皆さんはベルト(ズボン用)のサイズ調整をしたことがありますか?
自分でカットできるタイプであれば簡単なのですが、今回はサイズ調整が出来ないタイプのベルトを、ベルト専門の工房に依頼して調整(サイズ詰め)してみましたので、その体験記をご紹介します。
加えて、ベルトの適正サイズ、調整ができるベルトとそうでないベルトの違いなどにも言及します。
1.ベルトの適正サイズとは
ベルトのサイズ調整に入る前に、まずはベルトの適正サイズが何かを考えてみます。※ご存知の方は読み飛ばして下さい
ポイントは真ん中の穴で留める
メッシュベルトなどを除き、ベルトはベルト穴にバックルのピンを通すことで留めます。
このとき、自分の腹囲にあった穴に通せば良いのですが、やはり中央の穴(5穴であれば3番目の穴)に通すと格好良く見えます。
ベルトを製作する側も、中央の穴で留めた状態が最良になるよう、デザインしているそうです。
キツくしめすぎない
そしてもう一つ重要なのは、ベルトはキツくしめすぎないと言うことです。
ベルトに負荷がかかる
一番の理由は、ベルト本体はもちろん、穴の負担が大きくなり、寿命が短くなるからです。
特に、穴がみすぼらしくひしゃげたりしてしまうと、外見上もかなり目立ちます。
ズボンの見た目が悪くなる
そしてベルトを締めすぎると、ズボンに余計なシワがよってしまい、見た目を損ないます。
酷い場合だと、ベルトの上から出たズボンがまるで巾着袋の口の様にヒダヒダになっているものを見かけます。
ベルトは飾り!?
異論はあろうかと思いますが……
- ベルトを使わなくてもずり落ちないジャストサイズのズボンをはく
- ベルトはあくまでもズボンの飾り
- ベルトはバックルが下を向かない程度に弱く締め、ベルトとズボンのダメージを減らす
と私は考えていますが、いかがでしょうか?
ベルトの適正サイズまとめ
従ってベルトの適正サイズとは、
- 適正サイズのズボンにベルトを通し、
- バックルが下を向かない程度に弱く締めて、
- 真ん中の穴で留められる
上記3点を満たした状態が、ベルトの適正サイズだと考えています。
2.サイズを調整できるベルトと、できないベルトの違い
ベルトには、利用者が簡単にサイズ調整(基本的には短くするのみですが)ができるタイプのベルトと、そうでないものの2種類があります。
サイズ調整が可能なタイプ
サイズ調整が可能なタイプは、販売時もワンサイズのため選びやすく、自分のジャストサイズに合わせることが出来ます。
よくあるのは、このようにバックルについているクリップでベルトを留める方式と、
このようにネジ式になっているものの2パターンでしょう。
クリップ式のメリデメ
クリップ式のメリットは、なんと言っても誰でも手軽に短くできることです。
はさみ1本あれば、クリップを外し、必要なサイズにカットするだけです。
ただし、特にクリップの工作精度が低いと、はめづらい、スポッと抜けるなどの問題が発生しやすいというデメリットもあります。
ネジ式のメリデメ
ネジ式は、基本的に専用の工具であるポンチ(パンチ)が必要で、穿孔(穴を開ける)位置を決めるのにも慣れが必要など、クリップ式に比べてハードルは高めです。
一方で、しっかりと留められるため、安定性が高く頑丈というメリットがあります。
サイズ調整が出来ないタイプ
ベルトにはもう一つ、バックルとベルトが縫い合わされ、サイズ調整ができないタイプがあります。(むしろこちらの方が多数派で、また正統派といえるかもしれません。)
そのため、購入時は当然自分の寸法に近いサイズのベルトを選ぶ必要があります。サイズ展開が少ないと、ジャストで合わせづらいんですよね……。
デメリットばかりに感じられるかも知れませんが、調節式のものに比べ丈夫なものが多く、またデザインの自由度も高いため、こちらの方が好きという方もいます。
3.今回調整するベルトの紹介
そして、今回調整(短くする)ベルトはこちら。
英国の老舗ブランドJABEZ CLIFF(ジャベツクリフ)のブライドルレザーベルトです。
馬具メーカーだけあって、質実剛健な肉厚ベルト。
