皆さんは「コインケース(小銭入れ)」を使っていますか?
厚い財布でスーツが着崩れるのを防ぐため、私は基本的に紙入れ(紙幣専用財布)と小銭入れ(兼定期切れ)を分けるようにしています。
先日、10年使った小銭入れがヘタってきたため、新しい物を購入しました。あまり需要は無いだろうと思いレビューはしなかったのですが、思いつきもしないトラブルがあり、取り上げることにしました。
似た様な事象は他の製品でも起きる可能性があるため、今回はその顛末(てんまつ)について、みなさんに共有したいと思います。
1.購入した製品
今回購入したのは、ダンヒルの「シャーシレザー コインパース(L2Z5C1N)」。
私はダンヒルのベルトが好きで、一時期集めていた事があります。同じ革製品ということもあり、またカーボンファイバーの頑丈な表面、そしてSuica(交通系電子マネーカード)が1枚入ると言う事もあって、これを選びました。
こんな感じに、小銭が確認しやすいのも購入の決め手でした。
それがこんなことになろうとは、買った当時は思いも寄りませんでした……^^;
2.不具合の内容
コインが勝手に出てくる……
その不思議現象は、使い始めた当日に起きました。
いつものように昼食を済ませ、会計をしようと買ったばかりの小銭入れを取り出すと、蓋を開けた瞬間100円玉1枚が床に落ちてしまったのです。
手元が狂ったかな? 小銭を仕舞うときに引っかけたままだったかな? と思いつつ、落ちた100円玉を拾い、会計を済ませて店を出ました。
続々と落ちるコイン……
翌日。この日も外で昼食を摂りました。会計を済ませ、小銭入れを手に持ったまま道を歩いていると、いつの間にか小銭を2~3枚、道にばらまいていました。
同僚に謝り、往来する車を避けつつ慌てて小銭を拾い集めることに。
買ったばかりで、少しスナップボタンが硬かったこともあって、ボタンが開きっぱなしにしていたのでは? と疑い確認しましたが、固く閉じられたままでした。
それから数日、似た様なことが何回かあり、ついには小銭が落ちる音に敏感に反応するようになってしまい……(漫画に出てくる守銭奴みたいですね)。
3.不具合の検証
どんなときにコインが出てくる?
お大尽でもあるまいし、街中でコインをまき散らすのはマズイと思い、原因を突き止めてみることにしました。
その結果、コインを入れた状態でケースを横に揺らすと(ゆっくりでも、激しくでも)、ケースを閉じた状態でもコインが漏れてくることが分かりました。
また、スナップ側を下にしたときに、その現象が顕著であることも分かりました。
隙間からコインがこんにちは
こちらの写真から分かるように、コインが落ちないようにしている左右のガードが、ケースを閉じた状態でも中央部分に隙間が出来ることが分かります。
そして、この隙間は、十分にコインが通れる大きさになっているわけです。
さらに、閉じた状態のケースを横から見てみると、横方向にもコイン1枚が通れるサイズの隙間があることが分かりました。
実験1:どのくらい漏れる?
それでは、どのくらい漏れるのか確認してみます。
1円、5円、10円、50円、100円の硬貨を各2枚ずつ、合計10枚用意します。
そして、鞄の中で揺られた状態を想定し、スナップボタンを閉じたまま、横方向に20往復、ゆっくりと振ってみます。
結果
両脇は指で押さえていたので、こんな感じで硬貨が止まっていました。
そのままケースを縦にすると、音を立てて計5枚の硬貨が出てきました。漏洩(漏泄)率は50%という結果に……^^;
実験2:英国の硬貨なら漏れない?
ダンヒルは英国製……そうだ、英国の硬貨のみに対応しているのか! と思い、英ポンド/ペンスで試してみます。
今回も各硬貨2枚ずつ、計10枚で試してみます。(10ペンス硬貨は1枚に見えますが、2ポンド硬貨の下に隠れています……。)
結果
その結果……
やっぱり……
ご覧の有様です。
4.公式窓口に問い合わせてみた
そこで、ダンヒルの公式問合せ窓口に、この現象はなぜ発生するのか、防ぐ方法は無いのかを電話で問い合わせてみました。
その結果、ダンヒルらしく、とても紳士的に丁寧に答えてくださいました。
質疑応答模様
Q. この現象は仕様ですか?
→ 「コインケースを横に振ると、コインが出てきてしまうことがある」とのことでした。どうやら、製造時のミスや個体差では無く、仕様のようです。
Q. コインの漏洩を防ぐことは出来ますか?
→ 「コインをある程度入れると、防ぐことが出来る」とのこと。仕様という時点で諦めていましたが、なんと打開策があるようです。とはいえ、コインを使って数が減ると漏れる(=コインが使えない)、と言う事ですね……。
Q. 英国本国企画の製品ですか?
→ 全世界で売られているかの確認だったのですが、その通りとのこと。これ、全世界のユーザーが道ばたでコインをばらまいてしまっていると言うことでしょうか……。
実験3:何枚入れれば、コインを漏らさなくなる?
