先日、同僚との会話の中で「スーツ好きの、服へのこだわり」について、話題になりました。
同僚曰く「スーツ好きはこだわりが強くて、融通が利かない」「他人に自分の価値観を押しつける場合か多い」という、一種非難めいたものでした。
一瞬私のことを揶揄しているのかと焦りましたが、どうやら違う様子。なんでも、SNSでのやりとりで、不愉快な思いをしたとのことでした。
男性のスーツスタイルにはルールがあり学習しやすいと言われます。しかし、ルールがある故に、ルールを逸脱する装いに対して、攻撃をかけられやすい特徴があります。特に、SNS(当サイトを含む)は不寛容になりがちで、反省すべき点が多いと、彼との会話の中で感じました。
そこで今回は、雑誌で、店頭で、SNSで見聞きする、服好きの「こたわり」について、スーツに焦点を絞って考えてみたいと思います。あなたの「こだわり度」はどのくらいでしょうか?
※ 念のため……本記事は(自分を含む)ファッションに対するこだわりの強い方向けのジョーク記事です。私も同類として、そのこだわりを批判する意図はありません。また、該当が多かったからといって落ち込む必要も改善する必要もありません。しかし、高ポイント獲得者は、他人に服の話をするときに、相手の顔色を観察しながら話すことをオススメします……。
※ 念のため2……記事内の各「主張」「反対意見」は、かなり極端な書き方になっているので、話半分にご覧下さい。また、私の考えは各項目の「個人的見解」に記載しました。
まずは、当サイトのコメント欄でも、しばしば熱い論戦が繰り広げられるシャツに関する主張から。
1.アンダーシャツの着用は甘え!
主張
シャツ(いわゆるワイシャツ)は、そもそも下着である。シャツはかつて、現在よりも着丈が長く股もカバーする、下着のパンツと一体型の製品であった。
現在でも西洋ではその認識は変わらず、従って、下着(シャツ)の下に下着(アンダーシャツ)を着るのは屋上屋を架すが如く、ガラパゴス的な甘えである。
――反対意見
三つ揃いのみの時代はともかく、現在のシャツは、ジャケットに覆われない露出部分が広く、必ずしも下着とは言い切れない。そして、下着として製作されなくなっていることは、生地やデザインを見れば明白である。
また、オフィス内ではジャケットを脱ぐ機会も多く、高温多湿で汗のかきやすい日本では、肌の透けを防ぐためにも、アンダーシャツは必須だ。
個人的見解
どちらの意見も間違ってはいないと感じています。
ただ、肌の透け防止(見せられるような肉体を持ち合わせていません……)、ウェストコートへの汗ダメージ軽減、べたつきによる不快感防止、冬の防寒等を目的として、基本的には通年でアンダーシャツ着用派です。
これは、自分の格好が他人にどのような印象を与えるか、そして自分が気持ちよく着られるか、という2点に焦点を絞った結果です。
2.ボタンダウン以外は認めない! or ボタンダウン大嫌い!
主張1(ボタンダウン以外認めない)
ボタンダウンはアイビーのしるし。若い頃からそうで、今更変えるつもりも必要性も無い。ボタンダウンこそが最もお洒落なディテールだ。従って、会社、冠婚葬祭、休日基本的には全てボタンダウンで揃えるべき。
主張2(ボタンダウンは大嫌い)
ボタンダウンはその出自からスポーツウェアであることは明白。少なくともビジネスや冠婚葬祭には着用すべきではない。さらに、三つ揃いに合わせるなんてもってのほか。
個人的見解
私は、三つ揃いなどクラシカルな装いが好きなのですが、これには、ある程度歴史的な経緯を考慮する必要があると考えています。そのため、会社に行く服装や冠婚葬祭などでは後者の意見に賛同することが多いです。
ただし、ボタンダウンはノーネクタイ時、第1ボタンをしめなくても、きちんと襟が立つのが素晴らしいです。襟がジャケットのラペルに入り込むのはだらしがなく見えますから。
このため、ジャケパンではボタンダウンをよく着用しています。(スナップダウン襟や隠しボタン襟などで、代替できるという意見もありましょうが……)
3.シャツのポケットは無粋!
主張
前述の通り、シャツは下着である。下着に、物を入れるためのポケットは無粋で、見た目も良くない。ポケットのついたトランクスやブリーフを見たことがあるだろうか?
