本日はすこし地味な話題を……。
皆さんは、ベルト穴が足りない、というシーンに遭遇したことはありますか?
一番よくあるのは、痩せたり肥ったりでズボンのベルト穴が足りなくなることでしょう。 あるいは、見栄えの維持を目的に、留める位置から穴の数を左右対称に保つために開ける、というシーンもあるでしょう。
今回は、先日ベルトの穴開けを行ったので、穴あけポンチについて、紹介したいと思います。
1. ベルトの穴が足りない
ズボン用、時計用、鞄用など、男性ファッションには革製のベルトを使うシーンが多くあります。
当然ですが、(リングベルトやメッシュベルト等を除くと)ベルトは穴の開いている位置でしか、バックルを留めることはできません。
オーダーならまだしも、既製品のベルトの場合、そのままでは長すぎたり逆に短すぎたりする事もままあるのが現実です。
長い時計のベルト
今回は、少し大きめを買ってしまった、こちらの時計用のベルトに穴をあけてみます。
もちろん、ただ穴をあけるだけなら、カッターや千枚通しでも十分です。
しかし、ベルト穴は見た目が命。仕上がりが綺麗でないと、とても格好悪く見えます。
そこで今回は、刃先が回転し、サクッときれいな穴が開けられる、「スクリューポンチ」をつかいます。
2. スクリューポンチの使い方
今回使うのはこれ。野中製作所のスクリューポンチ。日本製です。
本体は3千円程度、替え刃はサイズにより価格はまちまちですが、だいたい500~700円程度です。
これまでに何種類かのポンチを使ってきましたが、ハンマーを使うタイプは一発で上手く開かない、ペンチ型は穴が汚いなど、不満点が多くありました。
しかし、スクリューポンチは簡単に、しかも本当に綺麗な穴が開くのでオススメできます。
刃をセットする
使い方は至ってシンプルです。
まず、先端のネジを緩めます。
開ける穴に合ったサイズの刃を選んで……
装着。
先ほどとは逆に回し、しっかりと替え刃を固定します。
そして、穴を開けたい場所に対して垂直に差し込み、上からゆっくりと力を掛けていきます。
うまく穴をあけるコツ
この「ゆっくり」というのがポイントです。
スクリューポンチは通常のポンチと違い、ハンマーなど上からの力で「革を断裂させる」のではなく、回転によって「革を切る」ことにより穴をあける仕組みだからです。
その仕組みを少し説明します。
こちらの写真は、スクリューポンチの軸部分です。綺麗な深い切り込みが入っているのが分かります。
上から少しずつ力をかけると、スプリングに支えられた軸は、取っ手の中に埋まっていきます。
しかしその時、この切り込みがあるために、軸が心地よくクルクルと回転していくのです。
そして、その回転は先端に装着された替え刃を回転させ、その精巧な刃がベルトにみるみる穴を開ける……というわけです。
結果
一番左側の1つが、スクリューポンチで開けた穴です。 めちゃくちゃ綺麗ですよね。 あたかも、元から穴があったかのようにみえます^^;
周囲の凹みも一切無しです。
こちらが刃に残った、くりぬかれた部分。
それを取り出したのがこちら。
小さいので拡大して見ました。革の組織が潰されず、綺麗にスパッと切れているのが分かります。
このスクリューポンチ、使っていて思うのが、本体・替え刃ともに、とても精巧な作りだということです。
ブレずにスムーズに回転する本体軸と、切れ味の鋭い替え刃が、今回の様な薄く引きつりやすい爬虫類革も、はたまた厚いステアハイドのズボン用ベルトも、スルスルと穴を開けてくれます。
ご婦人や力の弱い方にも簡単に扱えると思います。
3. 使う上での注意点
これまで何度か使ってきて、気をつけた方が良いと思う点を2つ紹介します。
見た目には穴のサイズが大事
1つめはサイズの合った刃を使うことです。既存の穴とサイズが違うとかなり目立ちます。
そのため、替え刃のサイズ選びは慎重に行って下さい。(判断に迷ったときは小さいサイズに倒す、がオススメ)
カッティングマットは必須
2つめは必ずカッティングマットを敷くことです。かなり切れ味が鋭いので、ボール紙ぐらいでは軽く貫通してしまいます。
貫通すれば当然机を傷めますし、精巧に出来ている刃もダメになります。
リンク
なお、元も子もない話ですが、靴の修理店には、ベルトのお直しを受け付けてくれるところがあります。
穴を1~2個増やすなら良いでしょう。しかし、それ以上は値が張りますがお直しに持ち込んで、バックル部分から短くした方がバランスが良くなると思います(特にズボン用のベルト)。