都会のサラリーマンならば、誰もが経験する朝の通勤ラッシュ。
そこには様々なスーツスタイルがあり、行き交うわけで、
当然、人それぞれの色々な着こなしを見ることが出来ます。
今回は「人の振り見て我が振り直せ」で、
(私が独断で決めた)東京のサラリーマン10のスーツ着こなしNGランキングを元にした、
スーツ姿を格好良く見せるポイントを考えたいと思います。
本エントリーの使い方は至ってシンプル。
まずは、10のNGランキングを上から眺め、自分が当てはまらないか確認して下さい。
当てはまる場合は、項目内のコメント、関連記事を御覧下さい。
街角××人アンケートをとったわけでも無し、
あくまで私の独断で決めたランキングなので、多少偏りがあるかも……ですが、
ファッション業界人では無い、サラリーマンから見た自戒を込めたNG集です。
1.ズボンから覗く「すね毛」
最近ではスーツを白い靴下+革靴 or 白い靴下+スニーカー(!)をあわせる方は少なくなりましたが、
依然多いのがこの「すね毛露出」です。
特に、電車の座席、会社の椅子などで散見します。
足を組んだ時は、さらに盛大に見えてしまい、目を覆うばかりの状況に。
こればかりはスーツのエレガントさから最もかけ離れた状況のため、堂々の1位にしました。
対策法
実に簡単で明快。
ハイソックス(ホーズ)にし、ずり落ちないようにすればOKです。
また、男性のふくらはぎはルネサンス期にはセックスシンボルであったように、
(同僚の女性も同じ意見でしたが)現在でもホーズに包まれたふくらはぎは非常に美しく、
色気がある物だとおもいます。
従って、NG1位から対策をするだけで「格好良い」に倒せる、高コスパの項目だと言えます。
関連記事
ハリソン(Halison)の靴下レビュー1
スーツスタイルに合った靴下の選び方
コストパフォーマンス抜群! ソックスbox408 オリジナルホーズ レビュー
本サイトではパンセレラやハリソンの靴下をご紹介してきました。
円高も一段落したため、コスパの観点からはハリソンのエジプト綿 ワイドリブ ロングホーズ
がお薦め。 一般的な靴下よりも若干高めですが、耐久性は倍以上あり、非常に美しいです。
靴下に1000円以上も出せない! と言う方は、ソックスboxのメンズソックスもお薦めです。
2.汚い靴
本サイトを御覧の方は殆ど大丈夫なのだと思いますが、
未だに何の手入れもしていないであろう靴、あるいはボロボロの靴を履いている方が多いです。
これは面白いことに、スーツは綺麗だったり高そうだったりするのに、
靴だけはなぜかそれに追いついていない。 そういったケースが散見されます。
(逆に、綺麗な靴を履いている人を探すと、大抵着こなしが上手です……)
靴はスーツスタイルの大変重要な位置を占めるアイテムです。
面積としてはそんなに広くないのですが、
Vゾーン(胸元)に次ぐ、人の目が集まりやすい場所だと考えて下さい。
対策法
こちらも簡単。
靴を手入れして下さい。
あるいは、「手入れし甲斐のある靴」を手に入れて下さい。
靴の手入れの基本はブラッシング。(お薦めは馬毛のブラシ)
輝きが減ったり、雨に濡れたり、最後の手入れから時間が経ったら、靴クリームを使って下さい。
手入れし甲斐のある靴は、必ずしも海外製の高いブランドでなくても良く、
概ね3万円以上のグッドイヤーウェルテッド製法の靴であれば大丈夫。
日本製だとリーガルやスコッチグレインあたりが広く売られており、かつコスパが高いのでお薦めです。
関連記事
(暫定)靴クリームの使い方
靴を格好良く見せ、長持ちさせるために(下)
3.臭い
見た目の話では無いのですが、香りもファッションのうちとした場合、
嫌な香りは最悪のインパクトになります。
主に、嫌な臭いとは、以下を指します。
- 生乾きの臭い:梅雨時や秋雨時に多い臭い、細菌の繁殖臭です
- 体臭:汗の蒸れた臭いや、いわゆる加齢臭を含みます
- 煙草の臭い:かつての「男の格好良い香り」は――今は昔
