皆さんは、カジュアル用途で革靴を履くことがありますか?
革靴というと、一般的にはスーツというイメージがつきまといます。しかし、週末の気楽な服装においても「きっちり目のカジュアル」の主力アイテムとして、革靴は威力を発揮します。(革靴好きの方には釈迦に説法ですが^^;)
もちろん、ローファーやブーツなど、カジュアル専用の靴を用意しても良いのですが、今回は靴ひもの交換によるカジュアル化にチャレンジしてみます。
仕事用の靴が、どこまでカジュアル化できるでしょうか。
1.はじめに:靴ひもの役割
本題に入る前に、靴ひもについておさらいを。(ご存知の方は読み飛ばして下さい。)
靴ひもの役割は主に2点。「靴を足にフィットさせること」と、「靴に表情を与えること」です。 (前者は靴ひもの機能的な役割ですから今回は割愛します。)
靴ひもは色や材質(綿、化繊、麻、革、シルク)、形状(丸、平、楕円、編み込み)、太さなどで、靴の表情を大きく変えることが出来ます。
今回は、主に色と太さを変えることで、スーツ向けの革靴をカジュアル化してみたいと思います。
なお、靴ひもそのものについては、過去に下記の記事を掲載していますので、宜しかったらご覧下さい。
2.黒靴をイメージチェンジする
まずはこちらの内羽根セミブローグの黑靴から。
内羽根(バルモラル;紐を通す部分が、爪先革と一体になっている)ですので、本来は「オン」に適した形状の靴です。
ただし、セミブローグ(爪先に穴飾りがあるタイプ)でもあるため、カジュアル転換するには良さそうなモデルだと思い、選びました。
青色のひも
オーソドックスですが、効果的だったのがこの青ひも。
実は、黑靴と青という色は相性が良く、メーカーによっては靴クリームに青が含まれていることもあるくらいです。
オリジナルと比べてみると、違いがよく分かると思います。
焦げ茶色のひも
続いて焦げ茶色を。
写真だとイマイチ違いがよく分からないのですが、実物はもう少しきれいな色です。茶色のロングホーズ(靴下)と良く合いそうです。
茶色のひも
今度はインパクト大の茶色です。
ちょっとモード寄りですかね……。 コントラストが激しすぎて、どういうズボンに合わせるかが難しそうです。(個人的にはNG例ですね。。。)
3.茶靴をイメージチェンジする
続いて、茶靴にチャレンジしてみます。
茶靴はカジュアル寄りですが、色が焦げ茶な上にこちらも内羽根のセミブローグと、すこし地味だな……というシーンを想定してみます。
茶色のひも
黒靴では失敗に終わった茶色のひもも、同系色だと良い感じにアクセントになります。
奥がビフォー、手前がアフターです。全体が少し明るく見えますよね。
青色のひも
一方、黒靴では良く纏まった青紐もアレレ……という感じに。もう少し暗い青だったら纏まったのかもしれませんが、色がケンカしてしまっていますね……。
もう少し薄い色の靴にも試してみますが……まぁ、こちらの方がまだマシ、くらいな感じですね。
黑色のひも
本来黒靴用の紐である黑色のひもを合わせてみました。
これはこれで、アクセントとしてアリですね。
(番外)薄茶色のひも
靴の種類は異なりますが、焦げ茶だった靴紐の色を、ワントーン薄くしてみた例です。こういった濃淡の違いだけなら、気軽にイメージを軽く出来、かつ失敗も少ないです。
4.靴紐が交換しやすい靴
最後に、気軽に靴紐の交換を楽しむ上で一つポイントを。
ムリな靴紐交換は靴を傷める
靴の種類や作りによって、靴紐の交換しやすさがだいぶ異なります。そして、靴紐が交換しにくい靴で何度も交換を繰り返すと、靴を傷める原因になるので注意が必要です。
つまり、頻繁な靴紐交換によるイメージチェンジは、交換しやすい靴でやったほうが良い、と言う事です。
外羽根 > 内羽根
当然ですが、内羽根よりも外羽根の方が紐を通しやすく、交換に適しています。
ベロの固定方法
内羽根の場合、ベロの固定方法によっても難易度が変わります。
こちらはベロの片側が縫い付けられているタイプです。
ベロが落ちてこないため脱ぎ履きはし易いのですが、一番奥側のベロが縫い付けられている方の穴(鳩目)に靴ひもを通すのはかなり難儀します。
こういったタイプの靴を磨く場合、靴を傷めないために一番奥の紐は左右とも通したままにしています。
こちらはどちらも縫い付けが無いパターン。 靴を履きづらくなりますか、靴紐の交換はかなり楽になります。
5.さいごに
普段はかなり保守的な格好が多いので、基本的には黒靴なのですが、こう暑い日が続くと、空色や生成りの麻やシアサッカー地のジャケットを出したくなりますよね……。
ということで、珍しくカジュアルネタを選んでみました。
クールビズにカジュアル靴はOK?
「クールビズ」が叫ばれて久しいですが、その是非は今回置いておくとして、カジュアル(ここで言うカジュアルはジャケパンのこと)な装いで出社する場合の足下はみなさんどうしていますか?
