「清潔感」をテーマにした記事を以前書きましたが、ムダ毛の処理や肌の手入れも重要なのでは? とのコメントを複数いただきました。
髭剃りを除くと、質実剛健を美徳とする日本の男性はグルーミングに消極的なことが多く、とりわけ公に語ることはあまりないものです。しかし、男性のファッションを考える上で、しかも清潔感が重視されるサラリーマンのファションを語る上では、グルーミングはとても重要なことだと思います。
そこで今回は、ムダ毛処理や肌の手入れなど、普段恥ずかしくてあまり語られない事柄について、あえて考えてみたいと思います。また、私が実践している方法もご紹介します。
# なお、グルーミングといっても範囲が広く、テレワークでのテレビ会議が増えた方も多いため、今回本編部分は頭部に絞りました。
(はじめに)グルーミングの是非
グルーミング(ムダ毛や肌の手入れ)に気恥ずかしさはありますか?
気恥ずかしさは免罪符ではない
今でこそ、男性用化粧品やエステサロンなどが増えましたが、それでも男性のグルーミングには、なんとなく「気恥ずかしさ」が伴います。
だからといって、その気恥ずかしさを免罪符に、何もしないのは良くないのではと思います。
なぜなら、清潔感や美しさを保つことで、男性が日々心血を注ぐ靴や服といったファッションアイテムがより似合う風貌を作ることができるからです。
また、「男たるもの」という考え方もありますが、実際には洋の東西を問わず、紳士はグルーミングを怠らなかった歴史があります。
しかし、やり過ぎには注意
とはいえ、やり過ぎには注意が必要です。
先述の「気恥ずかしさ」は、身だしなみの域を超えた、男性の化粧に対する文化的な違和感から発生しているものです。
ジェンダーレスや多様性への配慮が強く求められる今日ではありますが、我々サラリーマンは、そうした違和感を持つ同僚やビジネスパートナーがまだ多数派であることも考える必要があります。
アピールはしないが、しっかり手入れをすることが重要
つまり、やり過ぎ感を出したり、やってるぞアピールはしないが、しっかり手入れをすることが重要なのだと思います。
「美容に気を遣っている感じはしないのにしっかり手入されている人」を見ると、格好良いなぁと思いますが、皆さんはいかがですか?
なお、アピールには、当然SNSでの発言も含まれます……。ということで、こう言う記事を書いている時点で私自身はNGですね^^;
1.眉毛
眉毛は、清潔感はもちろん、見た目の印象に大きな影響を与えます。
学生時代から眉の手入れに勤(いそ)しんだ方にとっては何気ない作業かも知れません。しかし、(私を含む)そういう習慣がない者にとって、眉毛の手入れは、失敗するととても不自然になることも相まって、恐れ、放置されがちなパーツです。
本項は、眉毛を整える習慣が無かった方向けに、私が実践している方法をご紹介します。
いきなり剃らない
慣れない方が、自分で眉毛をいきなり剃って整えるのはNG。ほとんどの場合失敗します。
まずはフサフサを揃えるだけでも印象が変わる
眉毛は長さを揃えるだけでも、とても凜々しくなるのでオススメです。
30歳前後で眉毛のボリュームが増える方が多く、そのまま放置すると村山元総理状態に……。
しかし、コーム付きのはさみで簡単に長さを整えることができます。重要なのはコーム付きであること。切りすぎず、簡単に均一な長さにすることが出来ます。
床屋や美容院で形を整える
会社で使うプロフィール写真や冠婚葬祭の撮影がある際には、プロに任せてしまうのが一番です。
「どんな形にしますか?」と聞かれたら、「整える程度で良いです」「誠実そうな感じで」などと言っておけば大丈夫です。
そして、眉毛の手入れに興味が出てきたら、自分を表現出来る形を摸索してみて下さい。しかし、眉毛も「行きすぎた手入れ」になりがちなパーツなので、その点はご注意下さい^^;
2.鼻毛
