょう。

ただ、充電できる環境があればどこでも使えることと、モバイルバッテリーとしても使え、頻繁にON/OFFができることもあって、都市部であればこちらの方が良いかも知れません。

韓国製スマホの炎上事件をみると、バッテリー式カイロの分野に、日本の家電/電池メーカーの参入が望まれます……。

 

~ まとめ ~

前編の内容を含めて、最後にまとめたいと思います。

  • スーツスタイルの防寒は、首、手首、足首を温める
  • 首にはマフラーで、手首には手袋で、足首にはウールの靴下を充てる
  • それでも足りないときには、コートを羽織り、三つ揃いやニットベストを活用する
  • コートは素材と着丈に注意する
  • 三つ揃いは外出時にこそ効果を発揮する
  • ニットベストはハイゲージの前ボタン式がオススメ
    (以上、前編)
  • スーツやジャケット、タイに、ウエイトが重く厚手で起毛がある生地を使う(ただし、やり過ぎはカントリー風なカジュアルになってしまうので注意)
  • 汎用性も大事だが、着数が増えてきたら季節に特化した素材も視野に入れたい
  • カットオフの機能性下着も有効
  • オイル式カイロはすぐに、長時間、少ないランニングコストで暖まることが出来る
  • モバイルバッテリー式カイロは利便性に優れるが、稼働時間に課題がある

冬は当然寒いです。しかし、寒いからこそ、様々なアイテムを身にまとえる絶好の季節だと思います。

みなさんはどの様に、お洒落と防寒を楽しむ予定でしょうか……?

 

 

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