カラーキーパー(collar stiffeners)をご存じでしょうか。
文字通り、シャツの衿(カラー)をぴしっとまっすぐにするための「芯」です。
シャツを買ったときにも薄いぺらぺらのがついてきたりしますが、実は、別売りされていたり、紙・真鍮・ステンレス・純銀など様々な種類が合ったりと、結構興味深いヤツでもあります。
今回は「それってなに? 美味しいの?」というところから、カラーキーパーの基本について考えてみたいと思います。
カラーキーパーってなにをするもの?
大きく分けて、3つの目的があります。
- 衿がカールするのを防ぐ
- 好みの形に衿をととのえる
- 贈答用
襟がカールするのを防ぐ
まずは1つめ。これが本来の、カラーキーパーの用途です。
シャツは何度も洗いを掛けると、衿の部分がくるっと丸まってしまいます。
このままだとタイをするにしても凄く格好が悪い。 そこで、カラーキーパーを入れてやることで、衿を伸ばすことが出来ます。
好みの形に衿を整える
つぎに2つめ。金属のカラーキーパーだけに出来ますが、好みの形に衿を整えられます。
基本はぴんっと伸びた衿が理想なのですが、小洒落た感じを出すために、変形させるお方もいらっしゃいます。
そんなときに、カラーキーパーがあれば、その形を長く維持できるわけです。
贈答用
さいごに3つめ。カラーキーパーには様々な材質がありますが、純銀(コインシルバー、スターリングシルバーなど)やプラチナで作られるカラーキーパーが結構あります。
男性向けの高級贈答品として作られているわけですね。
カラーキーパーは、カフリンクス(いわゆるカフスボタン)、スタッズ(飾り鋲)、タイバー(いわゆるネクタイピン)などと並んで、メジャーなギフトになっています。
販促グッズとしての店の名前が入った物などもあります。
店の名前が入ったカラーキーパー。
上はティルウィット(英、真鍮製)、下はランズエンド(米、プラスチック製)のもの。
※見えないところに金を掛ける……などと、昔の江戸っ子はよく言いますが、これは「チラ見せ」の話で、本当に見えないところに金を掛けるお大尽も居るものですね^^;
カラーキーパーの使い方とその存在意義
まず、カラーキーパーの使い方から。
これは至極カンタン。衿の裏に差して使うだけです。
ドナンナ(伊)製のシャツ
こんな感じ。
銀座大和屋(日)製のシャツ
ただし、カラーキーパーが使えない仕様のシャツもあるので注意して下さい。※あらかじめ埋め込まれている、ボタンダウンなど
シャツを買うとき/作るときに、確認するのも手です。
次に存在意義ですが、現在は2つの意味で失われ掛けています。
- カールする芯地が少なくなった
- ソフトな衿が好まれるようになった
まず1つめですが、これは衿に使う芯地の発達で、昔のようにカールしやすい物が少なくなったためです。
アイロンやクリーニングのプレスで簡単に復元しやすい素材が増えてきました。
2つめ、これは流行ですね。ここ10年くらい、イタリア風の紳士服が流行していますが、「やわらかさ」や「エレガントさ」を非常に重視する気風のため、「堅い衿」を作ってしまうカラーキーパーは、あえて抜いて使うという方が多いようです。
以上の2つが大きな理由となり、日本ではあまりカラーキーパーが表舞台に出てくることはありません。
私はどうかというと、どちらかというとイギリス贔屓なので使うことが多いです。
就活中や営業職など、ぱりっとした感じを見せたいときは、有効かも知れませんね。
H30.8.18追記:この記事の初出はイタリア風全盛の頃でしたが、追記現在はイギリス風が完全に復権しています。そのため、ハードな襟が好まれるようにもなっており、カラーキーパーも復権の兆しです。
(おまけ)カラーキーパーいろいろ
カラーキーパーには色々な材質があると書きましたが、手元にあったカラーキーパーをご紹介します。
この手の物には余り興味がないため、ほとんどがもらい物ですので、高級品は一切ありません^^;
紙製のカラーキーパー
一般的な、安価なシャツを中心に利用されている透明プラ製のキーパー。
薄すぎて、最早カラーキーパーの役割を成しているか謎。
ステンレス製のキーパー。
上が普通の衿用、下がワイドカラー用だったかなぁ……
大きさはどんなもんじゃい。ということで、並べてみました。
概ね6センチ。一番上は日本の一般的なシャツだと大きさが余るかも。
カラーキーパー、如何でしょうか。
如何というか、まぁ、凄くニッチな話題を扱ってしまったと、書いたあとに半分後悔しています^^;
あ、あと、クリーニングに出すときや洗濯するときは、キーパーの部分で「アタリ※」が出てしまうので、必ず抜きましょうね。
※……生地のある部分が、必要以上にプレスされてテカること。
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今年の夏は、電力不足の影響で、様々な場所の冷房が控えめになりそうですね。
それを見越して麻のジャケットを仕立てています。。。。
と思ったら、「ノー上着、ノーネクタイ運動」が行われるとか。
日本の夏に、ジャケットがあわないことは分かっていますよ。ええ。
でも、中途半端にスーツスタイルを残してスーツスタイルの下着であるシャツでレストラン入るとか、どうなんでしょうか^^;
日本人なら、着流し&正式な場所だったら袴でも着ける スタイルの方が、まだ良いのでは……
って、最近は浴衣(=パジャマ)で電車に乗ったりする人もふえたので、下着スタイルとあまり変わらないかも知れませんね。:p