今回も、「台無しになる着こなし」に関連していただいたコメントの中から「これは!」と思うものを取り上げて解説していきます。
第3回は、「ボロボロのベルト」です。
スーツやジャケパンスタイルはもちろん、上着を脱いだワイシャツ一枚のクールビズでも活躍するベルト。しかし、思わず眉をひそめたくなるボロボロのベルトを着用している人が一定数います。
なぜボロボロのベルトが良くないのか、ベルトの寿命を簡単に延ばす方法、ボロボロになったベルトの回復方法などをご紹介します。
1.ベルトはとても目立つ
前提として、ベルトはとても目立つ、ということを認識する必要があります。
ノージャケットはもちろんですが、通常のスーツやジャケパンにおいても、ベルトは上下に繋がる生地の連続性を、「革」という異素材で、かつ横一文字で分断するアイテムで、視線がそこでとまりやすいからです。
特に、黒のベルトは傷むと、薄い染色されていない素材が顔を出します。これはコントラストを生んでかなり目立ちます。
このように、ボロボロなベルトの着用は、目立ち、みすぼらしい印象になるので注意が必要です。
2.ベルトは消耗品
傷みを防ぐ方法や回復方法に入る前に、もう一つ重要な前提があります。
それは、ベルトは消耗品になりやすい、ということです。
なぜかというと、ベルトは強いダメージを常に受けているアイテムだからです。主な理由を簡単に述べると以下の通りです。
- 着用中、ベルトの穴には常に穴を引き裂こうとする強い力がかかっている(特に着席時)
- 穴以外の部分も、着用のつど&着用中、金属製のバックルに接触する
- 汗をよく吸収するのに、連日同じベルトを用いることが多い
- 座った状態で、椅子の背もたれと強く擦れる
- 手入れの対象とならないことが多い
これらの理由を前提として、どうすれば傷みを防ぐ事ができるのか、傷んだベルトはどう回復すれば良いのかを考えていきます。
3.ベルトの寿命を簡単に延ばす3つの方法
続いて、簡単にベルトの傷みを防ぎ、寿命を延ばす方法をご紹介します。できる範囲でよいので、ぜひ実践してみて下さい。
①サイズの合ったズボンを履く
ベルトの寿命を延ばす上で最も大事なのは、ベルトをキツくしめすぎないこと。
そのために最も効果的な手段が、サイズの合ったズボンを履くことです。
サイズの合わない大きすぎるズボンを履くと、生地が余り、ベルトをかなりキツくしめないとズボンが下がってきてしまいます。
もちろん「ズボンのサイズを合わせるのがベルトの役割でしょ?」という意見もあることでしょう。しかし、ぜひ一考していただきたいことがあります。それは、ベルトの寿命が短くなる以前に、サイズの合わない大きなズボンはシルエットも悪くなるということです。
従って、ベルトでズボンのサイズを調節するのでは無く、ベルトをしなくてもフィットするズボンをはくことが重要です。
その上で、ファッションとしてベルトを着用するぐらいがベストです。
②ローテーションする
靴やズボンは毎日ローテーションするのに、ベルトは毎日同じ……ということはありませんか?
ベルトに用いられている革は、腰の位置にあって大量の汗を吸い込んでいます。この状態で乾燥させずに連用すると、寿命がとたんに短くなります。
従って、ベルトは毎日同じ物を着用せず、日々ローテーションすることで寿命がかなり伸びます。
夏季や雨に濡れた際は中2日、それ以外も1日は着用間隔を開けてください。(また、濡れた場合は後述するクリームを塗り込んで、ひび割れを防ぐ事も重要です。)
③椅子の背もたれに注意する
ベルトの最も痛みやすいところは、金属製のバックルとピンが当たるバックル穴とその周辺ですが、その次に痛みやすいのは着用時背中側に来る部分です。
椅子に座った状態でベルトを見ると、背中からわずかに浮いた状態になっていることが分かります。
この浮いている部分が、椅子の背もたれと良く擦れるのです。
特に、最近増えているメッシュ素材の椅子は注意が必要で、下ろし金のように面白いようにベルトが削れていきます^^;
会社の備品等で指定されている場合は仕方ありませんが、もし選べるのであれば、“下ろし金背もたれ”は避けてください。
デスクワークが多い方は特に注意が必要です。
4.傷んだベルトの回復方法
次に、傷んだベルトの回復方法を見ていきます。(とはいえ、生物から離れた「革」は、自力で回復することはありません。したがって、回復=傷が分かりづらくなる 程度に捉え、過度な期待は禁物です。)
一番簡単なのは、無色の靴クリームを使うことです。デリケートクリームでもOKです。
革に水分と油分が入ることで、傷が目立ちにくくなりますし、艶が入ることで輝きが増します。
モゥブレイのデリケートクリームでも良いですが、個人的には油分が多めの1920がオススメです。
ただし、しっかりと布で拭ききって、少なくとも2日は陰干しして下さい。クリームがついた状態だと、たとえ無色であっても、ベルトの色が衣服についてしまう可能性があるからです。
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有色の靴墨を用いる方法も
また、これは意見が分かれるところかと思いますが、色の入った靴墨を用いることもあります。こちらのほうが、より傷が目立ちにくくなります。
ただし、やり方を間違えると、シャツやジャケットに色が移ってしまいますし、汗をかいたときにズボンにも色がついてしまいます。
しっかりと拭き取って磨くこと、水分で流れない油性の靴墨を使うことが重要です。
心配な方は、まずは無色の靴クリームやデリケートクリームで始めて下さい。
靴同様、仕上げにストッキングで磨くと、より艶が増すのでオススメです。