皆さんは、普段どんな財布を、どこに仕舞って外出しますか?
先日、上着に財布を仕舞って出かける機会がありました。普段、スーツには何も仕舞わないのですが、これを切っ掛けに考えたことを、記事として取り上げたいと思います。
1.結婚式の二次会へ「手ブラ」で行きたい……
先日、結婚式の二次会に呼ばれました。
近場のホテル、立食(セカンドバックは持ち歩けない)、非余興要員(荷物不要)であったこともあり、手ブラで参加しようと考えました。
手ブラとはいえ、最低限の所持品は必要です。
ハンカチと靴べらは標準装備ですが、裸のお金は見た目&マナー的にNGですから、財布はどうしても必要になります。(また、出来れば携帯電話もあると良いですよね……)。
このとき問題になるのが、これらをスーツのどこに仕舞うか、です。
2.財布を仕舞うべきポケット
外側は装飾のポケット
スーツには、いくつものポケットがついています。しかし、少なくとも外側についているポケット(胸ポケット、腰ポケット)は装飾であり、使うべきではありません。
盛り上がって醜くなることはもちろん、次第に型崩れを起こし、中身が空でもだらしなく見えてしまうからです。
ズボンの尻ポケットは特にNG
特に、日本人はパンツの後ろポケットに二つ折り財布を入れる人が多い様に感じます。実際、エスカレーターで前の人を観察していると、スーツでも尻ポケットに財布を突っ込んでいることが多く、驚きます。
ズボンの後ろポケットはスーツで最も擦れる場所です。ここに角がある物を入れると「アタリ」が出て、真っ先にダメになってしまいます。もし、この記事をご覧の方で、スーツの尻ポケットに財布を入れている方は、即刻止めるべきです。
内ポケットなら……?
スーツのポケットのうち、最も実用的なのが内ポケットで、やむを得ずある程度大きなものを仕舞う際は、ここが良いと言われています。
果たして本当にそうなのでしょうか……?
3.内ポケットに財布をしまう事の是非
実際に、内ポケットに財布を入れるとどうなるのでしょうか。スーツの上衣で実験してみます。上の写真は、ポケットに何も入れていない状態です。
薄く、比較的影響が少ないと言われている長財布を入れてみました。しかし、胸の下あたりが若干膨らんでいるのが分かりますか?
横から見ると、胸の部分が盛り上がっているのがよく分かります。
ジャストフィットのスーツには難しいかも……
90年代までの、余裕のあるフィッティングのスーツであれば、あるいは胸ポケットに財布を入れても問題が無かったかもしれません。
しかし、昨今のスーツはジャストフィットが主流です。財布をスーツの内ポケットに入れると、見た目に良くないことはもちろん、着心地の悪化や、型崩れにも繋がります。
そこで、内ポケットの下にある、煙草ポケットに注目してみます。
4.煙草ポケットとマネークリップ
スーツの裏側に、煙草ポケットと呼ばれるポケットがあります。上の写真をご覧下さい。
①がチケットポケット、②が内ポケット、③がペンポケット、そして④が煙草ポケットです。
この煙草ポケットは、スーツと体の間に比較的余裕のある、腰の部分に存在します。そのため、上衣のポケットの中で、モノを入れたときに一番目立たないポケットでもあります。
マネークリップ
ただし、煙草ポケットは奥行きが狭いものが殆どです。また、芯地が少ない場所にあるため、重い物にも適していません。
そのため、通常は名前の通り煙草か、名刺入れのような軽くて小さいモノを入れることが多いポケットです。
そこで、マネークリップなら最適なのでは? と考えました。特に、最近のマネークリップはクレジットカードが入るものも多く、財布としての役割も果たすようになってきたからです。
とりあえず買ってみる
そこで、紙幣が挟め、クレカも若干入り、天然素材を使い、薄く軽いことを基準に、Amazonで評価の高そうなモノを物色し、とりあえず人柱も兼ねて買ってみました。(詳細は、本稿末尾にフォトレビューを書きましたので、そちらをご覧下さい)
