先々月にアップした記事「10年使ったSUWADAのつめ切りを修理に出して感動した話」へ、読者の方から「もっと良いつめ切りがあるみたいなので検証して欲しい」とのコメントをいただきました。
SUWADAから浮気するつもりは無かったものの、その製品を調べたところ少し興味が湧いたので、購入し比較検証してみることにしました。
高級つめ切りの購入を検討中の方にとって、参考になれば幸いです。
R05.12.31追記:記事内では、価格に大差が無いような記載をしていますが、記事初出から4年後の現在においては、MARUTOのつめ切りはSUWADAの1.5倍ほどの値段になってしまいました。実用的にはMARUTOが、贈答用としてはSUWADAが宜しかろうと思います。
1.対抗製品「MARUTO ネイルプロ2」とは?
マルト長谷川製作所と諏訪田製作所
コメントの商品名を検索すると、ニッパーを専門に作っている「マルト長谷川工作所」の製品、「MARUTO ネイルプロ2」と分かりました。
この会社は金物の生産で有名な新潟三条市にあるのですが、今回比較対象とするSUWADAのつめ切り(SUWADA クラシックL)を作る「諏訪田製作所」と同市内――というかかなり近くに所在しています(車で15分程度)。
創立も大正13年と、諏訪田製作所(大正15年創立)と2年違いでした。
価格
価格は実勢価格が税込5,000円弱で、SUWADAのつめ切りと同じか若干安い程度。
いずれにせよ、つめ切りとしてはかなり高額な部類です……。
R05.12.31追記:いつのまにかSUWADAが1万円近くまで値上がりしてしまいました。。。
2.ネイルプロ2の外観レビュー
続いて、ネイルプロ2の外観を見ていきます。
今回、ネイルプロ2と爪飛びガードのをそれぞれ購入しました。
購入時の額で、ネイルプロ2が4,580円、爪飛びガードは320円でした。
本体
透明のプラスチックケースに入っています。
ヤスリも同時に購入すると、このケースに収納できるようです。(ただし、結構安っぽいケースなのが残念。)
工作用のニッパーに近いフォルムです。
SUWADAのつめ切りと違い、テンションは実用性重視の板バネ式です。(その分、故障は少ないかも知れません。)
刃はSUWADAのつめ切りのように湾曲していませんが、かなり鋭そうです。
裏面。ヒンジの部分を含め、工作精度はかなり高いです。
爪飛びガード
切った爪が飛ばないという爪飛びガード。
プラスチック板の裏面に磁石がついており、これをつめ切り本体にくっつけ固定する方式です。
装着したところ。
表面からみたところ。
3.「SUWADAのつめ切り」との比較
続いて、SUWADA クラシックLと項目別に甲乙をつけていこうと思います。
実際に1ヶ月以上、両方のつめ切りを交互に使い確かめてみました。
切れ味
残念ながら(←この表現が正しいかどうか分かりませんが^^;)、ネイルプロ2の方が若干、切れ味が鋭く感じました。
これまでSUWADAのつめ切りが一番良く切れると思っていたのですが、実際にネイルプロ2を使ってみると切断面がSUWADAを上回って綺麗に感じます。
SUWADAの切断面も綺麗ですが、やはりつめ切り後のヤスリ掛けは必須です。しかし、ネイルプロはヤスリ掛け不要と思うばかりにツルツルです。
使い勝手
続いて使い勝手です。この項目は評価にとても迷いました。それぞれ善し悪しがあるからです。
ネイルプロ2は、爪の視認性が良好
ネイルプロ2の刃は、SUWADAと違って湾曲していません。
そのため、爪に刃を当てたときの視認性がSUWADAより良く、迷い無く切ることが出来ます。
しかしその代償として、一つの爪に対し角度を変えつつ何度も切ることになります(とはいっても、切れ味が良いのでそこまで苦痛ではありませんが。)。
SUWADAのつめ切りは、一度に沢山切れる
一方で、SUWADAkつめ切りは刃が湾曲しかつ大きいため、多少爪の視認性は劣りますが1発で多くの範囲を切ることが出来ます。
特に、足の爪を切る際には重宝します。
爪飛びはSUWADAに軍配
上述したとおり、ネイルプロ2には、オプションで「爪飛びガード」を付けることが出来ます。
しかし、この爪飛びガードをしていても、私の場合は切った爪が元気に飛んでいきました^^;
一方、SUWADAのつめ切りは刃が深く、かつ湾曲しているため、持ち手側の人差し指で塞ぎながら切ることで爪飛びをほぼ防ぐことが出来ます。
使い勝手は……?
個人的には、総合点としてSUWADAの方が若干良いように感じました。
ただ、つめ切りに苦手意識がある方や、少しずつ爪を切りたいという方にとっては、ネイルプロ2を選ぶべきだと感じました。
所有欲
こちらは、文句なしでSUWADAのつめ切りです。理由は2つあります。
美しいフォルム
なんといっても、フォルムが美しいです。重厚なステンレス鋼とその加工面、そして美しいデザイン。
美しさは明らかにSUWADAのつめ切りが上だと感じました。
持ったときの感触
ネイルプロ2の方が軽く、取り回しが容易なのですが、持ったときの感触はSUWADAの方が上です。
この点は個人の感覚に依存すると思いますが……。
価格
実勢価格を見ると、ネイルプロ2の方が若干安い様です。とはいえ、その差は数百円程度ですね。
R05.12.31追記:SUWADAがMARUTOの1.5倍近くまで値上がりした今、ネイルプロ2の方がコスパが良いと思います。
総合評価
正直甲乙付け難い、というのが感想です。用途によって、どちらを買うかを決めると良いのではないでしょうか。
そこで、次の項目では私なりに使い分けを考えてみました。
4.使い分けを考える
使い分け、買い分けの具体例を少し。
プレゼントならSUWADA
まず、贈答品としての優秀さはSUWADAのほうが上に感じます。
特に、男性向けとしてオススメです。所有欲をくすぐる美しいフォルム、重厚感のあるフィーリング、効率的にカット可能な湾曲刃など、男心をくすぐる優位点が多いからです。
細かく爪を切りたいならネイルプロ2、一気に切りたいならSUWADA
まめに切る、形を整えながら切るなど、爪を細かく切るタイプの方は、ネイルプロ2の方が爪の視認性が高く、扱いやすいと思います。
一方で、爪を一気に切りたい方は、SUWADAの湾曲刃がオススメです。
出張にはネイルプロ2
ネイルプロ2はSUWADAに比べ薄く、重量も30グラム以上軽く出来ています。
少しでも荷物を減らしたい場合には、ネイルプロ2がオススメです。
5.まとめ
今回ショックだったのが、僅かではありますがネイルプロ2の方が切れ味が鋭かったことです。
SUWADAのつめ切りはメンテナンスから帰ってきたばかり、ネイルプロ2も購入したてで、両者共に切れ味は最高状態。そんな中での比較で、ネイルプロ2のほうが切断面が綺麗だったからです。(ただし、別途経年での変化も見る必要はありそうですね。)
一方で、刃がストレート、デザインが機能優先など、ネイルプロ2も完璧では無く、人を選ぶ点もありました。
と書きつつも、一つ言えることがあります。それは、両者の争いはかなり高次元のものであって、比較レビューとしては卑怯ですが、結論は「どっちを買っても満足出来るでしょう」です……。
基本性能はどちらもずば抜けて優秀。ここまで来ると「何を重視するか」という好みの問題になるのだと思いました。
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