眉毛以上に低コストで対処でき、しかも対処しないと大ダメージなのが鼻毛です。
ケアしていなかったら今すぐ取りかかるべきパーツと言えます。
個人的にはパナソニックの電動カッター一択
鼻毛には様々な処理方法があり、例えば、はさみで切る、毛抜きやワックスで抜くなどが伝統的に行われてきました。しかし、毛嚢炎や鼻粘膜を傷つけるリスクがあったり、手間がかかったりするため推奨しません。
オススメは、文明の利器である電動鼻毛カッターです。
特に、パナソニックの上級機種は、切りくずを吸引しながらカットするため、切りかすが散らばらずオススメです。
定期的に確認を
この鼻毛、気をつけていないとすぐに顔を覗かせます。朝の洗顔時など、定期的にチェックすることが重要です。
また、一説には空気が汚れている地域に住んでいると伸びが早いのだとか。都会住まい、工業地域住まいの方はご注意を。
3.肌の乾燥、テカリ
肌のコンディションも、重要なグルーミングの一つです。
肌の乾燥を防ぐ
洗顔後や風呂上がりには、ローションや乳液をつけます。特に、石けんや洗顔フォームを使った後は、顔がカサカサな状態です。従って、水気を拭いた後すぐにフォローする必要があります。
「男性が乳液を?」なんて避けている場合ではありません。革靴のメンテナンスで、ステインリムーバーを使った後放置しそのまま履きますか? 乳化性クリームを塗りますよね? つまりはそういうことです。
オススメは菊正宗から出ている「日本酒の美容液」です。安い上に保湿力がものすごく、私の場合、最近はこれ一本になっています。
ほのかに香る酒粕の香りにも癒されます。香りが苦手な方は、キュレルローションがコスパが高くてオススメです。
肌のテカリを防ぐ
30歳前後で、肌のテカリが出たという方も多いはず。主におでこや頬など、しっかり洗顔しているのにテカテカとして、いわゆる「脂ギッシュ」な状態です。
保湿不足(肌を守ろうと体が過剰に皮脂を出す)、ホルモンバランス等原因は人によって異なるため、皮膚科へ相談するのが手っ取り早いのでオススメ。場合によっては保険適用で対処出来ます。
手軽にケアしたい方は、オイルコントロールローションを以前レビューしていますので、参考にして下さい。
4.散髪とセット
散髪はこまめに
長くとも1ヶ月に1回がオススメ
皆さんは、床屋(または美容院)にどのくらいの頻度で行きますか?
忙しかったり、もったいないと感じたりと、2ヶ月程度の長いスパンで行く方もいます。
しかし、頭髪が短い男性の場合、頻繁な散髪が清潔感の向上に直結します。短髪の方は、3週間に1回~1ヶ月に1回の散髪をオススメします。
また、スーツのオーダーと同様、他人にどう見せたいか、どういうイメージを持たれたいかを、カット時に床屋や美容師に伝えると良いでしょう。
(参考)髪の長さで異なる頻度
人によって異なりますが、おおよそ1ヶ月に1センチ伸びると言われている髪の毛。
例えば女性のように20センチの長さがあれば、2ヶ月経っても22センチで10%の伸びです。しかし、5センチの短髪の場合、2ヶ月経つと7センチとなって、40%も伸びたことになります。つまり、髪の毛のボリュームが、4割も増えているように見えるのです。
髪型は、当初のボリュームに最適化されているため4割も増えると不格好にみえます。したがって、短髪の方ほど高い頻度で床屋に行く必要があります。
セットも身だしなみ
髪の毛のセットは、学生時代、体育会など硬派で過ごした方や、勉強/研究一筋だった方ほど無頓着であったり、避ける傾向にあります。
しかし、髪の毛のセットは最低限の身だしなみの一つですし、ビジネス用途に相応しい髪型であれば、決してチャラチャラしたものにはなりません。
詳細に書くと記事が1本出来てしまう内容のため、TIPSだけ記載しておきますので参考にして下さい。
- 前髪は垂らさず、耳は出した方が清潔感が増す。
