サラリーマンのファッションを考える

Q.着席時、ズボンの膝が引っかかる場合の解決法は?

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――投稿者:y.a さん

先日、初めてハリソンのウール100%のロングホーズを購入しました。初めてのロングホーズで、長い分フィット感安定感があり防寒面でも非常に気に入ったのですが、ひとつだけ気になることがあります。

それは、靴下の面積が増えた分、ホーズとスーツの摩擦により滑りが悪くなり、座ったりしゃがんだりしたときに膝が突っ張ることです。しゃがむ時には膝のあたりを軽く摘んで上に引っ張るようにしているのですが、その際も摩擦であまりパンツが上に上がってきません

何かいい方法はないでしょうか? それとも気にするほどでもないでしょうか? パンツは膝下にかけてテーパードはしていますがそれほど流行を意識した度を越した細身にはなっていないと思います。

> y.a さん
ご質問下さいまして、有り難う御座います。

座るときやしゃがんだとき、ウールのロングホーズ(参考:高クオリティ/低コストの日本製ロングホーズ「ハリソン(HALISON)」 )を履くとトラウザーズ(ズボン、パンツ)が膝に引っかかるようになってしまう、とのこと。 実は私にも少し経験があるのですが、今回はそのとき試行錯誤した内容を元にして、原因別に解決策を考えていきたいと思います。

 



1.【原因1】静電気でくっついている?

面積が増えたことによる摩擦抵抗増だけでなく、静電気の発生も原因かもしれません。

同一素材同士でしたらあまり気にする必要はないのですが、トラウザーズの生地に化繊(ポリエステル等)が混紡されていたり、またはトラウザーズの内張として使われている化繊によって、静電気が発生している可能性があります。

私も特定のトラウザーズのみが冬場になると引っかかることがあったため、試行錯誤してみたら静電気が原因だった、ということがあります。

参考までに、生地同士がこすれることによる静電気の発生しやすさの図を掲載します。素材同士の名前が離れているほど、静電気が起こりやすくなります。

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対策①:綿のホーズを試してみる

したがって、綿(コットン)素材のホーズであればポリエステルやウールとこすれたとしても静電気が起こりづらくなります。また、綿素材のホーズはウールに比べて生地の厚さが薄く、トラウザーズがつっぱる強度を下げることができると思います。

対策②:帯電防止スプレー

ほかにも、「エレガード」など、帯電防止スプレーを使うことで、静電気が改善することがあります。

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2.【原因2】トラウザーズ側の滑りが悪い?

対策:トラウザーズの内張りをつける

トラウザーズの中には、内張が短く太ももの部分だけにしかついていない場合があります(夏仕様のものにたまにあります)。また、膝の部分まであっても、すねの部分までは無いことが多く、この場合、摩擦が発生しやすい表地とホーズが直接擦れることになります。

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写真は両方とも冬用のトラウザーズです。白い部分が膝の滑りを良くするために付けられた内張ですが、上の方がすねの部分まで長めに内張がとられています。やはり、上のトラウザーズの方が滑りが良いです。

既製品のトラウザーズに後から直しに出してつけることもできなくないはないですが、内張りがついたものを探すか、オーダーにするのが現実的なところだと思います。

 



3.【原因3】トラウザーズに小さい部分がある?

対策:トラウザーズのワタリ幅を調節する

そんなにタイトなトラウザーズではないとコメントをいただいていますが、全体が小さくなくても、一部が小さいと引っかかってしまうことがあります。 スポーツをやっている/やっていた方は、下肢の筋肉が発達しており、座ったときにトラウザーズが窮屈に感じることがあるようです。

既製品の場合調節は難しいですが、イージーオーダーの場合はももや膝のワタリ幅を調節することが出来るため、必要な部分だけ大きく取って、全体が太くならない様に引っかかりをとることが出来ます。

蛇足ですが、どの部分を広くして、どの部分を詰めるかといった調整が非常に重要になります。トラウザーズに強い店員を見つけられればよいのですが、残念ながらジャケットの補正に比べて得意としている人が少ないように感じます。

さらに、フルオーダーの場合は上記に加えて、クセ取り(熱で生地を伸ばすこと)をすることで、突っ張りや引っかかりによる皺を発生させないようにすることがあります(ふくらはぎ等では非常に綺麗なシルエットになります)。

 

4.おわりに

私もふくらはぎが大きめで、質問者さんと似た様な状況になることがあります(特に、タイト目のジャケパン用のスラックスに多いです)。トラウザーズによって原因は異なることがあるため、解決法を色々と試してみることが必要だと感じています。

それでもダメなとき

その際にスーツのパンツを痛めてないか、膝がすぐに出てくるのではないかと少し心配になります。

柔らかいor薄い表地の場合、ご認識の通りひざが抜けてしまう可能性があります。従って、やはり座る際に膝を少し摘まんでやった方がよいと思います。

今回の様な症状の時、トラウザーズのわたり幅を大きくするのが一番手っ取り早い対策ではありますが、見た目が犠牲になることもあります。 見た目の良さと着心地の良さはある程度までは両立することはできますが、突き詰めると二者択一(トレードオフ)になることが多いですよね。

フルオーダーではその二者択一になってしまうポイントをよい方向にずらすことができるのですが、毎回フルオーダーというわけにもいきませんから、ある程度まで突き詰めたら、どちらかに妥協する必要があるのかもしれません……。

以上、参考になりましたら幸いです。



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1 コメント on "Q.着席時、ズボンの膝が引っかかる場合の解決法は?"

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早速のご回答感謝致します。またこれほどまでに詳しく記事にしていただきましてありがとうございます。

なるほど、静電気ですか。摩擦が原因とばかり決めつけていたのでその発想は全くありませんでした。非常に参考になります。
ウール100%のスーツを着用しておりますが、裏地にはポリエステルを使用していますので、ご指摘どおり綿のホーズを試してみようと思います。ちょうど春夏用に綿素材も購入しようと検討していたので。

内張りなどは全く気にしたことがなかったのですが早速確認してみると、すねまでとはいかないものの、膝下までは張ってありましたので、まずは綿素材で様子を見ようと思います。

またスーツはパターンオーダーで作っていますが、トラウザーズの膝周りなど特定の部分だけ数センチ広げるのも可能だと前回確認しておりますので、シルエットを崩さない範囲で調整できるか相談してみようと思います。

非常に丁寧なご回答で大変参考になりました。ありがとうございました。
これからも参考にさせていただきたいと思います。応援しております。

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