サラリーマンのファッションを考える


ツーパンツスーツのメリット、活用出来る人と注意点

     (更新:平成28年9月19日)

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質問箱へ「スーツを買うならツーパンツスーツにした方が良いですか?」という質問がありました。

確かに、ツーパンツスーツは手軽にスーツの寿命を延ばすお薦めの方法です。ただ、良い点もあれば注意点もあるわけで……。

今回は、ツーパンツスーツについて、何のメリットがあり、どんな人に効果があるのか、そして活用する上でどういった注意点があるのか考えてみました。

 



1.ツーパンツスーツとは?

ツーパンツスーツは、文字通り、パンツが1本では無くスペアパンツとの2本セットになっているスーツのことを言います。

次項で詳しく述べますが、スーツはパンツが先に傷むことが多く、スーツ全体の寿命を延ばす為に用いられることが多いです。

多くの場合、初めから2本セットになっているわけではありません。店頭で「パンツ2本目50%OFF」という宣伝をよく見かけますが、オプション扱いになっていることが多いと思います。

また、ツーパンツスーツは吊し(既製服)に限らず、オーダーの世界でも適用可能で、スーツを作るときにパンツを2本にすることもあります。

 

2.メリット①:スーツが長持ちする

おそらく、ツーパンツスーツ最大の目的がこちらでしょう。

一般的に、パンツはジャケットよりも傷みやすいパーツです。そのため、パンツを2本にして、ジャケットとパンツの寿命を揃えることができます。

つまり、ジャケットはまだ着られるのに、パンツが先に傷んだために、スーツ全体が着られなくなってしまう事を避けることが出来るわけです。

残ったスーツのジャケット(上着)をジャケパン用に単品使いするという方法もあります。しかし、活用可否は生地や仕立て方に大きく依存し、一目でスーツの上着と分かってしまうこともあります。すこしカスタマイズすることで単品ジャケットっぽく見せる方法もありますが、長くなるのでいずれ改めてご紹介出来ればと思います。

なお、パンツが傷みやすい人ほど、このメリットを多く享受できます。傷みやすい人の特徴は第4項にまとめましたので、後ほどご確認下さい。

 



3.メリット②:デザインを変えて楽しめる

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これは、パンツはそんなに傷まない……という方にお薦めの、ツーパンツスーツの利用方法です。

オーダーの場合、2本目のディテールを変えて作成し、スーツの表情や楽しみ方を増やすことができます。

多くのテーラーでは、生地を変更しなければ安価*にスペアパンツとして作ることが出来ると思いますので、色々挑戦してみて下さい。(型紙が変わると追加料金になることもあるので、テーラーにご確認下さい)

*ツーパンツスーツは、スーツ上下+パンツ単品で頼む場合に比べ、安く購入出来ることが多く、価格的なメリットがあります。これは、ついで買いによる客単価を上げる戦略という面もありますが、特にオーダースーツの場合はスーツと一緒に作ることで、型紙が共通化出来たり、生地の用尺を少なく出来たりするためです。

以下、活用例を挙げてみました。

1)2ピース用と三つ揃い用

片方を股上浅めノータック、もう片方を股上深めのタック有りにすることで、2ピースに合うパンツと、三つ揃いに似合うパンツ、それぞれでスーツを楽しめます。

三つ揃い用には、ブレイシーズ(サスペンダー)用のボタンを付けて貰うと良いでしょう。

2)ダブルとシングル

裾を片方をダブル、片方をシングルで、気分を変えられます。

3)ベルトレス

三つ揃い用パンツの応用ですが、片方をベルトレスで仕立てるという方法もあります。

 

4.ツーパンツスーツが必要な人

ここでは上記メリット①に限定し、ツーパンツスーツが必要な人を「パンツが傷みやすい人」と読み替えて考えてみます。

以下に当てはまる場合は、パンツか傷みやすく、ツーパンツスーツの利用を検討すると良いと思います。

1)行動

この様な行動が多い方は、比較的パンツが早めに傷みやすい傾向にあります。

  • しゃがむことが多い
  • 大きなカバンを持ち歩く事か多い
  • 走ることが多い
  • 外出が多い
  • 座敷に良く上がる(正座をすることがある)
  • 飲み会が多い
  • 自転車に良く乗る
  • 泊まりの出張が多い

業種や職種によっては、かなり当てはまる方が多いのでは無いでしょうか……。

2)生地

また、以下の様に、スーツの生地が弱い場合もパンツが傷みやすいです

  • 絹やカシミヤを使って(混紡して)いる
  • 細い糸が使われている
  • 単糸で織られている
  • 夏用の薄い生地だ
  • 織り方が甘い(軟らかい)
  • 濃色の生地だ(テカリが分かりやすい)

安い生地だけで無く、比較的高級な生地――とりわけイタリア製の生地(薄い単糸の生地が好まれる)にも、弱く薄い生地か多いことに注意が必要です。

3)体型

体型も若干影響します

  • 肥満体型である
  • 体型に比べてパンツが細身だ

H28.09.19追記:
読者の方から、別記事でコメントを戴き、1)に「泊まりの出張か多い」を追記しました。出張が多い方であれば、換えのスラックスとしてもツーパンツスーツが活用出来ます。
(2日目に大事な商談があるが、初日に懇親会がある、等。上着は脱いで汚れから防禦出来ますが、パンツは難しいですよね。)

