皆さんは仕事でボールペンを使っていますか?
ここ数年で社内のデジタル化は大きく進みました。しかし、客先でのメモ、電子化されていない伝票や様式への記入といった、筆記具を手に取る機会は意外と多いのが現状です。
そして、筆記具は腕時計と並び、男性のビジネススタイルにおいて許される数少ない装飾品の一つ。しかし、気に入ったデザインの海外製筆記具を手に入れても、文字が太かったり、書き味は国内の方が上だったりと、実用を考えると課題が多いことも。
そこで今回は海外製ボールペンのリフィルを国内製品に交換出来るパーツを試してみました。また、ビジネススタイルにおいて、筆記具が果たす役割についても考察してみます。
※ 文房具好きの方には当然の話かも知れませんが、お付き合いくださいますと幸いです……。
はじめに:ビジネスファッションで筆記具を活用しよう
※ 最初は考察系の話です。リフィル交換だけに興味があるという方はこちらからどうぞ。
所持品は語る
「「人は見た目で判断してはいけない」と戒めるのは、実際には皆が人を見た目で判断しているからだ。」とはよく言われることです。
だからこそ、ビジネスの世界においては、自分をどうアピールしたいかという視点を意識しつつ、靴、シャツ、スーツ、タイを選ぶわけです。
しかし、身につけるものは何も衣類だけで無く、時計や鞄などの所持品/装身具も、自分を表現する大切なアイテムです。
コスパの良い高級品
ビジネスで許される装身具として、すぐに思い浮かぶのが腕時計でしょう。
しかし、腕時計である程度名の知れた、品質の高い物を選ぼうとすると、数十万円から場合によっては自動車が買えるほどの値段になってしまいますし、ビジネスでは金額そのものが嫌味になる(マイナスに働く)こともあります。
一方筆記具は、(宝飾的なものを除けば)10万円以下で優れたデザイン、高い品質、所有欲を満たす物語性など、一級品が選びたい放題です。そして靴やスーツと違い、1本を使い回してもOKというのも、若手には嬉しいところでしょう※。
つまり、高級筆記具は、ビジネスで使いやすい手軽な高級品なのです。
※:当然、国内ではセイコー/シチズン/オリエント、海外ではスカーゲンやユンハンス等々、安価でパフォーマンスの良い時計がありますが、品質/デザイン/ブランド力を比較した場合に、腕時計に比べて筆記具はその価格帯がとても安い、という意味です。(比較にあまり意味はないと言われそうですが、同クラスと感じる製品を例示すると、80万円のロレックス デイトジャストと10万円のモンブランマイスターシュテュック、40万円のオメガ シーマスターと3万円のペリカンスーベレーン、30万円のグランドセイコーと2万円のパイロットカスタムといった具合でしょうか。)
高級筆記具のメリット
感じ方は人それぞれではありますが――例えば商談において、きちんとした筆記具を丁寧に扱っている人を見ると「この打合せに真剣に臨んでそうだ……」「ある程度社会的信用がありそうな雰囲気だ……」と感じるでしょう。「私は人を中身でしか評価しないよ!」という方もいると思いますが、先述した「人を見た目で~」の格言の通り、多くの場合は雰囲気に評価が左右されてしまいます。
決して備品や広告の入った100円ボールペンがダメとは言いませんが、畏まった打合せにおける雰囲気作りといった点からは、しっかりとした筆記具が、コーディネートとして良いのではと思います。
なお、筆記具好きの方からは、万年筆の方が良いのでは? という声が聞こえそうです。もちろん、私自身は大の万年筆好きなのですが、「趣味性が高く、雰囲気が出過ぎてしまう」こと、また「保守性が悪く信頼性が低い」ことから、まずはボールペンから始めるのをオススメします。
舶来筆記具の課題は字の太さ(とボールペンは書き味)
一方で、舶来の筆記具には課題もあります……。
舶来品は字が太い
舶来の筆記具は、さすがにデザインがよく、持っていてサマになりますし、所有欲も満たしてくれます。(もちろん、国内メーカーも好きなのですが、デザインはどちらかというと海外メーカーの方が好みです。)
しかし、アルファベットの筆記を前提とした舶来品は、どうしても線が太く、画数の多い漢字を多用する日本語、それもビジネス上の筆記には不向きなことが多いですよね。
優秀な日本製の書き味
そして、ボールペンに関しては、書き味の問題もあります。
日本製筆記具は、100円台の安価なものであっても書き味がとても良く、転じて「わざわざ高くて書きにくい舶来ボールペンなんて使うか!」と感じる方が多いのも事実でしょう。
こちらも原因は漢字とアルファベットの問題(言語が違えば書き味は良いと感じる?)なのかも知れませんが、高級な舶来ボールペンと日本製の安いボールペンを比較すると、日本製の方がどうしても良い書き味に感じることが多々。
ちなみに、個人的なオススメは油性なら三菱鉛筆のジェットストリーム、ゲルインキならゼブラのサラサ、水性ならパイロットのVコーンです。
リフィルの交換で解決!
ならば、手っ取り早いのは外側は舶来のままリフィル(替え芯)を日本製に交換してしまうこと。つまり「いいとこ取り」をしてしまおう、というのが今回の本題です。(前置きが長くてすみません。)
リフィルアダプターを使う
今回対象とするのは、こちらのドイツの文具メーカー「ペリカン」のスーベレーン(K605 マリンブルー)。
夏らしく、青スケルトンです(縞好き方ごめんなさい)。
この製品では、多くのヨーロッパ文具メーカーで採用されている通称パーカーリフィルを使っています。一方でこれは、国内メーカーでの採用が少なく、あっても色の種類が限られるなど、候補が少ないのです。
今回は、耐水性も考えて油性ボールペン、なかでも抜群の書き味で定評のあるジェットストリームへの換装を目指します。色は、軸色に合わせて青色にします。
ジェットストリームにも実はパーカーリフィルがある(SXR-600)のですが、黒色のみで目当ての青色がありません。
ということで今回はこちらを使います。その筋では有名な、PK-01です。
袋の中身はこんなかんじなのですが……
ジェットストリームの多色ボールペン用の替え芯(SXR-200)を入れる事が出来るのです。
上述したとおり、今回は軸の色に合わせ青色を選びます。
この穴に……
こんな感じで挿します。
純正リフィルとの比較。右が純正です。
元々入っていた純正を……
この様に交換するだけ。
心配していたペン先の出っ張り具合も美しく、問題ありません。
書き味はジェットストリーム、見た目はスーベレーン
ということで、書き味はジェットストリームの「油性なのにヌルヌル」、見た目は美しいスーベレーンという、いいとこ取りの一本が完成しました。
実際に日常のビジネスで使っていますが、見た目、所有欲、使い勝手、書き味を全て満たしてくれます。
欠点はインク切れが早いことくらいですが、その際も日本製リフィルなら近くの文具屋で安く調達できますし、場合によっては会社の備品としてストックがあるので、とても便利です。
ただし、相性には注意
今回はペリカンのスーベレーンを例に換装例をご紹介しました。ただ、同じパーカーリフィルを使っている場合でも、メーカーによっては若干サイズが異なる事がある(繰り出したペン先が長すぎたり……)ので、相性問題には注意が要ります。
アダプタの利用を前提として高級筆記具を買う場合には、ネットで同じことをやっている人がいないか確認してからの方が良いかも知れませんね。
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