サラリーマンのファッションとは関係ない話で恐縮です。
先日私に降りかかった悲劇、その対処方法、そして顛末について、検索しても類似の情報があまり出てこなかったため、同じトラブルが発生した方の役に立てればと、古き良きインターネット文化的に記事として残すことにしました。
なお、項番1~5は事の経緯から結末まで、楽しんで頂くためのストーリーになっています。そのため、対処法を今すぐ知りたい方は、以下の目次から「6.まとめ」に飛んでください。
# ファッション系の記事更新を楽しみにしていた方、申し訳ありません。本記事は、ほんの僅かにファッション要素が出てきますが、次回をお待ちください……(^^;
1.冷凍庫を半ドアにしたら、その後閉めても冷えなくなった
我が家では、メインの冷蔵庫とは別に、専用の冷凍庫を使っています。美味しい冷凍食品が増えたこと、冷凍肉や炊いたご飯を美味しく長期保管できること、おかずを作り置きできること、など、かなりメリットがあるからです。
MF-U12F
使用しているのは三菱電機製のMF-U12F。親戚や両親も使っているなど、一族で愛用している機種です。
1台4万円程度と、冷凍専用庫にしては若干高めですが、ファン式と呼ばれる霜取り不要の機種で、引き出しが使い勝手良く、静かで、かなり重宝していました。
カーテンを挟んで半ドアに
事件が起こったのは今月はじめ、ある日の夕方。きちんと閉めていたつもりの扉に、カーテンが挟まっていたようで、半ドアが3~4時間発生してしまったのです。
最近の大型冷蔵庫であればアラームが鳴りますが、本機種は未搭載……。半ドアに気づいたのは、夕食後にシューアイスを食べようとしたところ、盛大に中のアイスが吹き出したからでした^^;
すぐに「急冷」モードを作動
これはマズイと、中身を確認。幸い、融点の低いアイスは溶けかかっていたところでしたが、他の物品についてはまだ硬さを維持していました。
MF-U12Fには急冷モードが搭載されています。これは、大量の物品を収納した際に、いっきに冷却するための機能です。
急いで戸締めの状態を確認し、急冷モードを動作させました。
この時点で午後7時頃。「強力なこの機種なら、急冷モードでなんとかなるだろう」と、当時はかなり楽観視していました。まさか、これからこんな事態が起ころうとは……。
おかしい。冷えない。むしろ温かくなっている?
3時間後の午後10時頃。
どのくらい冷えたか確かめようと冷凍庫のドアを開けると、ドアポケットに置いていた保冷剤が柔らかくなっていました。
3時間前はまだ硬かったのに……。
ヤバイヤバイ。
2.温度計で状況を把握し、現実を知る
この時点で、結構マズイ状況にあると認識しました。
そこで、実際にどの程度の温度になっているのか確かめるべく、SwitchBotの温湿度計を2台、上部の吹き出し口付近と、最下部の引き出し内に設置しました。
この温湿度計は優れもので、Bluetoothにより分単位のデータをスマホに飛ばしてくれます。つまり、庫内を開けずとも細かく測定が可能というわけです。また、別売りの「ミニHUB」に接続すれば、冷凍庫の近くでなくとも、インターネット経由で値を確認出来ます。
少しはファッションの話を。
この温湿度計は1つ2000円以下とかなり安いので、靴箱やクローゼットなどに設置しています。
カビの生えやすい状態を可視化できるので、除湿や換気をなどの対策につながります。さらに、ミニHUBとの接続で、エアコンや赤外線リモコンつきの除湿機と連動もでき、簡易な温湿度管理にはかなりオススメです。今回のSwitchBotもクローゼットから持ち出してきたものでした^^;
冷凍庫なのにまさかの0℃以上
温度計のデータは、庫内に入れてから十数分かけてある程度下がりましたが、だいたい1~2℃のところで下降はストップしてしまいました。
冷凍庫のマニュアルを読むと、庫内は標準設定でマイナス18℃のはず。つまり、正常値より20℃も温度が高くなっていたわけです。
時間をおけば……?
上がった庫内の温度が下がりきっていないのかな? 時間が経てば温度が下がるかな? と、自分に都合の良い仮説を立てつつ様子を見て、日付を跨いだ午前1時頃。
温度計のデータは、非情にも3時間前と同じ摂氏1℃を指していました……。
再起動すれば……?
