皆さんはどんな筆記具を使っていますか? コンビニで買った数百円の、あるいは会社支給のボールペンをお使いの方も多いのでは無いかと思います。
実は、実用性の他にも「ファッション」という観点から、筆記具は非常に重要な道具です。
装いに適さない筆記具は、せっかくのコーディネートを、崩してしまいます。しかし一方で筆記具は、手軽にファッションの品格を上げられる道具でもあります。
そこで今回は、実用性も装飾性も抜群の「万年筆」のメリットをとり上げます。
万年筆は近年復権の動きが有り、若手でもビジネスで使う方をちらほら見かけるようになりました。高級筆記具の王様、万年筆の魅力とはどの様な物があるのでしょうか。
万年筆のメリット1「ファッション性が高い」
まずは外観です。
男性に許される宝飾品は少なく(ビジネスですと時計、カフリンクス、タイバーくらいでしょうか)、その一つとして筆記具が挙げられます。
万年筆に代表される高級筆記具は、一般の「事務用筆記具」とは一線を画す見た目を備えています。
ストレートチップの革靴のような、ストイックな美しさがある高級筆記具から、超高級時計の様な、プラチナに宝石がちりばめられたものまで様々な種類があります。
従って、自身のスタイルにあった筆記具を見つけるのは、そう難しいことではありません。
では、高級筆記具の中でもなぜ万年筆なのでしょうか。
これは、キャップを取ったときのインパクトの違いです。万年筆のペン先は、ボールペンと違ってとても存在感があり、一目でそれと分かるからです。
もうひとつ万年筆を「持つ」「使う」という行為そのもののファッション性です。
かなり自己満足的な要素も含まれますが、ボールペン全盛の中、あえて万年筆を使うことは、一つのファッションと言えます。
万年筆のメリット2「書き味が良い」
続いては実用面です。
手書きの長文を書く必要がある司法試験などでは、現在でも人気の高い万年筆。
万年筆は、ボールペン等と違って非常に軽い力で、手に負担なく筆記が可能です。さらに、使ううちに「書き味が良くなる」「自分に合ってくる」という点も特徴です。
これは、万年筆のペン先の先端(ニブポイント)に秘密があります。このニブポイントが、筆記されるうちに紙との摩擦で滑らかになっていきます。
ペンの持ち方などに強く影響され、その人にとって一番書きやすい万年筆が出来上がるのです。
ペン先の丸くなっている部分がニブポイント
イリジウムを主原料とする固い材質の金属で出来ているが、
筆記するうち、摩耗して持ち手の書きグセにあった形に変形する。
また、利用するインクによっても、書き味を替えることができます。
たとえば、粘性の低いパイロット製のインクを使えばサラサラとした書き味に、粘性の高いLAMY製のインクを使えば、ヌルヌルした書き味になります。
万年筆のメリット3「字が綺麗に見える」
字が綺麗に見える理由は3つ有ります。
- 油性ボールペンのように、字の角に丸みが出ないため、角張って綺麗に見える
- 筆圧によって字の太さが変わるため、トメ、ハネ、ハライなどが、上手く表現できる
- 万年筆インク特有の、色の濃淡が書いた文字に現れる
水性ボールペンやゲルインキボールペンの普及に伴い、一つ目のメリットは薄れつつありますが、2つめと3つめは、まさに万年筆特有のメリットです。
特に3番は綺麗に見えるという事に加え、字に「味」が出ます。
これは、青色や紺色(ブルーブラック)で書かれた字に顕著で、万年筆で書かれた手紙をみると、人の温かみを感じられるのはこういった所に由来すると考えます。
万年筆のメリット4「意外にランニング費用が安い」
「高級筆記具の雄」ですから、さぞかし高いのかと思いきや、意外や意外、ランニング費用はかなり安価です。
まず、インク代が安い。ペリカンのボトルインクの場合、76mlのものがAmazonで527円でした。
メーカーのウェブサイトなどを見ると、1回のインク吸引で70mくらい筆記できるとのこと。一吸引が0.7ml前後ですから、1ボトルで約100回吸引できる計算です。
したがって、1ボトルで7,000m書けることになります。
※ 以上は標準的なコンバーターを利用した場合
一方、事務用ボールペンが1本1,000mということですから、インクボトルに換算すると約75円分ということになります。
従って、少なくとも100円ボールペン買い換えよりもコストパフォーマンスは高いことになります。
勿論、インクボトルを使わずインクカートリッジを使う場合や、100円ボールペンを買い換えず、替え芯を入れ替える場合など、計算は変わってきますが、想像以上にランニング費用が安いことはおわかり頂けた事と思います。
そして、耐久性も高いのです。
万根筆のペン先は耐久500万字以上と謳われるように、手入れをすれば数十年に亘って使えます。服や靴と違ってサイズが関係ないため、親から子へ、子から孫へ受け継ぐことも十分可能です。
万年筆のメリット5「手軽に所有欲を満たせる」
万年筆は趣味性も高く、靴や時計と同じく所有欲をそそります。しかし、大きなポイントは靴や時計ほど高くないことでしょう。
万年筆界のJohn Lobbであるモンブラン(Montblanc)は、主要ラインでも5万円台から購入可能。万年筆界のCrockett and Jonesであるペリカン(Pelikan)だと、2万円台からです。
また、場所を取らないのも良いところです。
靴の置き場所、服の置き場所などはとても悩むところですが、万年筆はペンケースに入れ、机の引き出しに仕舞っておけばOKです。
もちろん、他の高級筆記具も所有欲をそそります。しかし、少なくとも私は「万年筆だからこそ」というところがあるのではと思い、メリットの一つとしました。
本サイト(たぶん)初の筆記具ネタ、それもコアな万年筆から書いてしまいました。
この数年間、ずっと書きたいと思っていたのですが、正直引かれてしまうのでは――と、自粛しておりました。
しかし、ビジネスの世界で、若い世代が万年筆を使っているところをしばしば見るようになったこと、ファッション誌の特集などでも、(申し訳程度ですが)筆記具がちらほら出ることなどから、一定の需要はあるのではと思い、今回のエントリーに至りました。
筆記具初め、万年筆はネタとして書きたいことが沢山あります。
たとえば手入れ方法、買い方/選び方、組み合わせるインクや紙等々……。もしかしたらまた登場するかも知れませんが、我慢できなくなったんだなと、ご容赦下さい^^;
なお、この記事を読んで万年筆が欲しくなった方で、初めの1本には何が良いかと訊かれれば、お薦めは、メリット5で紹介したドイツの2大メーカーです。
具体的に言うと――コストパフォーマンスを求めるならば:Pelikan スーベレーン M600シリーズ、高級感を求めるならば:Montblanc マイスターシュテュック 149
※ 字の細さは、漢字筆記用途なら、F(細字)かEF(極細字)が良いと思います。
といったところでしょうか。
この2本なら書き味は問題ないですし、どこへ出しても恥ずかしくないです。
それでは。