実は、これまで現金を裸で持ち歩く事に抵抗が有り、マネークリップを使ったことがありませんでした。最近はスーツスタイルにも使えそうなモノも出てきており、もし、良いマネークリップがありましたら、コメント欄から情報をお寄せ頂ければ幸いです……。機会を見つけて、別途記事にしてみたいと思います。
紙幣5枚とクレカ3枚を入れてみる
マネークリップに、千円札3枚と一万円札2枚、クレジットカード3枚を入れ、煙草ポケットに仕舞ってみました。
どうでしょうか。殆ど目立たないことが分かります。実際に着用してみても、内ポケットと違って強くあたる感じがしません。
よーく見てみると、若干腰の辺りが膨らんでいるのが分かりますが、ほぼ許容範囲でしょう。
5.三つ揃いで目立たなくする
別のアプローチとして、三つ揃いを着る方法があります。
これまで、内ポケットが目立っていたのは、フロントのボタンをしめた際に、財布分の厚みが出てしまうからでした。
しかし、前を開けて着ることが許されている三つ揃いにすることで、かなり目立たなくなります。
証拠の写真がこちら。使用したのが薄さに定評のあるエッティンガーの長財布だからかも知れませんが、すこし胸の辺りが膨らんでるように見える程度です。
少なくとも、2ピースでボタンをしめたときのような、不自然なゆがみはありません。
こちらは、煙草ポケットに先ほどのマネークリップをいれた状態。もう、何も入っていない状態と区別はつきません。
ウエストコートにもポケットがあり、かつ外側からは見えません。そのため、こちらにマネークリップを入れるという手もあります(写真)。
私の場合は、着信が分かるようにウエストコートに携帯電話を入れ、煙草ポケットにマネークリップを入れることにしました。
なお、ウェストコートのポケットには写真のような箱ポケットの他に玉縁ポケットもあります。玉縁ポケットの方がエレガントに見えますが、モノを入れて使っていると口が開いたままになりやすい(特に機械縫製で顕著です)ため、実用性を考えると箱ポケットが有効です。
6.最後に
そんなこんなで、無事に結婚パーティに「手ブラ」で参加してきました。
ただ、今回の方法にもいくつか注意点がありますので、最後にお伝えしようと思います。
注意点① 煙草ポケットのサイズに注意する
複数の縫製工場やハンドメイドテーラーの煙草ポケットを確認してみましたが、殆ど10cm丁度でした。
一方、マネークリップの横幅は9センチ弱です。そのため、マネークリップにカード類を沢山入れて幅がでると、サイズがギリギリになってしまうのです。
従って、煙草ポケットのサイズに注意し、クレカの枚数は最小限にすることが重要です。(オーダースーツなら、テーラーに頼むと、ポケットの幅を大きくとってくれるかも知れません。)
注意点② 小銭は扱えない
当然ですが、小銭は扱えません。小銭入れを別途用意し、ズボンの前ポケットに入れるか、または潔く小銭入れは持たない決断が必要です(私は今回、小銭入れは持っていきませんでした)。
昨今は電子マネーやクレジットカードでの支払が多く、小銭の発生する機会は少ないので、小銭入れが活躍する機会はかなり少なくなりました。
ただ、二次会の割り勘などで、小銭の返還が有るかも知れません。しかし、年長者なら端数は受け取らないか、若年者の立場ならトラウザーズ(ズボン)の小銭ポケットに仕舞えば音は出ません。
このように、ある程度割り切りが必要な点には、注意が必要です。
(参考)マネークリップ「Le sourire」人柱レビュー
今回購入したマネークリップがこちら。「Le sourire」という紺色の革製の製品で、僅か2千円でした。
そこそこの質感で、安っぽさはありません。
内側は鮮やかな青色です。
サイト上の公称は7mmですが、ノギスで測ると実寸9.5mmでした。
まずは、1万円札2枚と、千円札3枚を挟んでみます。
すると、13ミリ程度に。
さらに、カードを3枚入れてみます。
14.4mm。厚みが出てきました。ただ、2つ折り財布が35ミリ、長財布でも25ミリ程度ですから、かなりの薄さです。
反対側にもカードを3枚いれてみます。すると……
2センチ近くなりました。
6枚とも入れるとパンパンになるので、カードの枚数は3枚程度に抑えておくのが良さそうです。