「困ったときの再起動」
パソコンやスマホで調子が悪いときは、再起動すると良くなることが多いもの(稀に悪化してそのままお亡くなりになることはありますが。)
マイコン制御の冷凍庫にあっても同様と考え、電源プラグを抜いてみます。説明書を読むと、コンプレッサーに負担がかかるので、再起動には5分以上待つよう記載があったため、その通りに電源を再投入。
そして1時間後……庫内温度は相変わらず、下がらず。
この時点で午前2時を回っており、これ以上の検証は翌日の仕事に差し障りがあると判断。比較的単価の高い冷凍肉をメイン冷蔵庫の冷凍室に避難させ、そしてモヤモヤを抱えたまま就寝することにしました。(今考えれば、もう少し早めに避難させるべきでした。反省。)
3.メーカーサポートへの連絡、そしてオンサイト点検へ
翌朝。
僅かな希望を胸に、恐る恐るSwitchBotのアプリを開き、庫内の温度を確認します。
上部トレイ部分……摂氏1.8度、下部トレイ部分摂氏0.9度。相変わらず、冷凍庫としては高温状態です。
メーカーサポートへの連絡
この時点で、もはやこの冷凍庫は、冷却できていないことが明白になりました。まぁ、今から考えると、昨晩の時点で事実を認めるべきだったのですが。正常性バイアス恐るべし。
説明書の裏にあるサポートセンターへ修理の相談をすべく電話をします。さすが天下の三菱電機、すぐに電話が繋がります。そして、とても丁寧な受け答え。
半ドア後12時間経っても冷えないのはおかしいとのこと、保証期間内だったこともあり、4日後に現地点検/修理に来てきただくことになりました。
中身の搬出と処分
冷「凍」庫から冷「蔵」庫になってしまったMF-U12F。
高単価の肉は昨晩搬出していましたが、その他の物品も、憂鬱な気分の中、運び出します。
冷蔵庫の冷凍室は既に一杯で入りません。しかも、溶け始めているため再冷凍は避けた方が良さそうです。
そこで、すぐ食べそうなものは冷蔵庫の保冷室へ入れ、もう少し後のものはチルド室へ、のこりの大部分は近所に住む親族に譲渡することにしました。
冷凍庫にもしもの事があったらどうするか。仕事ではBCP(事業継続計画)云々を議論をしておきながら、身近なBCPは全く考えていませんでした^^;
4.突然の復活、下がり始める温度。信用して大丈夫?
昼休みを潰して(リモートワークで良かった……)やっと搬出作業が終了。
しかしその3時間後、突然庫内の温度がグングンと下がっていきます。そして半日を経て、規定のマイナス18度に到達。修理のアポを4日後に控え、まさかの「自然復旧」疑惑が。
あの搬出作業は何だったのか。原因不明の故障から自然復旧した冷凍庫を信用して良いのか。そして「保証期間内でも点検時に問題が発見されなかった場合には有償」という、修理受付窓口の発言が脳裏に浮かびます。
定期的に摂氏0度を超す怪
サービスマンが来るまでまだ日数がありましたので、しばらく様子を見ることにしました。また故障する可能性もあるからです。
そこで気になったのが、定期的に温度が摂氏0度を超えることです。だいたい24時間おきに、上部の吹き出し口付近で1度、下部のバスケット内が0度になります。
霜取りが働いている?
先述したように、MF-U12Fは自動霜取り式(ファン式)と呼ばれる冷凍庫です。
そのため、この現象(周期的温度上昇)は仕様なのかと思いましたが、庫内全体が一時的にでも0度を超えるのは正常なのか判断が付かず。
そこで、再度サポートセンターに電話をして確認することにしました。
「設計上は+5度以内」
電話をすると、折り返し修理担当から連絡が来るとのこと。その後担当者と会話をしました。
状況について説明したところ、
- 周期的に温度が上昇するのは霜取りの可能性が高い
- しかし、設計上は規定温度(マイナス18度)から+5度以内が正常値
という回答でした。
私が「点検時に異常がなければ、出張料金が必要になるのでしょう」とケチ心を露呈すると、「正常値でないので点検を受けた方がよい」との回答をいただきました。
5.点検終了、そして結論は――?
その後も温度データは取得し続け、グラフ化しプリント。サービスマンにすぐ見せられるようにしておきました。
そして迎えた点検当日。
理想的なグラフ!?
