まとめ

デパートを使いこなす 後編:おトクな使い方5つ

投稿日:令和4年(2022) 8月14日 

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前回に引き続き、私がオススメするデパート(百貨店)の使いこなし術について。

後編は、イメージ先行で「高い」と思われがちな百貨店の、セール時以外にも割安に買い物をする5つのTIPSをご紹介します。

↓ 前編が未読の方はこちらからどうぞ

1.百貨店発行のクレジットカード

各百貨店はクレジットカードの発行にも力を入れており、百貨店利用時の高いポイント還元をウリにしています。

また、ゴールドカードなどの上級会員は、駐車場の割引き、館内の休憩ラウンジの利用など、独自のサービスを行っているものもあります。

具体的な例を挙げてご紹介します。

髙島屋の例(タカシマヤカード)

髙島屋は、タカシマヤカードとそのままの名前のクレジットカードを発行しています。セゾンカードと提携しているようで、カード発行や利用明細のシステムは同じですね。

一般カードだと購入金額の8%、ゴールドカードだと利用金額に応じて最大10%のポイントが付きます。たまったポイントは、後日の買い物で値引きに充当できます。(以前は商品券がもらえていましたが、制度が変更になりました。)

また、ゴールドカードの場合は駐車場の無料利用特典があります。

初年度から高い還元率

タカシマヤカードの特徴は、初年度から高還元率であること。一般カードでも発行初年度から8%のポイントが付くのはとてもおトクです。

私の友人は、婚約指輪を購入する際、購入当日にカードを申し込み、そのまま8%のポイントが付いたとのこと。楽天などポイント還元が受けられるECサイトで扱いのない宝飾ブランドで、高い威力を発揮するでしょう。

参考リンク

三越伊勢丹の例(MIカード)

三越伊勢丹ホールディングスは「エムアイカード」というクレジットカードを発行しています。

三越、伊勢丹で両方特典が受けられ、一般カードの場合、基本5%、年度の買い物金額に応じて8%、10%と上がる仕組みになっています。

提携カードが豊富

エムアイカードの特徴は、豊富な提携カードで、伊勢丹三越以外のサービスがセットになったものがあります。例えば、三越と東京建物グループ管理会社の両方でポイント還元がうけられる、といった感じです。

三越伊勢丹でのポイント還元がセットになったカードが7種類、それ以外も含めると43種類(いずれも記事執筆時点)ものカードを発行しています。

参考リンク

百貨店クレカのデメリット

一方で、百貨店発行のクレジットカードにもデメリットはあります。

年会費がかかる

一つ目は年会費です。一般カードで2千円前後、ゴールドカードで1万円前後が多いようです。

百貨店でのポイント還元目当てに取得する場合、年間どの程度の金額を使うかを考え、元が取れるかを確認しましょう。

還元対象外、低還元率のジャンルがある

また、株主優待と同様、還元対象外のジャンルやブランドがあることも注意が必要です。

例えば、食料品(惣菜)については、還元ポイントが低いケースが多いようです。

他店舗での還元率が低い

一般的に、百貨店のクレジットカードは、百貨店外での利用は還元率が0.5%程度と低い傾向にあります。

百貨店のクレジットカードは、百貨店と系列のECサイトでのみの利用と割り切った方が良いでしょう。

 

2.株主優待割引

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主要百貨店の多くは、株主優待制度を持っています。よくある優待の形式は「株主優待カード」の発行です。

一律10%OFFという強力な株主優待カード

株主優待カードは、買い物時に提示すると、値引き(多くは10%OFF)になるというもの。これは大きいですよね。

本記事執筆時点で導入している百貨店を確認すると、髙島屋、三越伊勢丹ホールディングス、J.フロント リテイリング(松坂屋)、松屋など、有名どころがズラリ。

保有する株数に応じて、年間割引金額の上限が定められていたり、一方で長期保有に応じ上限が緩和されたりするパターンもあります。

家族も使えるとするところもあるので、よく行く百貨店であれば、一家に1枚あるととても便利です。

なお、勘の良い方は「百貨店発行のクレカと組み合わせると最強では……?」と思うかも知れません。しかし、ほとんどの場合、優待を行使した買い物には、クレカのポイントは付きません^^;

リスクも考慮する

ただし、株式の保有には以下の様なリスクが伴います。

株価の下落

1つめは、優待目当てで株を購入した後、株価が下がってしまったり、上場廃止になるリスクです。

世間の景況、会社の収益悪化などで、株価は簡単に下がります。(逆に上がる事もありますが^^;)

例えば、三越伊勢丹ホールディングスは記事執筆時点で10万円ほどで100株購入でき、優待を受け取れるようになります。つまり、10万円分の価格下落リスクを負う、ということです。

株主優待の廃止

2つめは優待制度の廃止リスクです。

先日、マルイ(丸井G)の株主優待廃止が発表されました。私を含む、株主優待目当てで保有していた方はかなりショックだったと思います。

株主優待制度は、実は世界的にはメジャーで無く、近年は機関投資家からの廃止圧力もあります(「機関投資家が使えない優待をやめ、配当に回せ」というもの。)。

さらに、優待が無くなると、優待を目当てにしていた個人投資家の投げ売り→株価下落もあり、泣きっ面に蜂となることも……。

優待対象外商品も

3つめは、優待対象外の商品があること。金券はもちろん、一部の高級ブランドが優待対象外と記載されることがあります。

なお、個人的にはよく使う髙島屋、三越伊勢丹ホールディングス、マルイの3社を保有しています。優待廃止が発表されたマルイは売るかどうか迷い中……。

 