上記の通り、問合せ窓口の回答に、コインをある程度(正確な数量は教えてもらえず)入れると漏れなくなる、とのアドバイスがありました。
ということで、実際に何枚以上で漏らさなくなるのか、調べてみることにします。
10円玉を50枚用意し、10枚ずつコインケースに追加して、どの時点で漏れなくなるのか調べて見ます。
やり方は、先ほどと同様、左右にゆっくり20回振って、どのくらいの硬貨が漏れてくるのかで確認します。
① 10枚
10枚入れて振ります。
5枚出てきました。実験1と結果は同じ、50%の漏洩率でした。
② 20枚
10枚増やし、20枚にしました。結構ジャラジャラです。
7枚漏洩しました。枚数的には増えましたが、漏洩率は35%に低下しました。
③ 30枚
続いては30枚。小銭だけで約140グラムと、けっこう重たいです。(すみません、写真取り忘れました……^^;)
結果……
なんと、漏洩しませんでした!
横から見ると、この様に腹が膨れているため、硬貨が通れる道が塞がれていることが分かります。
10枚の時と比較してみます。
明らかに、「硬貨の通り道」が塞がれているのが分かります。問合せ窓口のアドバイスは、正しかったことが分かります。
④ 23枚
なんで中途半端な数かというと、何枚まで漏洩する可能性があるのかを調べていったら、23枚だったからです。
ちなみに、23枚の時は3枚の漏洩(約13%。なお、右上の10円玉は、実験に使わなかった7枚のコイン。)でした。そして24枚の時は0枚でした。
5.終わりに
やはり人柱は必要
基本的に10年は使うつもりでいたため、良い物をと思い、2万円前後で本製品を購入しました。
当然、購入に当たっては、ネットでの評判を探しましたが、見当たりませんでした。そして、年末のセールにかかっていたということもあって、また、これまでダンヒルの革製品はかなりレベルが高かった事もあり、勢いで買ってしまいました。
購入した製品は質感も良く、縫製も丁寧で、とても満足出来るものでした――コインさえ漏れなければ^^;。
人柱だと思って購入したのであればダメージは軽かったのですが、今回は全くそのつもりが無く、また金額も金額のため、結構ショックでした。
ということで、人柱レビューには一定の役割/意義があるなと、改めて感じた瞬間でした。
このまま使うかどうか
結論から言うと、死蔵することにしました。理由は簡単です。
- 公道やレジで硬貨をばらまきたくない
- 24枚以上の硬貨を入れるととても重くなる
- そもそも利用しながら硬貨を一定枚数(24枚以上)に保つのは難しい
当然と言えば当然ですが……。
親戚や知人にあげるわけにもいかず、何か良い再利用策を思いつくまで、死蔵することにしました。
教訓・再発防止
まずはレビューを探すことでしょうか。ということで、人柱目的を除き、ブランドを過信せず、しっかりと利用実績がある製品を購入することが重要だと感じました。
店頭で買う場合、見本品をある程度いじれる場合は、実際に硬貨やカードを収納して使い心地を試す、というのでもある程度防げますかね。
ただ多くの場合、白手袋をした店員が、販売用在庫を恭(うやうや)しく見せてくれる、という感じで、「この小銭とICカード、実際に突っ込んでみて良いですか?(ジャラジャラ)」とは訊けませんよね^^;(引きつった店員の顔が目に浮かびます。)
うーん難しい……。
ということで、購入者側がとれる対抗策は限られています。今回はダンヒルの問合せ窓口経由で、英国本国に本事案を報告して貰いましたが、やはり製品を作る側が、実際に使用されるシーンを想定したテストをしっかり行い、この様な悲劇を減らすしか無いのでは、と感じました。製品の(機能面を除く)デザインはとても良いのに、残念ですよね……。
オススメの小銭入れ教えて下さい!
皆様がお使いの小銭入れで、もし良い物があったら教えて下さい。
条件は3つ。小さいこと、Suicaが入ること、そしてコインが漏れないこと。 お心当たりの方は、コメント欄から是非ご連絡下さい^^;