- 整髪剤(ワックス)は、髪質や髪型で最適なものが異なり、付け方もコピーする必要があるため、最初は定価で床屋/美容院から購入し、指導して貰う。
- セットに自信が無い場合は、カット時に「朝忙しいのでセットしやすい髪型にして下さい」と美容師/床屋に伝えるのもオススメ。
5.髭
続いて髭の話を。
剃るか、生やすか
髭は、まず剃るか生やすかという2つの選択肢があります。
業種や業界によって、髭がNGな場合もありますが、個人的には男性のオシャレの一つであると考えます。
しかし、もし生やすのであれば、しっかりとトリムし、手入れを怠らないことが重要です。
剃る方法
主に、電気シェーバーとカミソリの2種類があります。T字カミソリは安価で深ぞりが出来ますが、肌への負担を考えれば電気シェーバーがオススメです。
もちろん、カミソリでの剃毛には趣味の領域があり(専用のフォーム、フォーム塗布用のブラシ、クラシカルなカミソリなど)、剃ることそのものを楽しむ方もいらっしゃると思いますが、カミソリ負けや時間対効果を考えると、万人にお勧めできるのは電気シェーバーです。
剃る頻度
重要なのはこちらかもしれません。人によって異なりますが、髭が多く(または太く)、伸びる速度が速い方は、朝だけで無く夕方も剃る必要があります。
髭が少し伸びているだけで、だらしなさや不潔感に繋がるからです。
夕方以降の接待やレストランでのディナーがある場合には、職場の机に忍ばせた携帯用髭剃りの活用をオススメします。
脱毛という選択肢
これはさらに意見が分かれるところですが、脱毛という選択肢もあります。
ここも、これ1つで記事が1本書けてしまいますし、ほかに詳しいサイト(提灯記事が多いですが^^;)が山ほどありますので、TIPSだけ。
- 男性の髭に対して、とりわけ髭の濃い方には、家庭用の光脱毛器はあまり役に立たない。
- エステサロンの光脱毛は医院のレーザー脱毛に比べ、効きが弱く、回数を要し、しかも毛根が復活する可能性が高い。
- 医院のレーザー脱毛は、多くの場合かなりの痛みを伴い、この場合もツルツルまでにはかなりの回数を要する。(髭には生えるサイクルがあるため。)
- 朝の時短という意味では、「減毛」という観点で、ツルツルにならずとも髭剃りが楽になるので、ある程度費用対効果はある。
- 今はヒゲを蓄える男性は少数派だが、~江戸初期(ヒゲ多数)→江戸中期(ヒゲ少数)→幕末/明治期(多数)→大正期(少数)→昭和初期(多数)→昭和中期(少数)~ と、時代によって男性、特に中高年層のヒゲに対する価値観はサイクルしている。自身が死ぬまでに本当にヒゲを蓄えなくて良いかはよく考える必要がある。
おわりに
「男らしさ」と、「無精」「グルーミングに無頓着」とはイコールではありません。
また昨今、業種/業界によってテレワークとテレビ会議が大きく普及しましたが、今回ご紹介したグルーミングはそんな環境下でも活躍する重要なトピックです。
やり過ぎ、のめり込みすぎに注意は必要ですが、無頓着だったという方は、是非一度グルーミングについて考えてみませんか?
* * *
今回はあえて基本部分である頭部のパーツに絞って考えてみました。
しかし、一般的にグルーミングには体毛の処理が含まれるのですが、ここはまだまだ議論の分かれるところかと思います。
濃い場合は薄くしたほがいい、そもそも肌の露出がNGなのだから処理する必要は無い、欧米風に性器は剃毛すべき……等々、様々なご意見があろうかと思います。
この辺も含め、もしご意見がありましたらぜひコメントをお寄せ下さい。需要がありましたら体毛の処理にいても記事にしていきたいと思います。(最近、男性用のボディトリマーの売れ行きが好調なようで、注目度は高いのかもしれませんね。)
また、グルーミングに含まれるか微妙なため、歯の手入れについても割愛しています。こちらも機会があれば記事化してみたいです。