都内の駅で観察していると、スニーカー率が高いことに驚きます。
もちろん、ウィークエンドにはアリかもしれませんが、個人的には最低限革靴を……と思います。
その際、少しでも足下を軽く見せる手段として、靴紐の交換は効果的なのでないでしょうか。
スニーカーまではカジュアルでは無いが、普通の黒靴や焦げ茶色の靴よりはカジュアル、というクールビズに適する位置になるかとおもいます。
もちろん、そのまま客先に訪問することはお薦めしませんし、どの程度ハズすかは、業種業界社風等々で許容値は異なるので、使い分けは重要です。
6.(参考)IPIシューレースについて
今回の撮影で使ったのは、今年3月に発売されたIPIシューレースです。
値段は普通の靴ひもより若干高いですが、高品質(日本製)で、見た目も良いため、かなりリピートしています^^;
また、形状、色、長さの種類展開の多さには目を見張るものが有ります。これは、メーカー側が、靴ひもの見た目の重要性をよく理解している結果なのだと感じました。
ただし、今回使ったのが一番細いタイプなので、全体としてすこし太めです。あと一回り細いタイプが出れば、全ての靴に装着できるのに……と悔しい限りですが、いずれにせよお薦めです。
製品情報
- 製品名:IPI シューレース ロービキ丸 中太
- 製造元:ジュエル
- 製造国:日本
- 価格:\500(税抜)
- 太さ:2mm
- 長さ:55cm、65cm、70cm、75cm、80cm、90cm、120cm
- 色展開:7色(*ブラック、*ダークブラウン、*ブラウン、*ライトブラウン、ベージュ、ホワイト、*ネイビー)※ *印の製品を今回利用
- リンク:Amazonのメーカー公式店(3240円以上購入で送料無料)、楽天のメーカー公式店(送料100円のメール便あり)
そのほかにも、ガス紐、平紐、もう少し太い紐など、全部で7種類の種類展開があります。
7.(おまけ)靴ひもはどこで買う?
以前掲載した高級靴ひも「紗乃織靴紐」の記事内で、どこから靴ひもを購入するか、を訊いたところ、いくつかメッセージを戴きましたので、この場を借りて公開致します。(ご返信が遅くなってすみません……)
毎度記事を楽しみにしています。
靴紐の件で、オススメとか、自分は実際に試したことがあるわけではないのですが、以前何かの記事で読んだ小ネタを。(ネタ元は忘れてしまったのですが、すみません)
手芸用のゴム紐を買ってきて先端を熱収縮チューブなんかで処理して靴紐にするというものです。紐靴がサイドエラスティック並みに脱ぎ履きしやすくなるという小ネタでした。
個人的には平紐が好きですね。
投稿者:Sam さん
コメントを有り難う御座いました。
仕事のお客様が個人で、自宅に上がらなくてはならないが、それでも紐靴を履きたい……。なんてときに便利かも知れませんね。 手芸用ゴムの見た目かどの程度なのかということが気になりますが^^;
ただ個人的には、靴ひもを結ぶ行為そのものに、(いわばネクタイをしめるのと同じ)儀式性を感じるところがあり、当分「ひも」からは離れられそうにありません……。
今回の靴紐特集はとても勉強になりました。
私の靴紐ですが、最終的にエドワードグリーンの純正の紐に落ち着きました。所有靴はエドワードグリーン チェルシー、ジョンロブ シティ2、JMウエストン ストレートチップ(300)、ガジアーノ&ガーリング ストレートチップとホールカット、クロケット&ジョーンズ ホールカットなどです。
それぞれ純正の紐でしたが、ジョンロブの紐はロウがあまり付いてなく好みではありませんでしたので、エドワードグリーンの紐を新宿伊勢丹メンズ館で購入しそちらを使っています(1000円くらいだったと記憶しています)。
同様にウエストンの300の紐は平紐で、結ぶときにねじれてしまい、面倒なのでエドワードグリーンの紐に変えました。とりあえずこの中ではエドワードグリーンの紐が一番好みです。
なお、最後に質問ですが、ガジアーノのホールカットは6穴でして、6穴に合う高級の紐があまりありません(200円くらいの安いのだと色々な長さがあります)。
というのも大抵の靴は5穴であり6穴の靴がそれほど多くないことが原因だと思います。伊勢丹でもエドワードグリーンの紐はチェルシー用の5穴しかなく、6穴用は扱いがないとのことでした。
今は仕方なく200円くらいの安い紐を使っていますが、6穴用の高級紐でオススメは何かありますでしょうか? 宜しくお願いします。
投稿者:とろったん さん
コメントを有り難う御座いました。やはりEdward Greenは良いですよね。私も大好きです。
6穴用のお薦めの靴ひもですが、今回紹介したIPIが、品質、価格、サイズ展開ともに最適だとおもいます。
細めの紐が好きな方には向かないかも知れませんが、Edward Greenの純正とほぼ同じくらいの太さです。
長さは90cmくらいが丁度しっくり来るのではないかと思います。長めが好きな方は120cmでもいいかも。わたしは長めが好きなので、5穴に90cmを使っています。
<http://form.allabout.co.jp/tips/2235/>
スーツの色と合わせて色で遊んでいます。
投稿者:YUM さん
コメントを有り難う御座いました。今回の記事はジャケット前提でしたが、スーツでも面白そうですね……。