皆さんは、万年筆を仕事で使っていますか?
使いたくても、高そうなペンをこれ見よがしに取り出すのは、若い世代にとって気が引けてしまいますよね。
かといって、安っぽい万年筆では、少し格好を付けた大学生のようで、様にならないことも……(個人的には安い鉄ペンも大好きですが^^;)。
そんなとき、様々な理由からオススメなのがLAMY2000。私もかれこれ10年以上使ってきました。
万年筆好きには「今更かよ」な話題かも知れませんが、今回はデビューから50年を迎えたLAMY2000の魅力をとりあげます。
1.製品概要
- 製品名:LAMY2000 万年筆 (極細字<EF>)
- 材質:樹脂
- 生産国:ドイツ
- 価格:\13,000~\30,000
- リンク:公式、Amazon.co.jp
- ラインナップ:4種(極細字<EF>、細字<F>、中字<M>、太字<B>、何れも14K)
購入方法について
ドイツ製は比較的品質が安定していますが、万年筆はペン先の書き味や太さに個体差があるので、できれば店頭で試し書きをしてから購入すると良いです。
穴場は、ヨドバシカメラやビックカメラといった家電量販店です。試し書きが出来る店舗があり、かつ通販に及ばないまでも比較的安いので、オススメです。
2.ビジネスで使いやすい理由
まずは、LAMY2000がビジネスで使いやすい理由から。
① フレッシュさと高級感を併せ持つ
高級な万年筆というと、どうしても古くさく、周囲から浮いて見えるというデメリットがあります。「だが、それが良い!」という方を除き、一般的に見て若い世代には使いづらいかも知れません。
もちろん、最近流行している数千円代前半の安い万年筆には、モダンでスタイリッシュなものもあります。しかしそれらは、重厚感や高級感に乏しいことが多いのも、また現実です。
その点、LAMY2000は古くさく無いのに高級感があるという、かなり希有なデザインの万年筆です。
個人的には、クラシカルな万年筆(モンブランのマイスターシュテュックやペリカンのスーベレーンなど)も大好きです。ただ、いかにも「万年筆使ってます」アピールになりやすく、仕事で使うにはハードルが高いかもしれません。
② 書き味が良い
最近流行している数千円台前半の万年筆は、ペン先が鉄製の物が殆どです。
鉄製のペン先も良いのですが、やはり万年筆本来の柔らかい書き心地は、金ペンに軍配が上がります。
LAMY2000は、この価格帯/デザインの舶来万年筆には珍しく14金のペン先で、軟らかい万年筆らしい書き心地を楽しめます。
会議の議事録、セミナーアンケートの自由記述欄、長い社内様式への記入など、長文を書く機会が多い方には、ぜひオススメです。
③ 比較的安い
本格万年筆というと、数万円もするというイメージがあるかも知れません。
ビジネスで使う上では、高い万年筆を壊したり、無くしたり、傷つけたりしないか、ビクビク使っていては、本来業務に身が入らないですよね。
しかし、LAMY2000なら定価でも3万円、量販店や通販では正規輸入品でも1万円台前半で購入出来ます。
また、後ほど採り上げますが、表面がマット加工でとても傷がつきにくいのです。
これなら、ガシガシ仕事で使えるのでは無いでしょうか?