3.外商

百貨店の外商は、かつては富裕層のみをターゲットとした特別なサービスでしたが、我々も利用可能な時代になってきました。

というのも、店頭に比べ売上の伸び率が高い外商ビジネスが営業の注力ポイントとなっているようで、20代後半~30代の若年層の開拓を進めているからです。

百貨店の外商とは

百貨店の外商とは、昔で言う御用聞きです。

専属の営業担当者が割り当てられ、顧客の好みに合わせた商品を提案したり、直接自宅に届けたりします。また、館内や催事のアテンドなどもあります。さらに、商品の取り置き、電話1本での注文、贈答品選びの手伝いなど、コンシェルジュサービスに近いこともしてくれます。

三越の場合は伝統的に「お帳場(おちょうば)」といいます。

還元サービスもある

こうした御用聞きサービス以外にも、実は歩引き(ぶびき。割引きのこと。)サービスや、ポイント還元に関するサービスも存在しています。

どのくらいの太客かによって、サービス内容が変わり、またその内容は外部に非公開であることが多いので、謎に包まれている部分でもあります。色々な話を総合すると、歩引きは1割程度からなので、超大口で無い限り株主優待と同じくらいでしょうか。

どうすれば外商を使えるか(普通のサラリーマンが外商に誘われた話)

以前、親族の宝飾品購入の付き合いで、某百貨店に行った際、担当者に外商の登録をしないか誘われたことがあります。

その時、珍しい時計(中古の不動品をレストアしたので実際は高くありません)をしていたせいか、その担当者に「時計がお好きなら是非外商を紹介させて欲しい」と売り込みをかけられました。

その後、その担当者に話を聞くと、若年層で将来大口になってくれそうな顧客の開拓(囲い込み)を進めているのだそう。担当者の目に留まらなくても、年間100万円程度百貨店で使うとお声がかかるケースもあるそうです。

また、既存会員からの紹介も多いそうで、親族や親世代の友人をつてに、お願いしてみる方法もあります。

歩引きサービスはもちろんですが、百貨店で特別な待遇を受けたいと考えている方は、参考にしてみて下さい。

 

4.友の会

百貨店独特の制度に、「友の会」というものがあります。

友の会とは

「友の会」は、いわば積立式の利子つきデポジット商品券です。(正確には、「割賦販売法に基づく前払式特定取引」と言うそうな。)

毎月定額を積み立てて、1年の満期を迎えると、積立額に1ヶ月分上乗せした金額が百貨店で使える、というもの(百貨店によってサービス内容は若干異なります。)。この場合、還元率としては8%程度ですね。

満期後にプラスチックのカードが送られきて、それを使ってレジで決済します。古くからあるサービスですが、最近では住信SBIネット銀行と髙島屋が、スマートフォンで友の会の積立から利用まで出来るサービスを開始するなど、今でも進化し続けているサービスです。

デメリットもある

もちろん、デメリットもあります

その百貨店でしか使えない

当然ですが、友の会はその百貨店でのみ使えるサービスです。

積み立てた金額分を使う予定があるか、その百貨店を利用する生活スタイルなのか、他のECサイトの方が割引きやポイント還元が受けられるのではないか、等を事前に考えましょう。

有効期限は無期限というケースが多いですが、積立済の金額に利子は付かないため死蔵することになりますし、インフレが進むと実質的な価格が目減りすることになります。

倒産リスク……どのくらい戻ってくる?

そして一番怖いのが倒産リスクです。

法令上は、積立金の半分が保全される仕組みになっているので、最低限半額は戻ってくることになります(百貨店側が前受金を適切に扱っていれば……)。

倒産が増えている地方都市の中小百貨店で、友の会に入るのは少し怖いですよね……。

 

5.直営ネットショップ

店頭での丁寧な接客にこだわっていた百貨店も、近年ではECサイト(ネットショップ)に力を入れています。

しかも、楽天やAmazonのセールに負けず劣らず大々的にセールをやるなど、「お高くとまった百貨店」というイメージからは少し違う雰囲気です。

セール主眼のファッションECサイト

髙島屋の場合、既存顧客向けと思われる「髙島屋オンライン」とは別の「タカシマヤファッションスクエア」というサイト(運営会社も別)を立ち上げ、若年層向けのファッション需要に食い込もうとしています。

私も何度か使ったことがありますが、ラコステ、タケオキクチ、トゥモローランドなど有名ブランドが30%、FINAL SALEなどになると80%OFFなどの投げ売りも^^;

株主優待や百貨店発行クレカとの合わせ技

また、百貨店の直営ECサイトでは、株主優待や百貨店発行のクレジットカードを使えることもあります。

ECサイトのセールと合わせると、かなりの割引率になります。

先述の、髙島屋ヤオンラインでは株主優待を使えますが、ファッションスクエアでは使えない、などの細かい違いはあったりします。ただし、両方とも髙島屋のクレカの還元対象でした。

 

おわりに

20代~30代の我々からすると、百貨店は古くさい、高いというイメージがつきまとうかも知れません。私もかつてはそうでした。

しかし、新たな海外ブランドの開拓、乳幼児に配慮した休憩設備、若年層への外商開放、ECサイトの充実化など、様々な変化が起きていると同時に、我々も百貨店へのある種偏見があったと気づかされます。

もちろん、未だ伝統墨守なところや、それを好む岩盤支持層もあるため、変化はゆっくりではありますが……。

 

かつて、「現金掛け値無し」、催事、エレベーター、屋上遊園地、食堂など、小売業に沢山の革命をもたらした百貨店。イノベーションのジレンマに陥っていると言われていますが、根底にある小売革命のDNAはコロナ禍を経てどう発現するのかが楽しみです。

我々としては、是々非々で使い倒すという姿勢で良いのではないでしょうか。

 

-まとめ
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