当然サイズ調整が出来ないタイプです^^;
かつては1万円くらいで購入できたのですが、すこし値上がりしてしまいました。とはいえ、本記事初出時点でも1万円ちょっとで購入できるため、未だコストパフォーマンスに優れています。
3色同じサイズで持っていたのですが、初めからすこし大きめだったのと、最近少しお腹周りが小さくなった影響で、一番手前の穴で留めていました。
無骨な感じなので、ウィークエンドのジャケパンスタイルにピッタリ。特に茶色は革が美しくお気に入りで、ヘビーローテーションしていました。
4.依頼先を探す
ベルトのサイズ調整は、服や靴の修理をしている店であれば請け負ってくれるところが多いです。
ただ、穴を前後に開けて増やすだけのパターンも多く、そして今回のベルトのように飾りがついた穴を増やすことには対応していません。また、穴を増やすと格好が悪くなるという欠点もあります。
バックル側を短くしてくれる店もあるのですが、都内で複数の店に聞いたところ、1本当たり平均で4,000円くらいしました(当サイト調べ)。
どうするか迷っていたところ、「浅香ベルト」という埼玉県の工房で、わずか2,000円(税抜)で請け負ってくれことが判明。しかも、普段はベルトを専門に作っている工房(つまりベルト専門家)のようです。
5.依頼する
相談
とりあえず、現状のサイズや、適正サイズなどをメールで浅香ベルトに送り、修理について相談してみました。
ただ、サイトの作りは西暦2000年前後の古き良きインターネット時代を彷彿とさせ(失礼)、工房のご主人もベテランの様子でメールのやりとりに不安がありましたが(失礼)、杞憂でした。
実際はかなりレスポンスが早く、かつ的確なアドバイスを多数いただけました。
そして、トントン拍子に依頼をすることが決定。(どうやら、インターネット業務の担当者がいらっしゃるようでした。)
ベルトカットの対応サイズについて
なお、バックル側で調整(ベルトカット)する場合、少なくとも6センチ以上ないと修理痕(ただし、ベルトを装着すると見えない)が残るとのことでした。
今回はもともと大きめのベルトという事もあって7センチの短縮でしたので、ベルトカットでお願いしました。
発送
隣県のため宅配便で送っても良かったのですが、一番リーズナブルで気軽に発送できるレターパックプラスを使うことにしました。
510円を払うと、コンビニでも買えます。(字が汚いのは見なかったことにして下さい……。)
重さは4キロまでOKで、厚さの制限はありません。
ベルト3本をまとめて……
こんな感じで突っ込めば
できあがり!
集荷(無料)にも対応しているので、自宅まで取りに来てくれます。便利。
6.調整後の状況
そして1週間程度で、調整が完了しました。
フォトレビュー
返送されてきた様子。
中央に見えるのは……
切り取られた部分でした。
縫合部分を確認する
上の写真は調整前の裏面です。これが……
こんな感じになります。
元の穴に縫い付けるのは難しいそう(事前に承諾を求められました)で、横一文字にミシン目が入っていますが、この点はやむを得ないところでしょう。
表面です。こちらは……
こんな感じに、少し雰囲気が変わりました。
ただし、この様にベルトを装着してしまうと隠れる部分であるため、前後にあまり違いはありません。
修理に満足
修理について、仕上がりは満足です。
しっかりオーダー通りのサイズで、真ん中の穴で留められるようになりました。
都内の半額料金で対応してくれるのはもちろん、専門家であるベルト工房で加工してくれるという安心感もあります。
調整できないタイプの長いベルトや、バックルが好きだけど革部分が傷んでしまったベルトを死蔵させている方は、相談してみると良いかも知れません。(後者は、革の一部リニューアルや全面付け替えで対応できるそう。)
なお、せっかくのベルト工房ということで、同時に2本、ベルトの新規製作をオーダーしていました。(上の写真でバレていたかも知れませんが^^;)
これからの時期に活躍する、ヌバックのベルトです。
次回、新しく作ったベルトのレビューをお伝えしたいと思います。