LAMY2000は、金ペン+吸引式+舶来という値段が高くなりがちな要素が沢山。それなのにこの価格は、デザイン抜きのスペック面だけ見ても、かなりコスパが高いと言えます。
3.フォトレビュー
それでは、どんな外観なのかを見ていきます。
外観
2本は同じLAMY2000です。
実は、会社用と自宅用に2本持っていて、右側は学生時代から10年以上も使ってきました。結構雑にも扱ったのですが、傷がまったく目立ちません。
ペン先は14Kですが、メッキで銀色に仕上げられ、金ぴかないやらしさが微塵もありません。
透明な部分はインク窓です。他の古典的な万年筆に比べ、とても見やすいのが特徴。
そのすぐ左にあるポッチは、キャップがネジ式で無くてもきっちりと閉まる為の物。サッと取り出してすぐに書き始めることが出来ます。
キャップのクリップは可動式です。根本にバネが内蔵されており、ペンポケット(内ポケット)やウェストコートに差しても生地が傷みません。
なんと言っても素晴らしいのが、この質感。
艶あり樹脂の万年筆にありがちな指紋が目立つことがなく、ずっとマットな印象を保ちます。手汗が多い人にもおすすめです。
この表面のテクスチャが、先述したとおり傷がつきにくいという特徴を生み、オフィスでの実務に対応します。
インクの吸入
インクはカートリッジ式ではなく、吸引式です。
最初は面倒に感じるかも知れませんが、吸引式は高級万年筆の証。実務面ではカートリッジ式よりも長持ちで、かつ色々なインクが使えるためオススメです。
まずはお尻の部分をねじって、ボルトを後退させます。
写真はLAMY純正のインク壺(ブルーブラック色)です。
ペン先をインク壺に入れ、お尻の栓を先ほどとは逆回転させ吸引します。その後もう一度反対側に回し、3滴程度垂らしたら、きつく閉めて終わり。
やり方は附属のマニュアルにも詳しく載っていますが、慣れれば簡単、かつ楽しい動作です。
LAMYの場合は、純正インク壺にインク吸引紙が附属しています。ただの紙では無く、片面はインクが漏れないような加工がしてあり、手が汚れません。(ちり紙だと結構インクが貫通します。)
またこのインク壺、オフィスのデスク上でかなり様になる、お洒落なデザインなのも高ポイント。
書き味
毎度汚い字で大変恐縮です。。。
左からLAMY2000、今年4月の色彩雫の記事で紹介したPILOTのプレラ、こちらもビジネス用にオススメのキャップレスデシモ、モンブランのマイスターシュテュック149です。
EFが極細字、Fが細字を意味します。
やはり、同じ(極)細字でも両脇の海外勢が若干太めな印象があります。
プレラはシャープな書き味ですが、鉄ペン独特のカリカリしたリアクションで、万年筆独特のヌメヌメした書き味はありません。
その点、LAMY2000はキャップレス以上、モンブラン以下くらいのヌメヌメ感があり、また、書き心地に柔らかさもあります。
4.LAMY2000とファッション
モダンなメモパッドと
まずはメモ帳との組み合わせですが、やはりモダンなメモパッドとの相性が抜群です。
写真はありきたりなロディア(No.12)ですが、スッキリとした近代的な統一感があります。
ジャケットの内ポケット
先述したとおり、クリップにバネが仕込まれているため、ペンポケットとの相性か良い万年筆です。
また、キャップも嵌合式(かんごうしき;ネジ式ではなく、引っ張るとすぐに筆記可能)のため、内ポケットに忍ばせたペンを、サッと取り出してすぐメモを取れます。
ウェストコート(ベスト)の胸ポケット
やはり本命はこちら。
特に、グレイやチャコールグレイの生地、それもザックリとした織りとの相性は抜群です。
つや消しの本体とクリップが、ウェストコートの附属物として、あたかも仕立てられた当初からそこにあったかのよう雰囲気を出してきます。
5.おわりに
50周年
最初の方で少し触れましたが、LAMY2000は登場から今年で50周年を迎えます。(昭和41年<1966年>の誕生。)
LAMY2000シリーズは、この万年筆と4色ポールペンを愛用しているのですが、(LAMY2000には言い古された表現ですが)とても50年前のデザインとは思えない、現代のオフィスにピッタリな雰囲気の万年筆だと思います。
常用できる万年筆
私は ペリカンやモンブランといった、クラシックさが特徴の万年筆から好きになったので、以前は周囲を「万年筆教」に入信させる際はそちらをオススメしていました。
しかし、いざ買ってみても周囲から浮いたり、その艶やかなボディが使用するシーンを選んだり、傷がつかないか心配になって登場頻度が減ったりと、あまり良いアドバイスにならなかった事もありました。
また、安価に購入出来るLAMYサファリ(リンク先記事参照)や、 パイロットプレラ(リンク先記事参照)なども入り口として良いのですが、よりスーツに合う洗練されたデザインとすると、LAMY2000に軍配が上がります。
そういった使いやすさ、デザイン面、価格などを総合すると、LAMY2000は若い世代のビジネスマンが、最も常用しやすい万年筆の一つなのだと思います。