 

5.ツーパンツスーツの注意点

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最後に、ツーパンツスーツを利用する上で確認したいポイントを挙げていきます。

1)クリーニングは上着と同じ回数行う

ウール生地の色は、植物性の生地に比べて色の定着力が強く、クリーニングで色落ちしにくいと言われています。

しかし、それでも洗う度に、少しずつですが確実に色落ちしますし、さらに日光や蛍光灯の光に含まれる紫外線によって、退色することも確かです。

ツーパンツスーツの場合、スペアパンツも同じ回数クリーニングしなければ、上下で色が変わってしまうことになります。

単品だと色落ちや退色はわかりにくいですが、スーツは上下で比較がとてもしやすい位置にあるため、とてもよく目立ちます。

そのため、ジャケットのクリーニング回数と、パンツ/スペアパンツのクリーニング回数は揃える必要があります。(上下で色が異なるのはみっともないですよね……。)

2)後からツーパンツ化は難しい

スペアパンツは、スーツ購入時に揃えることが必要です。

これは、1)に記載したとおり、クリーニングや光によってスーツの色は変化していくため、たとえ同じ生地を使ってスペアパンツを作ったとしても、同じ色のパンツは作れないからです。

また、ツーパンツスーツのスペアパンツは、用尺が単品のパンツより少なく単価が安い、というメリットかありましたが、これも失われる事になります。

3)スーツの長寿命化に寄与しないことがある

いくつかの理由から、パンツの寿命よりスーツの寿命の方が早いという事があります。

これは、パンツの傷みよりもスーツのデザイン寿命(デザインの陳腐化による、スーツ全体の寿命)が先に来てしまうため、ツーパンツが必要ないというパターンです。

たとえば……

デスクワークがメイン、強い生地を使っている

前項でご紹介した傷みやすい行動や生地に当てはまらない――内勤が多いとか、丈夫な生地でスーツを仕立てているなどであれば、比較的パンツも長持ちします。

スーツを常時着ない職種/業種

当然ですか、スーツの着用回数がそもそも少ない仕事ではパンツが傷みにくく、「パンツが先に傷んでスーツが着られなくなる」というパターンになりません。

スーツの着数が多い

1シーズンのスーツが5着だと月の登場回数が4回、半年で24回です。これが10着になると半年で12回になります。

有給/夏季休暇、年末年始などを勘案すると、さらに登場回数は減少することに。

こうなると、パンツの寿命はさらに伸び、スーツとしてのデザイン寿命を先に迎えることになります。

(参考)スーツのデザイン寿命について

スーツのデザイン寿命には明確な定義はありません。そして、どの程度流行に沿った、エッジの効いたスーツを買う/作るかによって、その長さは大きく異なります。

一般的に、短いと(たとえば流行にめいっぱい乗せると)2~3年程度、長いと(たとえば中庸なデザインであれば)7年程度は持つと言われています。

ただし、流行の変化具合、また自身のスタイルや価値観によって、その長さは大きく変わります。(私の場合はクラシカルなデザインが多いため、8年前の三つ揃いが今でも現役/第一線で活躍しています)

 

6.おわりに

皆さんは、スーツを購入またはオーダーする際に、ツーパンツスーツにしますか?

以前は、結構な割合でスペアパンツを作っていました。これは主にメリット①(スーツの寿命延伸)を狙ってのことでした。

しかし、スーツの着数が増えたこと、外回りが減った事、殆どのスーツをクラシックなデザインで作っていることなどから、とりわけフルオーダーをする際にはスペアパンツを作らない事が多くなりました。

ただ、アクティブに動き回る営業職の方、特に(上に記載しましたが)座敷に上がる事が多い方は、スペアパンツの恩恵をかなり受けることが出来るのでは無いかと思います。(場合によっては、スリーパンツでなくては、という方もいらっしゃると思います。)

ご自身の業務環境やスーツの好み、そしてクローゼット内容などを参考に、ツーパンツスーツを活用されてはいかがでしょうか。

 

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3 コメント on "ツーパンツスーツのメリット、活用出来る人と注意点"

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私は以前はスペアパンツ絶対つける派だったんですが、最近はつけなくなりました。
理由は以下の通り。
①衣替えの時収納スペースが足りなくなる
②スペアがあれば破けたりすることはなかなかないが、それでもテカリは避けられない。
(2倍長持ちする、というほどの効果はない。スーツを週1のペースで使う(つまり1本のパンツは2週に1回ペースで使う)というローテーションで、かつ毎回ブラッシングしていても、3年ぐらい使っているとお尻とか結構テカります。もちろん生地にもよりますが。車通勤のせいかな…。)
③スーツを買うとき3割増は結構大きい(7万→税込み10万になりますからね…。)
④春夏物だと、6月~9月はクールビズでスラックスしか使わないので、だったらスラックスだけ別で買ったほうが安上がり。(既成でもあつらえでも、グレー無地のスラックスなら毛100でも1~2万で作れる。ジャケットなしなら生地は正直そんな上等でなくてもいいし…。)

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