前回「冬のスーツスタイルに「革手袋」がお薦めな5つの理由」で予告の通り、手袋の選び方、素材による違いなどをご紹介します。
正直、あまり手袋の話題は盛り上がらないのでは無いかと心配していたのですが、予想以上の”いいね!”やコメントがあり、驚いています。
ファッションとして、防寒として、手袋を採り入れている方が多いようです。
そこで、今回は手袋選びを一から考えてみようと思います。
何となく手袋を買っていた、見た目だけで買っていた、というのでも良いのですが、素材やサイズを考えることで、手袋がもっと楽しくなります!
手袋選びで重要なポイントを、今回は、サイズ、材質、ライナー、縫製、金額の5つに絞って考えてみます。
※ 前回同様ですが、この記事で言う「手袋」は全て革手袋を指しています
1.手袋のサイズ
手袋はサイズ感が大切
防寒面は勿論ですが、見た目においても、手袋のサイズは重要な項目です。
フィットした手袋ならば、外気が入り込むこともなく、快適に保温されます。また、ブカブカな手袋は、指の屈曲部分の違和感などから一発でバレ、しかも結構目立ちます。
少し小さめのサイズを選ぶ
手袋のサイズ選びでおすすめなのは、少し小さめのサイズを選ぶことです。
これは「革は伸びる」という性質があるためで、少しゆるめのサイズを買ってしまうと、更に緩くなってしまう恐れがあるので注意して下さい。
正しいサイズの測り方
手袋にはサイズがあります。勿論、S/M/Lの3段階のものもありますが、高級な手袋の中には、ハーフインチ単位で細かくサイズを指定できる物が有ります。
そういった手袋のほうが、自分に合ったサイズの物を買えると思います。
そして、サイズを測るのはこの位置(掌で厚みが最大になる位置)です。
小さめサイズを選ぶため、すこしきつめにメジャーを巻き付けて、測って下さい。その数値をインチ化したものが、あなたの手袋サイズです。
※ googleで「○○cm to inch」と検索すると、単位換算が楽に出来ます
※ ブランドごとにサイズ感がことなるので、出来るだけ試着してください
2.手袋の材質
クラシカルな「羊革」
軟らかい材質の羊革は、紳士用革手袋の代表的な材質です。
革も薄いため、より洗練された、クラシカルな印象を与えることが出来ます。資料によっては「羊革の黒手袋のみ、弔事で許される革手袋」と記載されることがあります。
水に強く無骨な「鹿革」
鹿革は滑らかで肌触りが良いのにもかかわらず、とても丈夫で水に強いのが特徴です。
革の表面にシボ(縮み模様)を付けることが多く、羊革に比べ無骨な印象を与えます。個人的には、ジャケットとの相性が一番の素材だと思います。
靴と合わせたい「スエード」
冬季はスエード靴の出番ですが、そんなときはスエードの手袋をあわせるとおしゃれです。
スエードの素材は様々で、羊、山羊、豚などが使われることが多いようです。
この様に、素材の持つ表情と、耐久性などを考えて選びます。靴やベルトなどと、色/素材をあわせると統一感が一層増し、格好良く見えるでしょう。
3.手袋のライナー
ライナーの有無による違い
ライナーとは、手袋の内側に張られた素材のことで、カシミアやウールなどの獣毛/羊毛、ポリエステルなどの化繊、綿などが用いられます。
ライナーがあると、暖かく、汗を吸うためベタベタしないというメリットがありますが、革手袋は洗いにくい素材のため、衛生面ではライナーがない方が良いという意見も聞かれます。
また、ライナーによって「着ぶくれ」するため、繊細さを出す場合は、ない方が良いです。
ちなみに、私はライナー有り派です。というのも、防寒性が格段に違うためで、都心部での体温調節を念頭に置くのであれば、摩擦が減って脱着もしやすい、ライナー有りを買うことをお薦めします。
ライナーの素材
単純に肌触りの問題で、カシミア製をおすすめします。(次点で羊毛でしょうか)
とてもやわらかく、すべすべで、つけ心地が抜群に良いのが特徴です。なお、盛大に蒸れるため、化繊ライナーは避けたほうが良いでしょう。
そして、ライナーの素材選びとして付け加えたいのが「色」です。
前回の記事でコメント(facebookページ内)をいただきましたが、たとえば黒革に赤や紫色などの鮮やかなライナーは、美しいコントラストになりおすすめです。
4.手袋の縫製
ここでは、縫製の善し悪しと、もうひとつ縫製の方法について考えます。
まず、単純に縫製の善し悪しは、実際に試着してみないとわかりません。
縫製の悪い手袋には、一部の指がキツかったり、あるいは手を曲げたときにつったような感じになったりするので注意して下さい。
もうひとつ、縫製方法についてです。
このように、外側で縫いあわせるタイプと、
内側で縫い合わせるタイプがあります。
言うまでもありませんが、外側で縫い合わせるタイプは無骨な印象を、内側のものはすっきりとした印象を与えることが出来ます。
自分のスタイルにあわせ、縫製方法でも手袋を比較/選択してみると良いと思います。
5.手袋の金額
そして最後が、どのくらいのコストを掛けるか、という部分です。
革手袋を名乗っている場合、安価な物は千円台(合皮、化繊)からあり、高い物だと4~5万円台のものまであります。どういった選択をすれば良いのでしょうか。
だいたいですが、1万5千円くらい出せば、かなり良い物が購入出来ると思います。
ファクトリーブランドであれば、6、7千円~でも十分だと思います。ただし、それ未満のものは、素材と縫製面で劣ることがあるので注意が必要です。
※ セール価格で5千円という場合は、結構掘り出し物があったりしますが……
ちなみに、私のお薦めは英国のデンツ(DENTS)で、1万5千円~で購入可能。
ハーフインチごとにサイズが豊富なので、自分の手に合わせやすく、縫製がしっかりしており、ライナーも非常に優秀です。
まとめ
- 手袋は肌触りも見た目もサイズ感が大事。少し小さめを選ぶと良い。
- 羊革はすっきりとした印象を与え、鹿革は無骨だが耐水性に優れる
- 靴やベルト、鞄などと素材をあわせると統一感が増す
- 防寒にはライナー有りが、素材はカシミアがおすすめ
- 手袋の縫製によっても、表情が大きく変わる(外側で縫い合わせると無骨な印象に)
- 6、7千円以上の物をねらい、できれば1.5万円以上出すと良い物が手に入る
ここ数日、朝晩が非常に冷え込んできましたが、こういうときは、手袋とマフラーで、ずいぶんと楽になります。
また、手袋は見た目、ファッションとしてもとても重要です。この冬は活用していきたいと思います。
それでは。