- 強烈な香水:香水の付けすぎや、最近では柔軟剤の入れすぎなどが原因で「臭い玉」とも称されます
対策法
- 生乾きの臭い:自宅で洗濯する場合は、部屋干し時の除湿は勿論、意外にも洗濯槽の掃除が効果的。クリーニングを併用し、洗濯物の数を減らすというのも一つの手です。
- 体臭:まず、大前提として香水で消そうとしないで下さい(よほど使わないと消えません)。汗にはスティックタイプの制汗剤が、加齢臭には逆性石けんによる下着の洗濯が効果的です。
- 煙草の臭い:煙草の煙とヤニは服にも良くないため禁煙をお薦めしますが、どうしてもと言う方はブラッシングとスチームによる臭い消しでしょうか……。
- 強烈な香水:男性の場合、1プッシュ~2プッシュが標準です。自分で香るレベルだと、結構な匂いを発散していると考えて下さい。一度に大量に付けるより、数時間おきに付け足す(タッチアップする)ほうが良いと思います。
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第2回「香水は消臭剤ではありません」|【コラム】サラリーマンの香水について
上手な香水の選び方を考える ~量り売りを上手く使う~
スチーマーを買い換えました | 「強力スチームアイロン パワーノズル付」レビュー
4.クリースの取れたトラウザーズ(ズボン)
クリースが取れたズボンはかなり格好が悪いのですが、
「すね毛」と同じように、高コスパ項目。
クリースがしっかりつくだけで、かなり格好良く見えるとも言えます。
クリースとは、トラウザーズ(ズボン)の前側についている折り目のこと。
ちょうど、太ももの付け根から、すそのあたりまで下に伸びているアレです。
クリースが無いと、作業着に見えてしまいます。
対策法
ズボンプレッサー(若干高いですが、コルビーのプレッサーがお薦め)を使う、
アイロンを使う、クリーニングに出すなどの方法があります。
それぞれ、メリットとデメリットを示しますので、自分に合った方法を採って下さい。
- ズボンプレッサー
メリット:手間がかからない、手軽に出来る、常にクリースを付けておける
デメリット:プレッサー本体が高い、クリースが消えたズボンには使えない - アイロン
メリット:クリースが消えたズボンにも使える
デメリット:慣れが必要、生地が傷みやすい(当て布が必要) - クリーニング
メリット:殆ど手間がかからない、クリースが消えたズボンにも使える
デメリット:スーツの場合同時に出さないと上下で色が異なってくる、生地が傷む
また、予めズボンを作るときに、シロセット加工を施すのも手です。
これは、パーマネントウェーブ(パーマ)と同様の方法で、強い折り目を作る方法で、
パターンオーダーやイージーオーダーの場合、2000円前後でやってくれると思います。
ズボン用のハンガーを使うこと、クリースが消えにくくなります
5.ベルトと靴の色がちぐはぐ
靴の色が黒ならベルトの色は黒、茶なら茶と合わせないと、
ちぐはぐな印象を与えることがあります。
結構浸透しているルールだと思うのですが、(意図的ではない)ちぐはぐがまだ見られます。
対策法
そのままで、ベルトと靴の色をあわせましょう。
また、素材をあわせるのも重要で、
これは、スーツスタイルの大事な原則の一つでもある「質感を揃える」ルールと同様、
スエードの靴ならばスエードのベルトを、といった応用も可能です。
さらに、金属(時計、ベルトのバックルなど)の色をあわせる、鞄の色もあわせる、など、
小物の色や質感をあわせると、さらに良いと思います。
(ただ、現実的に毎日これら全てが出来るサラリーマンはかなり限られると思いますが、少なくともベルトと靴だけは実践できると良いのでは無いでしょうか)
やっと半分まで来ました……
記事を2つに分けようと思いましたが、総覧性向上の観点から続けて参ります……
6.結び方の甘い/下がったネクタイ
これもたまに居ます。
まるで「田舎のローカル線の車中で、
しゃがんで円陣を組んでいる高校生がしているようなネクタイの結び方」の方が!