ポケットのついたシャツは、ガラパゴスシャツと言える。
――反対意見
ポケットがあった方が便利。
個人的見解
見た目上、ポケットがない方が好きで、私が持っているシャツの(感覚ですが)9割にポケットはついていません。
しかし、夏場のツーピースでジャケットには物を入れたくないとき(通勤時に携帯音楽プレイヤーを入れたい……)、盛夏の麻シャツ単体時用に、意図的にポケットを付けたシャツも持っています。
基本的には、単体でも着られるように作られたシャツ(カジュアルシャツを含む)であれば、ポケットがついていても良いのでは? と思います。
続いては、みんな大好きスーツに関する話を。
4.三つ揃いでなければスーツではない!
主張
スーツは本来三つ揃い(スリーピース)である。ジャケットとトラウザーズ(ズボン)だけのいわゆる2ピーススーツなど、腹部の「下着」(=シャツ)がだらしなく見える、略装に過ぎない。これでは、包装もされずに袋詰めされてしまった商品のようだ。
――反対意見
既製品だと選択肢が狭まるから、2ピースで十分。腹部? フロントボタンをしめておけばOK。また、過剰包装は時世に合わない。
個人的見解
2ピースと3ピースは、もはやダブルとシングルのスーツと同様、スーツの種類の違いでしか無くなったように思います(少なくとも世間のとらえ方を見る限り)。
つまり、2ピースは三つ揃いの簡略版という認識は、世間的には持たれていない、と言う事です。この点では、反対意見に同意です。
ただ、自分がどう見えるか、を考えたときに、三つ揃いはとても有効なアイテムで、私も愛好者です。ジャケットを脱いでもシャツがだらしなく見えず、サスペンダー(ブレイシーズ)が派手にならず、そして真面目で誠実そうな印象にもなる事でしょう。
個人的には、スーツの大半を三つ揃いにしており、夏以外は基本的に三つ揃いにしています。
5.ジャケパンはチャラチャラしてビジネス不相応!
主張
ジャケパンはカジュアル。チャラチャラしていて、社会人の服装として相応しくなく、仕事相手に失礼。カジュアルフライデーとか、クールビズとかで一気にジャケパン出社が増えたが、週末の遊び着に過ぎない。
――反対意見
お洒落にジャケパンは欠かせない。業界や職種によってはビジネス着として定着しており、会社用として問題ない。むしろ、上着を着ない業界も増えてきている中で、マナーに沿っている方だと思う。
個人的見解
仕事柄、様々な業界の方と接する機会が多いのですが、どんな業界にも、この主張の方はいらっしゃると感じています。
そして、お客様と相対するときは、自身の印象(=服装)がプロジェクト/商談の成功を大きく左右すると考えています。
個人的にはスーツもジャケパンも好きです。しかし、この様な理由から、自己ルールとして、来客や外出がある時は原則スーツ、内勤時のみジャケパンでも可、としています。(ただ結局、着用時に気持ちがが引き締まるので、平日は内勤でもほぼスーツです。休日は、ほぼジャケパンですが。)
6.三つ揃いにベルト着用はあり得ない!
主張
ベルトのバックルで盛り上がったウェストコート(ベスト、ジレ)の裾は、無粋以外の何物でも無い。そもそもベルトは剣や拳銃など武器をぶら下げるための物。エレガントなスリーピース(三つ揃い)とはテイストが相反する。
三つ揃いにはブレイシーズ(サスペンダー)を合わせるべきだ。
――反対意見
大戦前はいざ知らず、ベルトはスーツ用の装身具として定着して久しい。スリーピースでも、バックルが薄い物を使ったり、位置をずらすなど工夫すれば全く問題ない。
個人的見解
個人的には三つ揃いとブレイシーズ(サスペンダー)が好きなので、ウェストコート×ベルトという組み合わせはしません。ただ、反対意見にもあるとおり、工夫次第ではベルトでも問題ないと思います。トイレの個室に座るときにも楽ですし。
とはいえ、トラウザーズ(ズボン)が綺麗に見えるのは、やはりブレイシーズですが……。
前半を振り返って
前半はシャツ3点、スーツ3点の計6点に言及しました。
この中で1つ以上、賛成できる項目があった方へ:
スーツスタイルに何らかのこだわりがある方でしょう。今後とも当サイトをどうぞよろしくお願いします。
1つも無いあなたへ:
くだらない議論を最後までご覧下さいまして恐縮です……。服好きにこの手の話を振ると、延々と喋り続けると思います。どうぞお気を付け下さい。
字数の都合で申し訳ありませんが、続きは次回に考えていこうと思います。