2人のサービスマンが、外装やコンプレッサーを確認、特に異常はなしとの判断。
そして、次のようなやりとりがありました。
私「温度計の記録をグラフにしてみました。おそらく霜取り動作でしょうが、24時間おきに庫内の温度がセ氏0度を超えています。」
サービスマン「このグラフは、工場で測定するレベルの理想的な波形ですね。24時間おきのピークは、ご認識の通り霜取りです。」
私「ピーク時の温度が設計値を超えていると修理担当から言われました。どうでしょうか。」
サービスマン「冷凍機に付いた霜は氷なので、0度を超えないと取れないんですよ。その時、庫内の温度も一緒に0度くらいになってしまいます。」
私「え、ということは正常値ということですか?」
サービスマン「正常値です。」
なんと、このピークは正常値でした。電話で応対した修理担当者が、誤った解答をしたのだろうとのこと。そんなこともあってか、点検結果は正常動作でしたが出張料はかからなかったのは不幸中の幸いでした。
当初、温度が下がらなかったのは、冷却装置に大量の霜が付いてしまったから、とのこと。自動霜取り装置が働いていたとしても、酷い場合には3日程度復旧に時間がかかり、その間は氷点下にならないことがあるそうで。
「使い続けて大丈夫か」という点についても、一定期間理想的な温度推移をしているので問題無いとのこと。美しいデータで、工場での試験や研修に使えるレベルとの謎のお褒めのお言葉をいただきました^^;(やったねSwitchBot。)
6.まとめ
今回起きた、「冷凍庫が半ドア後に、氷点下へ冷却できなくなってしまう」事象の原因と対応策について、サービスマンからきいた話を元に、まとめました。
- 冷凍庫は、半ドアなど、開放し続けると冷凍機に大量の霜(もはや氷)が付き、氷点下への冷却機能を喪失する。
- 自動霜取り機能が、喪失した冷却機能の復旧を試みるが、霜の量によっては最大3日(!)かかる。その間、冷凍は出来ない。
- 電源を抜くことで、最大3日の復旧期間を半日~1日程度に短縮出来る。
- 冷却機能が復活後も、定期的に霜取りが行われ、その際は庫内の温度が0度付近まで上がる。これは製品の仕様。
最後の点については意外でしたが、家庭用冷凍庫の限界かも知れませんね。業務用と異なり、生じる温度変化によって品質が損なわれる可能性があるため、冷凍品の回転率は上げた方が良さそうです。
教訓と再発防止
半ドア、ダメゼッタイ
今回はカーテンの巻き込みでしたが、ビニール袋の挟み込み、詰め込みすぎなどで簡単に半ドアは発生するそうです。
半ドアを起こしてしまうと、上記まとめのとおり、最大3日は用をなさなくなります。つまり、なかの冷凍物品について、(他の冷凍庫に入りきらない場合は)食べるか、譲渡するか、捨てるしかなくなります……。
そのため、半ドア、ダメゼッタイ。ということで、再発防止を考える事にしました。
Bluetooth温度計を活用することに
「気をつけます」など、人の努力に頼った再発防止はしたくなかったので、今回検証のために使ったSwitchBotの温湿度計をそのまま活用することにしました。
SwitchBotは、そもそも温度や湿度をキックに家電を動かすことがコンセプトの製品です。そこで、冷凍庫のポケット部分に温度計を置き、外気の継続した流入による温度上昇時に、アラートを上げるようにしました。
これで、異常時にはスマホをならしたり、部屋の電気を明滅させたり、テレビを大音量で付けたりすることで冷凍庫の異常を知ることが出来ます(後者2つは冗談です。)。
(なお、SwitchBotを冷凍庫に入れるのは、おそらくメーカーが想定する使い方ではないので、真似は自己責任でお願いします^^;)
* * *
今回、我が家の冷凍庫に入っていた換算100リットル以上の物品が全て無くなるという、ショッキングな出来事がありました。
そして、単純に扉を閉め直しただけでは、すぐに復旧しないという点も意外でした。
三菱電機のMF-U12Fは、価格コム等でも常に上位をキープする人気機種です。類似の状況でお困りの方もいるのではと思い、今回記事にしてみました。
冷凍庫そのものは良い製品ですが、仕組みに由来した落とし穴もあるわけですね。お困りの方の、参考になりましたら幸いです。