流石に朝方は少ないですが、昼を過ぎるととたんに多くなります。
これは、結び目が下にしているという意味だけでは無く、
いわゆる「たくあん状」の、結び目が緩いネクタイも指しています。
対策法
トイレの鏡で確認し、締め直すことも重要なのですが、
厚手のしっかりしたネクタイの場合、比較的緩みにくいのでこれもお薦めです。
結び方でもプレーンノットよりもウインザー、ハーフウインザーの方が緩みにくいです。
また、だらしなく見える要素になりますから、
シャツの第一ボタンもしめてておく方が良いでしょう。
7.しわだらけの上着
最近はスーツに気を遣う方が増えてきたので、そこまで多く見ることはありません。
ただ、それだけに、背中がしわしわだったり、
衿に変な折り目がついていたりすると、とても目立ちます。
対策法
- ハンガーに必ず掛ける
- ハンガーが無い場合はシワがつかないようにたたむ
- 着用後2日は休ませる
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スーツを傷めないたたみ方 ~ハンガーが無いときに~
カテゴリ:ハンガー
スーツや靴を長持ちさせる「ローテーション」
多少厚みのあるハンガーを使うことも重要です
8.光沢のありすぎるスーツ
20代後半から30代におおいのがこれ。
明らかに水商売レベルのテカテカスーツをお召しになっている普通の会社員を見かけます。
正直、ビジネス用ではなく、遊び用のスーツとみられてもおかしくないです。
しかも、こういった生地の既製のスーツはモード(流行)を極端に意識した物になるため、
非常に細いラペル、長い袖、ボタンの位置が高いなど、
その異様さが際立つ仕様であることが多いです。
対策法
これは、ほどよい光沢とは何かを考える必要があります。
パーティ用のスーツと、ビジネス用のスーツの違いも考える必要があります。
室内では見分けづらいので、出来れば太陽光の下で見ることをお薦めします。
また、ビスポーク(オーダースーツ)をした場合も、
細番手の生地は比較的光沢が出やすいため、なるべく現物(着分)で確認すると良いです。
(バンチ<生地見本>では、光沢が確認しづらいため)
ウール以外では、シルク、モヘアなどは光沢が出やすいので注意して下さい。
9.長さの合っていないネクタイ
これは、タイ(ネクタイ)の大剣先が長すぎたり、短すぎたりすることです。
一般的なスーツのズボンの場合は、
ベルトのバックルに剣先が触れる位の長さが丁度良いと思います。
(ブレイシーズ<ズボン吊り>用のハイウエストトラウザーズ(ズボン)を除く)
対策法
大剣の長さは、小剣の長さを変えることで調節するのですが、
首が細い人、胴が短い人、ウエスト位置を高くしている人などは、
大剣を適正位置にすると小剣が大剣の下から見えてしまうことがあります。
この場合、
- 巻き方を変える:プレーンノット → ダブルノット、ハーフウインザーなど
- 小剣をパンツに挟む:思ったより外側からは見えませんのでおすすめ
- 直してしまう:仕立屋や修理専門店で対応可能で、剣幅変更もできます
上記のような対策方法があります。
私の場合、少し長いときや肉薄のタイでは巻き方をダブルノットにし、
かなり長いときや肉厚のタイのときには小剣を挟む様にしています。
10.膨らんだポケット
一つの矛盾――
ポケットは物を仕舞う物なのですが、
スーツのポケットに関しては余り物を仕舞わない方が良い、ということがあります。
これは、現在のスーツの多くが、物を仕舞わないことを前提に作られているからです。
タイトフィットが主流の今、ポケットに沢山仕舞うことを前提にスーツを製造すると、
どうしても格好が良くならないのです。
よくあるのが、外ポケットがボコボコに膨らんでいる人、
ズボンのポケットが膨らんで乗馬ズボンの様になっている人、
尻ポケットの財布で、ポケットがボロボロ/アタリ(光沢)が出ている人などです。
対策法
まず、内ポケットならまだしも、外側のポケットを使うと、
ポケットの型が崩れたり、ズボンの場合には先述したようにアタリが出たりします。
従って、使うとしても内ポケットの方が良いでしょう。
あとは、ビスポーク(オーダースーツ)で仕立てたとき、
採寸や仮縫いの際に、普段ポケットに入れる道具(財布や手帳、スマホなど)を持参しましょう。
ポケットのサイズや深さなどを、自由に変えることが出来ます。
(イージーオーダーでも一部対応しています)
如何でしたでしょうか。
これらは先週一週間、朝と夜の通勤時に、東京の某地下鉄車内で観察したメモを元にしています。
しかし、普段気をつけている人間からしても、結構「あるある」な部分がありました。
たとえばズボンのクリース。
雨に降られた後、とくに素材がモヘア混などはすぐにクリースが消えてしまいますよね……。
あとは光沢のありすぎるスーツ。
バンチブック(生地見本)を見て、良い生地だなーと思って仕立てると、
良い生地過ぎてテカテカのヌラヌラ。パーティでしか着られない……なんてことも(^^;
いつもの倍くらいの量になってしまい、若干読みづらかったかと思いますが、
皆さんのお役に立てれば幸いです。
それでは。